↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴニックプラネット  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/28

第17話 ブランの能力の実演

 アーツの前には倒れて動かなくなったカマキリが転がっている。

 みんなが呆然とする前で、ブランが最初に動き出した。


「ねえ、ノワール」


『なにかな、主』


「この子もあたしが触れば、魔素っていうのを吸ってノワールみたいになるのかな」


『おそらくはなると思われる。しかし、主の力は目覚めたばかりゆえ、必ずしも成功するとは限らぬぞ』


 ブランとノワールが話をしているが、ノワールの言葉が分かるのはブランのみ。ブランの言葉だけでは、話がつながらない。

 だが、直後のブランの行動で、大体の雰囲気はつかめたようだ。

 ブランは倒れたカマキリに手を触れている。


「なっ……」


 次の瞬間、アーツたちは不思議な光景を見る。

 ブランの体から、不思議な緑色の光があふれているのだ。


「なんだ、あれは……」


『あれこそが主が持つ魔素の光。我をこの世界に引き戻した、奇跡の光だ』


 アーツが驚く中、ノワールはあごを鳴らしながら話をしている。しかし、その言葉を理解できるものは誰もいなかった。

 しばらくすると、ブランから発生する光はおさまり、その場に座り込んでしまう。


「ブラン、大丈夫か?!」


「うん、平気……」


 アーツが心配して駆け寄ると、ブランの顔色が少し悪そうだった。


「少し休んでろ。まったく無茶をするんじゃねえよ」


 ノワールから降りたクロノが駆け寄ってきたので、アーツはクロノにブランを預ける。

 俺たちはブランの心配をしながら、倒れているカマキリの様子を見る。

 しばらく眺めていると、なんということだろうか、カマキリが体を起こして立ち上がっていた。


「なっ! 間違いなく撃ち抜いたはずなのに、なぜ!」


 アーツが驚いて閃光銃を構える。

 だが、カマキリの様子がおかしい。自分の姿を見てきょろきょろとするばかりだった。


『はっ、ボクは何をしていたんだ?!』


『素晴らしいな。起きたか、そこな同類よ』


『誰だ!』


 ノワールが近付いていくと、カマキリは興奮気味に両手を構えている。


『そう興奮するな、我々は同類だ』


『同類?』


 カマキリが首を横に倒している。


『そこな少女の力によって、我々は少女の支配下に置かれたのだ。ちなみに我の個体名はノワール。少女より賜った名だ。とても気に入っているぞ』


 言葉は分からないが、ノワールの態度を見る限り楽しそうだなということは伝わってくる。

 ノワールはまだ警戒を崩さないまま、クロノが抱えるブランへと近付く。


『今はまだお休み下さい。あやつはこの我が説得してご覧に入れましょう』


 まだ意識のあるブランは、ノワールの言葉にこくりと小さく頷いていた。


「みんな、ノワールがさっさと帰ろうって言っています。詳しい話は航宙船に戻ってからしましょう」


 ブランがよろめきながら話をしているので、アーツたちはそれに従うことにした。

 倒したカマキリも、ノワールと一緒に航宙船まで来てもらう流れとなった。

 それというのも、航宙船の中ならひとまずは安全というわけだからだ。

 草や木の実といったものをたくさん持っているだけに、何かに襲われない保証はない。

 今日は運よく巨大なトカゲたちには遭遇していないが、カマキリには襲われている。

 さっさと摘み取った植物の詳細を知りたいために、俺たちは足早に航宙船へと戻っていった。


 俺たちはどうにか航宙船まで戻ってくることはできた。

 巨大なトカゲたちの姿を見ることはなかったものの、時折その巨体が歩く振動が伝わってきていた。

 あまりにも大きな振動だったので、改めて奴らの脅威というものをその身に感じていた。


「ふぅ、姿が見えないのに歩く時の振動が伝わってくるって、どれだけの重量があるんだよ……」


「まったくだな」


「外で話をしている場合じゃないわよ。さっさとハッチを開けて中に入りましょう」


 航宙船まで戻ってきたところで、悠長に話を始めるアーツとレンクスにクロノがお叱りを入れる。


「だな。さっさと分析にかけてもらわないと」


 手の空いているアーツは、クロノに怒られたこともあって、すぐさま航宙船の出入口の操作をする。

 航宙船の後部が開き、あっという間に足場ができ上がる。


「さあ、さっさと入るぞ」


「おう」


 今日は最初にレンクスが中へと入っていく。

 草や木の実の入ったバカでかい箱を持っているからだ。少しでも早く分析にかけたいからこそ、最初に入っていくのである。

 続いて、ノワールに乗ったブランとクロノ、最後にアーツとカマキリが入っていく。


「うん? なんだよ」


 アーツはカマキリがじっと自分の方を見ていることが気になった。

 だが、カマキリはぷいっと顔を背けると、アーツを残してブランたちの後を追いかけて中へと入っていった。


「なんなんだかなぁ……」


 言葉の通じない相手だけに、アーツは気持ちが分からずに気味悪く感じているようだ。


 いろいろと思うところはあるものの、アーツたちには二体目の虫が仲間となった。

 彼らがいれば、ブランの通訳が必要ではあるものの、行動範囲を広げることができるだろう。

 新たな仲間を迎えたのはいいが、アーツたちの抱える問題には何の進展もない。

 一体いつまでこのような生活を強いられるのだろうか。

 先行きの見えなさが、少しずつアーツたちに影を落とし始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。