中2
部屋に戻ってベッドに座って考える。
胸が揺れて動き辛い…。こんなサイズ見たことないぞ?これが自分のじゃなければなぁ…。
しかし、ここまで来るのにいつもより時間がかかったな。背も小さくなってるっぽいから歩幅の関係か?
胸はデカくなって背は縮んで…仕事に障る要素しかないのが不安を煽る。
そうしているうちにドアがノックされた。
替えの服を持ってきてくれたのかな?
ドアを開け、メイドさんに礼を言って麻袋を受け取る。
メイドさんっていいよな…。憧れるわ。
さ、着替えて仕事に戻ろう。
どれどれ…。!?
袋の中にはメイド服がある!?あ、下着も上下セットである…。
いやまぁ、女性がここで働くならこうなるって予想つきそうなものだけど!
さっき憧れるって言ったのはなりたいって意味じゃないから!!
ま、まぁ着ないといけないのはわかるし…。
男なら腹をくくって着替えよう。
まずは今着てる服を脱がなきゃな…。胸元がきつくて脱ぎづらいことこの上ない。一生懸命にシャツを脱いだが…
ブルンッ!
痛ェ!!
脱ぎ方が悪かったのか胸が大きく揺れてしまった。
巨乳が大きく揺れると胸の付け根が引っ張られてすごく痛い。1つ賢くなったな。虚しい。
さて、女は胸帯をつけるっていうのは知識としては知っていた。
いつかの夜のための特訓と称して、構造も調べたりした。だから外し方はわかる。
でもつけ方なんて知らないし!!普通そっちは調べないじゃん!!
…言ってる場合じゃないな。とりあえず適当に巻いとこう。
…かなり苦しいな。息が詰まる。
ま、まぁいいか!
さて、下も着替えなきゃな…。ん?尻も大きくなってるのか。ズボンが脱ぎにくいな。
っと。勢い余って下履きまで脱げちまったか。
…やっぱり無いんだな。初めてみるソレが自分のとか悲しいな…。
さっさと着替えよう。下履きも女性用なのはわかってる。はこう。
あっ…股間にフィットする…何も無い…。
男として重要な何かを失ったぜ…。
あとは服を着るだけか。着方なんてわからないが…。
?これは靴下か?長いな。まあいいや。これは男と同じだし。
うん?ずり下がるな。あ、この紐で吊るのか。ほーん…
そしてメイド服は…??
おぉ?上下が繋がってるのか?これどこから着れば…
あ、背中にファスナーあった。ここから足入れて着れば行けそうだな。
よっと。おお…着れた。ファスナー上げなきゃ。あ、背中に手が回る。男より体が柔らかいのか。
あとは…エプロンか。フリルがついてるのと少し大きい以外は普通のエプロンと変わらないな。助かる。
ん?まだ何かあるな?あ!これ頭のやつだ!これは知ってるぞ”カチューシャ”ってやつだな。かぶる。
さてどんなもんかなっと。部屋にある姿見で全身をチェックする。
!?
低身長巨乳メイド…!!
自分のあまりのフェチ加減にめまいがしたものの、メイド服はきちんと着れているようだったので安心した。
鏡の自分に一瞬鼻血を出しかけたのは、墓場まで持っていく秘密にしよう。
さて職場に戻ろうか。部屋を出て食堂へと向かう。
その途中に見慣れぬ女騎士とすれ違っt…!?
「リュ、リュウ!?」
首から下は麗しいとしか言えないような女騎士なのに、その顔は幼馴染のリュウだったのだ。
いや、よく見るとしっかりと女の顔になっているが名残はある。見る人が見ればわかるはずだ。
「れ、レンなの!?」
リュウも驚いてこちらを見る。ってよく考えると俺も同じ状況じゃ無いか!恥ずかし!
さっき鏡見てだいぶ可愛いくなっちゃったと思ったけど、やっぱりわかるんだな…。
「りゅ、リュウは身長変わらなかったんだな?」
全力で話題をそらそう。服装と胸の話に行ってはいけない。顔が熱いのがわかるが無視して言った。
「そ、そうだね!レンはずいぶん小さくなったね?」
乗ってきてくれたのは良いが、その話題もキツイな…。
言われてみると、ずいぶん差がついたようだ。頭1つ分くらい違ってしまったか?
昨日までは同じ目線だったのに今は見上げるしか無いのが悔しいな。
「お互い頑張ろうね…」
慰めるようにリュウが言った。
「そうだな…」
俺は思わず俯きながらそうこぼした。
リュウが警備班の詰め所へ向かうのを見届けてから俺も食堂へと向かった。
食堂に着くと料理長が待っていた。
なんだか嬉しそうだ。
「君にはこれからウエイトレスとして食堂で働いてもらおうと思う!」
俺の顔を見るなりそんなことを言い出した。いやいや、元男にウエイトレスは無いだろ!?
驚きと憤慨を込めて料理長をにらみながら答えた。
「ウエイトレスは嫌です!前と同じ仕事にしてください!」
料理長は一瞬驚いた顔をしたものの、申し訳なさそうな顔で言った。
「そうは言っても…前の仕事って食材運びが主じゃなかった?その…キツくないか?」
人のいい料理長だから意地悪で言っているのではないのはわかった。しかし…
「うっ…それは…そうですけど…!そうだ!掃除とかなら!」
我ながらいいアイデアではないだろうか?これでウエイトレス回避だ!
「いや、掃除は設備班のメイドがやってるだろ。俺ら食堂班の仕事じゃないぞ?」
呆れたようにそう言われてしまった…。そうだった。管轄外だった…。
「と、いうわけでな?頼むよ!食堂に華が欲しいと思ってたんだ!」
料理長が手を合わせて頼み込んでいる。仕方ない。男らしく腹をくくるか。
「…わかりましたよ。やります…。」
あれ?反応がない?
かなり嫌そうな態度で言ってしまったからか…無礼すぎたか!?
もしやクビ!?それは困る!
「すいません!あ、あの真面目にやりますから!クビだけは…!」
「お、おぅ…。さっきの嫌そうな顔、他の男に見せたらダメだかんな?」
どうした料理長、顔が真っ赤だぞ?
もしかして怒り心頭だったか…。
「ハイ、以後気をつけます…」
これ以上刺激しないようにしおらしくそう答えたのだった。