名前が付きました
登場人物が基本男性キャラクターばかりのため、読まれる方によっては、若干のボーイズラブ要素を感じてしまうかも知れません。
ご注意のほどよろしくお願いします。
昼飯の後、青龍の淹れてくれたお茶で一息吐いた俺たちは、犬神を連れて母屋にいる祖父の元へと向かった。
「祖父ちゃん」
縁側で何やら考え込んでいる様子の祖父に声を掛ける。祖父は俺の呼び声に、はっ、と顔を上げると、ほっとした様子を見せる。
「お帰り。怪我はないか?」
俺たちを見てすぐにまた心配そうな顔をする。俺たちは祖父を安心させる様に、笑って大丈夫だと告げる。そして、犬神の事を報告した。
「そうか、やっぱり父が関わっていたか・・・」
曾祖父が関わっていたであろう事実に、祖父は悲しそうに肩を落とす。そんな祖父の様子が気になったのか、それまで朱雀に黙って抱えられていた犬神が、朱雀の手から抜け出し、祖父の元へと駆け寄って行く。
「くぅーん・・・」
まるで謝っているかの様に祖父の前でお座りして犬神が鳴く。
「この犬は?」
祖父はその時初めて犬神の存在に気付いたのであろう、少し驚いた様子で犬神を見つめる。
「こいつが犬神だよ」
そう言うと、祖父はさらに驚いたような顔をする。そして、また悲しそうな顔を見せ、俺たちにある話を聞かせてくれた。
「私はこの子を知っている気がするんだ。父が終戦間際に研究所に招集された話はもうしたね?その頃、父は頻繁に家に犬を連れて帰って来ていたんだよ。当時は人でさえも食べる物がほとんど無かった時代だ。にもかかわらず、犬にはきちんと餌をやって随分可愛がっていた。私もね、犬は好きだったから、当時はなんの疑いもなく可愛がっていたよ」
そこまで話し、祖父は犬神の頭を優しく撫でる。犬神も嬉しそうに尻尾を振っている。
「よく覚えているよ。この犬は、父が連れて帰ってきていた犬とそっくりだ」
犬神を撫でる祖父の目元から涙が零れる。
「呪いなんかのために利用されて、殺されて、今までずっと苦しい思いをさせていたんだね」
犬神に向かい、すまない、と祖父が頭を下げる。犬神は小首をかしげ、何か考えるような素振りを少し見せると、祖父の手をぺろぺろと舐め始める。犬神も分かっているのだろう。祖父が悪い訳では無いことを。そして、もう怨念も憎しみも無い。
「祖父ちゃん、犬神は何も怒ってないよ。それより、頭でも撫でてやった方がよっぽど喜ぶよ」
俺がそう言うと、同意するように、わんっ、と犬神が一吠えした。そうして、祖父に体を擦り付け撫でろとねだる。
「ありがとう、クロ」
祖父が懐かしそうに目を細め、クロ、と呼び犬神を撫でる。犬神、クロも幸せそうに祖父に撫でられていた。
その後、犬神はクロとして母屋でほとんどの生活を送っている。
「そういえば、何で犬神はクロの姿なんだ?ほかの奴らは俺の潜在意識で姿が決まってるのに」
「犬神の未練かもしれないですね・・・」
俺の問に青龍がなんとも言えない、複雑そうな顔で答えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも続けていきますのでよろしくお願いします。
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*登場するキャラクターの性格等は全てフィクションであり、作者の書きやすいように作られたものです。




