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呼んでないですよ!?  作者: 犬犬太
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呼んでないですよ!?

登場人物が基本男性キャラクターばかりのため、読まれる方によっては、若干のボーイズラブ要素を感じてしまうかも知れません。

ご注意下のほどよろしくお願いします。

家は代々神社で、陰陽師を勤める家系だった。

だったというのは、女系の家系で陰陽師としての力も女の子供にのみ伝わっていたから。しかしそれも、曾祖父の代で終わった。曾祖父に姉妹は居らず、力を受け継いだ子供はそこで途切れた。

とはいえ、なんとなくだが、曾祖父も、祖父も、父すらも人ならぬ者の存在をほんの少し感じることが出来ていた。

でも俺はそんな少しの力すら受け継ぐことも無く、平凡な、ごくごく普通のITオタクとして育った。

力が無いとはいえ、いずれは陰陽師として神社を継ぐ事になっている。そんな俺を両親は、学生時代ぐらい好きな事をやれとIT系の専門学校へと通わせてくれ、俺は見事に携帯アプリぐらいなら簡単に作れるようになっていた。

家業の跡継ぎでさえなければ確実にシステムエンジニアになっていただろう。

そして今、俺の技術の全てを注ぎ込んたアプリ、"神様召喚"アプリが完成した。

神様召喚とはいえ、ただのゲーム。召喚する神様は伝説上の神獣なんかを萌えキャラにしたもので、そのキャラをスマホの画面上で九字を切って召喚して敵キャラを倒してレベルを上げていくという物だ。

さすがに個人レベルのシステムじゃ、ユーザー同士での対戦は無理だったけど、それなりのゲームができたと思う。

あとはアプリをストアに公開するだけ。

その前に最終確認として一度プレイしておこう。

画面上のアプリを開くとゲームの戦闘チュートリアルが開始される。チュートリアルでは一応レアキャラの朱雀が手に入る。これは、誰がプレイしても必ず起こるイベントだ。チュートリアルに従って画面上に表示される九字をなぞる様に切っていく。


「臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前、と・・・」


その瞬間目の前の画面から目が眩むほどの光が発せられた。あまりの眩しさに目をと閉じ、画面から顔を背ける。

その時、ぼとりとそこそこの重さを感じる物が床に落ちる音がした。

眩しさが治まり、音の方へ恐る恐る薄目を開け視線を向ける。


「・・・!?」


あまりの謎の光景に慌てて辺りを見回した。一体何処から入ってきたのか、床の上には何故か青いイグアナがいた。ここは田舎だ。ヤモリやトカゲならまだ解る。だが、イグアナは有り得ない。頭の回転が追いつかず、黙ってイグアナを見ているとイグアナが動き出した。


「やっと呼び出していただけましたね、主ー」


というか、喋った!?

あまりの驚きに声を出すことも、動くことも出来ない俺に、イグアナが飛びついてくる。イグアナってこんなに飛び上がるものなのか!?

イグアナを太ももにくっつけたまま、あまりの混乱によく解らなくなっていると、再び床に何かが落ちる音がした。しかも今度は複数だ。嫌な予感しかしないまま、音の方へ頭を動かす。

そこにいたのは赤味の強い軍鶏、白い虎猫、そして黒い亀だった。

俺の部屋は二階で、窓はもちろん、部屋への入口、押し入れも締まっている。つまり完全な密室。

一体何処から入ったんだ。あまりの驚きに夢なのではと思い、太もものイグアナもそのままにベッドへと歩みを進め、そのまま布団へ。


「主、混乱するのは解るが現実を見てくれ」


今一番現実から掛け離れた存在の亀から現実を見ろと言われた。そうは言われても、現実とは何なのか解らなくなっている。


「主がオレ達を呼んだんだぜ?」


虎猫が気だるそうに話す。


「俺が呼んだ?何の為に?」


そりゃあ、子供の頃犬や猫を飼いたいと思った事もあった。でも今は別にそうでもないし、ましてや、イグアナや亀、鶏なんて飼おうと思ったことは無い。


「それは主がオレ達を必要としたからに決まってるだろ」


軍鶏が羽を広げやれやれと言うように話す。


「そもそも、呼ぶって言ってもどうやって呼んだんだよ?」


俺に動物と会話する能力なんてあったことは無い。少なくとも今までは。


「こちらのアプリですよ」


イグアナが俺のスマホをタップする。


「アプリを媒体にする事で主に内在する陰陽師としての力が増幅されたようだ」


亀が冷静に説明をしてくれる。が、納得いかないことがある。


「このアプリは神様を召喚するゲームだ。呼び出すなら神様を呼び出せるはずだ。でもお前ら、どう見てもただの動物じゃないか」


もっともな疑問だ。アプリが媒体なら神様、しかも萌えキャラが出てくるはずじゃないか。


「それは、本来の青龍の姿で出できたらかさばるからです」


イグアナが申し訳なさそうに話す。


「そのままの状態だと猛獣が逃げ出したとか騒ぎになるしな」


虎猫がベッドでくつろぎながら話す。


「家、燃えるかもしれないしな」


軍鶏が首を傾げる。


「蛇の方も呼ぶか?」


亀が言う。


「じゃなくて、なんで動物なんだよ?アプリが媒体なら女の子が出てくるはずじゃないか」


あまりにも現実から掛け離れた状況に俺も考えが麻痺してきたみたいだ。


「それは、人型はかさばりますし、我々は本来無性別ですから。ご希望なら人型にもなれますが男性の姿ですよ?」


イグアナが少し困ったような顔をする。

男がこの狭い部屋に四人も増えるのは確かにかさばる。


「ならなくていい・・・」


少し、ほんの少しだけこの状況に慣れた頭で考えた。


「で、お前ら何者なの?」


この際、動物が話してるってのは置いておく。正体が解れば夢でも現実でもどうでもいい。正直疲れてきたから。


「では、私から」


イグアナが咳払いを一つ、話し出す。


「私、青龍と申します。主にお使えするのを心より嬉しく思っております」


イグアナは太ももにくっついたままキラキラとした瞳で俺を見つめた。


「オレは朱雀。このままじゃ飛べないけど、ホントの姿のオレは飛べるしなんてったて不死身なんだぜ」


軍鶏が胸を張っている。


「オレは白虎。名前の通り白い虎だ。珍しいからって動物園に売り飛ばすなよ」


虎猫はもう既にベッドの上で寝ようとしている。


「俺は玄武だ。相棒の蛇は本来の姿になれば尻尾にいる」


のんびりとした口調で話す。


「俺は三善弥勒」


一応名乗ってみたものの、


「主のことを知らないわけが無いではないですか。我々は主が生まれた頃からずっとお仕えするのを夢見ていたのですから」


相変わらずのキラキラとした瞳が俺を見ている。


「さぁ、これからは心置きなく共に妖怪退治と行きましょう」


心の底から嬉しそうな口調のイグアナと、それに賛同するように頷く軍鶏、虎猫、亀が目の前にいる。

俺の平穏無事な日常はこうして終わることになった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも続けていきますのでよろしくお願いします。

感想、レビューなどお待ちしております。


*登場するキャラクターの性格等は全てフィクションであり、作者の書きやすいように作られたものです。

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