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異世界リサイクル生活! 〜人魚と兎とエルフのドタバタシェアハウス〜  作者: 月神世一


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EP 10

タイガ再襲来! 要塞村ポポロの圧倒的勝利と、100万円の札束ベッド

「貴様らァァァッ!! よくも俺をコケにしてくれたなぁぁっ!!」

ポポロ村の巨大な跳ね上げ門の外。

松明の炎が夜の闇を赤く染め上げる中、レオンハート獣人国の悪徳徴税官・タイガが、怒りで顔を歪ませて怒鳴り散らしていた。

その後ろには、槍と盾で完全武装した正規軍の兵士が500人。限界集落一つをひねり潰すには、あまりにも過剰な戦力である。

「ハッピードリームの幻覚が解けた時は、本当に石ころを抱いて喜んでた自分が恥ずかしくて死にそうだったぜ……! だが、今日こそ貴様らを皆殺しにして、村ごと焼き払って――」

タイガが魔法の拡声器で凄みながら、ふと顔を上げた。

そして、その口の動きがピタリと止まった。

「……は?」

彼の目の前にそびえ立っていたのは、今にも倒れそうだったボロい柵などではない。

高さ4メートルに及ぶ分厚い丸太の防壁。その手前には、兵士の侵攻を阻む深さ3メートルのV字型の空堀。そして、堅牢な鎖で吊り上げられた巨大な城門。

「な、なんだこれは!? 幻術か!? たった二日で、スラム村が国境の砦(要塞)になってるじゃねぇか!!」

パニックに陥るタイガをよそに、防壁の上から優也が拡声器(消費ポイント:10p)で気怠そうに応答した。

『あー、あー。マイクテスト。……夜分遅くに騒音を立ててすまないが、ここは現在、キャルル村長管轄の私有地だ。不法侵入は実力で排除させてもらうぜ』

「ふ、ふざけるな! たかが木の壁がなんだ! おいお前ら! 堀を埋めて壁をよじ登れ! 皆殺しにしろ!!」

タイガの号令で、500人の兵士たちが「ウオォォォッ!」と雄叫びを上げて突撃を開始した。

だが、彼らを待ち受けていたのは、優也の重機でもキャルルの暴力でもなかった。

「姉御の村を荒らす奴らは、俺たちが許さねぇぇぇっ!! 放てェェェッ!!」

防壁の上から一斉に顔を出したのは、上半身裸で泥まみれの屈強な男たち――昨夜キャルルに調教(洗脳)された100人の狂信者たちだった。

「なっ!? お前ら、国境周辺を荒らしてた野盗連合じゃないか! なぜ村の味方を……ぐはァッ!?」

突撃の先頭を走っていた兵士の顔面に、凄まじい速度で何かが激突し、弾けた。

それは石でも矢でもない。機関銃のように連射される『ダイズラ豆(突然変異サイズ)』だった。

「ギャァァッ! 豆!? 豆が鎧をへこませてるぞ!?」

「ひぃぃっ! 上から巨大なかぼちゃが降ってきたぁぁっ!」

ズドォォォォンッ!!

狂信者たちが投石器代わりに投げ落とした数トンクラスの『ハニーかぼちゃ』が、正規軍の陣形を次々とボウリングのピンのように粉砕していく。

さらに、堀の中に先陣が雪崩れ込んだ瞬間。

「シャァァァァァァッ!!」

「ぎゃああああっ!? 堀の中に、牙の生えた人参の化けマンドラがウジャウジャいるぅぅっ! ケツを! ケツを噛まれたぁぁっ!」

水路の水を引いて泥沼化した堀の底で、凶暴化した人参マンドラたちが正規軍の足に次々と噛み付いた。

「バ、バカな……! 正規軍500が、たかが野菜と野盗の石つぶてで足止めされているだと!?」

戦慄するタイガ。

そこに、優也の冷酷な現場監督としての声が拡声器から響いた。

『よし、オーガニック防衛システムは正常に作動したな。……門を開けろ! 俺が直々に掃除してやる!』

ギギギギギ……ガシャァァァンッ!!

重々しい音と共に跳ね上げ門が下り、堀の上に橋が架かった。

そして、その暗闇の中から、二つの強烈なライト(作業灯)がタイガたちを照らし出した。

ボロロロロロロロォォォォォォォッ!!!

大地を震わせる魔石ハイブリッド・ディーゼルエンジンの咆哮。

黒煙を吐き出しながら門から姿を現したのは、鈍く光る巨大なバケット(爪)を天に掲げた、3トンクラスの『ユンボ(油圧ショベル)』だった。

「ひ、ひぃぃぃっ!? な、なんだあの鉄の化け物はぁぁっ!!」

未知の巨大兵器の登場に、正規軍の兵士たちがついに恐慌状態に陥る。

優也は運転席でニヤリと笑うと、ジョイスティックを素早く操作した。

ユンボがキャタピラで泥を跳ね上げながら突進し、タイガの目の前にいた数十人の兵士たちを、巨大なアームの『横払い』で文字通り一掃する。

ガシャァァァァンッ!!

「「「うわあああああああっ!!」」」

魔法も闘気も通じない、純粋な『工業の質量』。

優也はユンボのアームを器用に動かし、兵士の持っていた槍をへし折り、盾を紙くずのように潰していく。誰も、その鉄の獣に傷一つ付けることはできない。

「ば、バケモノだ! 勝てるわけがねぇ! 逃げろぉぉっ!!」

500人いた正規軍は、巨大野菜の猛攻と鉄の重機の蹂躙によって完全に戦意を喪失し、武器を放り出して蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった。

「ま、待て! 逃げるな貴様ら! 俺を置いていくなぁぁっ!」

一人残されたタイガが、腰を抜かして地面を後ずさる。

そのタイガの首筋に、ヒンヤリとした『冷たいトンファー』が押し当てられた。

「……あーあ。せっかく私が、今日は大人しくしてようと思ったのに」

「ひっ!?」

タイガが顔を引きつらせて振り返ると、そこには極限まで低い声を出したキャルルが、ウサギ耳をピクリとも動かさずに立っていた。

「私の村(現場)を荒らした落とし前……どうつけてくれるの?」

「お、お許しをぉぉ! 姉御ぉぉぉっ! もう二度と、ポポロ村には近づきませんからぁぁっ!」

昨夜の「満月の夜の惨劇」の噂を思い出したのか、タイガは泡を吹いてその場で完全に気絶した。

ポポロ村防衛戦、完全勝利である。

「ウオォォォォォォォッ!!」

「姉御バンザイ! 現場監督バンザイ!!」

要塞の防壁の上から、狂信者たちと村人たちの割れんばかりの歓声が夜空に響き渡った。

……数日後。ルナミス帝国、冒険者ギルド。

「はい、こちらが『ポポロ村復興特別クエスト』の達成報酬、100万円になります!」

受付嬢が、分厚い札束(ルチアナ紙幣)の山をカウンターにドンッと置いた。

優也たちは、無事にポポロ村のインフラ整備と防衛を完遂し、村の運営を「改心した狂信者たち」に任せてルナミスへと帰還していた。

「ひゃ、ひゃくまんえん……っ!!」

リーザが札束の山にダイブし、頬擦りをしながら感涙にむせいでいる。

「さらに!」と受付嬢が興奮気味に続ける。

「ポポロ村からルナミス商業ギルドへ卸された『オーガニックメガベジタブル』が大ヒットを記録しまして! その専属プロデューサーであるリーザ様への特許料として、追加で50万円のボーナスが入っております!」

「ご、ごじゅうまんえん追加ぁぁぁっ!? もうダメですぅ、私、タローソンごと買い取って一生遊んで暮らしますぅぅっ!!」

リーザの守銭奴ビジネスは見事に大成功を収め、ポポロ村は「巨大野菜の輸出村」として莫大な富を築き始めていた。

「……まぁ、結果的に大黒字だな。俺のポイントも、村を救ったことで一気に1万ポイントを超えたしな」

優也は、自分のジャージのポケットで重みを増した『未来のDIY資金』を感じながら、満足げに笑った。

「優也君、本当にお疲れ様。……村長って呼ばれるのはもうウンザリだけど、アンタがいなかったら、あの村は本当に滅んでたわ」

キャルルが、少しだけ頬を赤くして微笑んだ。

「あらあら、私の野菜も大活躍だったわね♡ 次はどんな村にお花畑を作ってあげようかしら?」

ルナが、全く懲りていない笑顔でとんでもないフラグを立てる。

「お前はもう二度と杖を振るな」

優也の容赦ないツッコミがギルド内に響き渡る。

地球の粗大ゴミと現場知識で異世界をDIYする男、高木優也の破天荒な村起こしは、こうして最高のハッピーエンド(と札束)と共に幕を閉じたのである。

――だが、優也の「リサイクルマスター」としての現場仕事は、まだ始まったばかり。

1万ポイントを超えた彼が次に召喚する『規格外のゴミ』とは? そして、リーザの食欲を満たすための次なるターゲットとは?

第二章・ポポロ村編 完

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