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王子と側近二人とHP0になると何処からともなく現れる謎の棺

 

 ノエルとの出会いから、二週間程経った。


 まだ無理はさせられないが、クレストが来て、座学的なチュートリアルを受けてもらっている。

 

 この世界は地球と異なり、創世神たる女神が、本当に力を振るう。


 直接的な関与は流石に滅多に無い。


 しかし、直接的でない関与は日常的に存在している。


 ステータスや魔物などもそうだ。


 人間の悪意から瘴気が発生し、瘴気から魔物が発生する。

 瘴気や魔物の発生によって、人間による犯罪は抑制されている。

 

 魔物は、言わば、人間の身から出た錆。

 この身から出た錆を、人間が自分達で処理できるように、ステータスと言うものがある。


 魔物は、人間しか襲わない幻のようなもの。

 魔物に対抗するためのステータスも、魔物に対してしか効果の無い幻のようなもの。


 ステータスが効果を発揮するのは、魔物がある程度以内の距離に入った時のみ。数十m内位かな。


 魔物が居ない時に練習で使うことも出来なくは無いが、綺麗な光のエフェクトが出るだけだ。


 ノエルのチュートリアルも、やはり実践でないとあまり効果が無い。


 そう言えば、攻略対象達も来た。

 そう言えば扱いしてしまったが、あまり思い出したくないのである。


 ゲームでは、オープニング後、攻略対象である第二王子とその側近二人によるチュートリアルが始まる。


 と言っても、このチュートリアルは乙女ゲーム要素用の仕様なのだ。


 RPG派の私は、サッサとルルーシェと仲良くなって、ルルーシェの紹介する騎士団長と宮廷魔術師による、真のチュートリアルを受けて、ルルーシェとフリー参加の魔術師を仲間に入れて、とっとと旅立っていた。


 本来ならば、王宮で受ける攻略対象によるチュートリアルであるが、出張してきてくれた。


 それ自体は有難いのだが、教え方下手すぎィ。

 

 先ず、王子アーノルド。

 金髪碧眼、見た目だけなら十人中十人がカッコいいと言う見た目をしている。

 しかし、私が嫌われてるせいなのか、私には性格の悪いアホにしか見えない。

 王妃様をチヤホヤしてる国王くらいデレるようになったら、アリ?

 

 チュートリアルでは、自身にできる最高位の魔法を披露しては、

「どうだ?凄いだろう!いくらでも尊敬してくれて良いのだぞ」

 などと言っては、模範演技という名の接待を強要してきた……


 次に、重騎士トワイライト。アーノルドの護衛。

 黒目黒髪、この国の悪巧み系貴族顔から、悪役要素だけを抜いたような顔立ち……カッコいい。

 ナニソレ、ずるい。


 無口が売りのキャラらしく、

「フン!フン!」剣を振って見せて、

「やってみろ」差し出す重騎士。

 聖女は弱ってて、今動けねーって言っといただろ。


 弓騎士アレグレット。実はアーノルド付きの文官。

 銀髪碧眼。この国の思いやり無い系貴族顔に適度に温かみを足したような顔立ち。普通に美形。

 ……理不尽。


 補助魔法が得意ということで、魔法のチュートリアルだったが、理論的なことばかりを、どこで息継ぎしてるのか謎のレベルでしゃべり倒す。


 ノエルの目からハイライトが消えてしまったので、三人ともお引き取り頂いた。

 何故こんな序盤に、聖女闇落ちの危機、みたいな恐怖を感じねばならんのか……


 ちなみに二人は、悪役要素が顔面に無いせいなのか、闇魔法が使えない。

 悪役顔はやはり呪いとしか……


 RPGパーティーメンバーとしての彼らを紹介しておこう。


 アーノルドは、万能型と云えば聞こえはいいが、前衛を任せるにはフィジカルが弱く、後衛を任せるには火力が弱い。私は、ほとんど使ってなかったと思う。


 側近二人は、序盤の前衛が足りない時、結構役立つ。

 ただし、戦闘にアーノルドが参加しているとアーノルドを最優先で守るようになっており、その場合役に立たない。


 戦闘は四人入れられるので、前衛二人と後衛二人で行きたいのだが、序盤は、トワイライトとアレグレット、クレストとこれから仲間になる魔術師で行くのが、最も無難だ。


 アレ?と思ったかな。そう、聖女入れてないのである。


 実は、聖女はイベント的に活躍してもらえさえすれば、普段の戦闘はクレストの方が役立つ。


 聖女は、回復魔法と補助魔法、そして聖女にしか使えないという必殺技のような魔法が使えるのだが、その必殺技は、通常戦闘の後にイベントシーンで使われるので、戦闘はクレストで大丈夫、という矛盾っぽい仕様。


 一方のクレストは、回復と補助の他に、主だった攻撃魔法がほとんど使える。使えないのは、聖女の必殺技っぽいのと、各属性の攻撃魔法の最終奥義みたいなのだけ。

 そして、MPが非常に豊富なため、回復・攻撃の両方を担当してもらっても大丈夫なのである。


 ヒロインとメインヒーローをパーティーに入れてもあまり良いことがない。

 ……安売りしてたゲームです。


 クレストの件は、思い出してから非常に悩んだ。


 ゲームでは、遠慮なくクレストをバンバン使ってた私だけど、ここは現実。


 十三歳の子供を魔王討伐の旅に連れて行くのはダメじゃね?

 

 周りの大人にも色々相談した。


 結論、連れていきます。


 これは、この世界特有の事情による。

 

 この世界の魔物や魔王は、瘴気で出来たいわば幻のような存在。

 それらに攻撃されて、HPが0になってもケガもしないし、死なないのである。


 ではHP0になると何が起こるのか?


 何処からともなく現れた棺に入れられてしまい、気を失ってしまう。

 教会の人達は、この棺のことを女神の慈悲とか最後の守りとか言っている。

 パーティーメンバーが全員この状態になってしまうと、最後のセーブポイントに飛ばされてそこで復活出来る。


 セーブポイントは二種類あって、教会とかが持ってるアイテムと、称号『女神の使徒』持ち。

 称号持ちの場合、 パーティーメンバーでもない限りは、セーブしてもらおうと思って話しかける必要がある。


 アイテムはかなり貴重で、全ての教会に配置されてるわけではない。

 教会がこの称号を重要視しているのは、このせいなんだね。


 そして、この国の貴族は、結構この称号持ちが多くて、私もこの国の貴族。

 つまり、私も持ってる。


 原作のルルーシェは、まだ持ってなかったから、そこはゲームとの相違。

 

 この称号が思ったよりずっと早く取得出来たので、強制力のようなものは少なくとも弱いのだと思う。

 

 だから、聖女パーティーについて行くのも私だけとかではなく、キャラバンのようなものを用意してもらっている。

 今世の父に相談した時、

「当然だろう?世界の命運を掛けて戦ってくれるのに、一人二人ついて行くだけなどあり得ない」

 た、確かに。



<現在の第二王子アーノルドのステータス>


名称:アーノルド

年齢:17歳

称号:ホープランド王国第二王子

状態:正常

Lv  10

HP  1450/1450

MP  840/840

攻撃  126

防御  135

魔攻  113

魔防  142

命中  110

回避  98


 ちなみに、この国では、王侯貴族中心に、十八歳の成人時にLv20が推奨されている。

 つまり、十七歳でLv10のアーノルドは……


読んで下さってありがとうございます。


ステータスは雰囲気でお楽しみ下さい。


今回のキャラ紹介、あまり面白く出来なくてすみません。

次回は魔術師の紹介で、来週からいよいよ始まるつもりです。

お付き合いいただけると嬉しいです。


励まし、ありがとうございます。

助かります。


そして、誤解させてしまったようなので、少し修正しました。

ゲームのルルーシェは、『女神の使徒』を持っていませんでした。

つまり、常にオートセーブ状態ではありません。


追加修正しました。

『女神の使徒』にセーブポイントになってもらうためには、そのつもりで話しかける必要があります。

そのつもりがあれば、「おはよう」や「行ってきます」位で十分ですが、そうとは知らずに「おはよう」ではセーブポイントになりません。

思ってた以上に説明の必要な設定でした。

復活も、称号持ちが自宅に居たら、ドアの外とかです。


設定の面倒くさい話ですが、

少しでも楽しんでいただければ幸いです。

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