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箱入り神官と呪われし一族の三つの秘密


 謁見の日の翌日。


 ゲームならチュートリアルが始まっているが、ヒロインにはまだ休んでもらっている。

 飢餓状態からは脱しているが、昨日の今日だからね。

 

 代わりと言っては何だが、神官クレストがやって来た。


「ノエルの様子はどう?」

 しょんぼりしている。

 

 神官クレストはまだ十三歳。

 勇者と聖女以外では、極めて希少と言われる光属性の持ち主。

 神託で選ばれる勇者と聖女は、神託と共に光属性を授かるが、その場合以外では生まれつきである。

 クレストは、光属性に相応しい金髪金目の美少年。

 教会は、クレストがまだ赤ん坊だった時に、光属性と気付いて、平民の両親から引き取ってきた。

 以降、教会の内部で、めっちゃチヤホヤしながら育ててきた。


「人間が食べなかったら死ぬって知らなかった……」

 王族よりも箱入りで育ってしまって、この体たらくである。

 

 クレストと私の出会いは、三年前。ヒロインと同い年の私が、今のクレストと同じ十三歳の頃。

 もう十歳になるのに、やけに体が小さいままのクレストを心配して、教会が最後に頼ったのが、我が国だ。


 教会としては、苦渋の選択だったらしい。

 

 我が国の貴族の特徴は、悪役顔なだけではないから。

 

 ついでなので、悪役顔以外の三つの特徴をあげてしまおう。


 一つ目。

 全員、領地経営の才能に恵まれている。


 一族に属する私が言うと自画自賛みたいになってしまってアレなのだが、前世の言葉で説明すると、育成や経営系のゲームが好物のゲーオタなのだと思う。


 個々人の好みに多少の違いはあるので、街づくり系が好きなタイプ、産業育成系が好きなタイプ、才能のある平民を発掘して育てる育成系が好きなタイプ、などなどあるのだが、いずれにせよ、領主サイドにいると役に立つような趣味をしている。


 趣味=仕事で、ほぼ無限にエネルギーを注げるので、自然に名領主になる。

 夜、ワインなど片手に、順調に増えたパラメータを確認して、ニヤニヤしてたりするのが楽しみなのだ。

 逆に、災害などで領民に被害があると、「可哀そう」とかの気持ちもなくはないが、「あー!せっかくここまで増やしたパラメータがー!」みたいな面の方が大きいと思う。

 一応、本人達にも、領民の命をある種の玩具扱いしている罪悪感があり、領民達に横柄に振舞ったりしない。ま、大事なパラメータだしね。


 二つ目。

 全員、闇属性である。


 悪役顔と合わせて、呪われてるとしか、という特徴である。

 闇魔法=魔物が使う、みたいな迷信もあることだし。

 しかし、教会は、闇属性も光属性と同じく女神様の恩寵、としているので、今回の件とは関係ない。


 ちなみに、闇魔法、めっちゃ便利である。


 使えるのは三種類しかない。


 最も闇魔法っぽいのがスリープ、これはそれほどでもない。


 どこでも大活躍、鑑定。

 何故、闇魔法?という疑問はある。


 そして、アイテム収納。この世界での正式名称は、影収納、出し入れが影になっていないと出来ないという後付けっぽい設定はあるが、

 そう、アイテム収納(インベントリ)

 これが、ルルーシェが仲間にいないとRPG要素を楽しめない最大要因。

 インベントリが自由参加キャラの固有能力とか、このゲーム頭おかしいと思ったわ。


 そして、最後三つ目、称号『女神の使徒』持ち。


 効果は、称号持ち本人に魔物が寄ってこないのと、会話した他者がHP0になった時の復活点になれる、要はセーブポイントになれるみたいな感じである。


 これは全員ではない。というか、生まれつきではない。


 取得条件は、分かっていないのだが、領地経営に関わっている者ほど、取得が早いので、何か関係があると思われる。


 この称号が、教会関係者垂涎もので、枢機卿以上は必須らしいのだ。なかなか取得が難しく、他の条件は満たしているのに、この称号が無いので枢機卿になれない、とかあるらしい。


 しかし、この国の貴族は、全く信心深くもないのに、二十歳前後から自然に取得し始め、三十歳位にはほぼ全員が持っている。


 それが理由で、教会関係者は、あまり我が国に積極的に関わってこない。


 嫉妬かよ。という話だが、別に教会と敵対したい訳でもないので、生暖かく接している。


 という訳で、クレストの成長不良に困って、最後に我が国に来たのである。


 クレストの成長不良の原因は、ただの栄養失調だった。

 甘やかされて育ったクレストは、偏食が酷くて、肉・魚・卵の類をほとんど口にしようとしない。

 成長期にタンパク質を摂ろうとしないから、小っちゃいまま。


 ……色々回って来たり、調べたりしてからここに辿り着いたんじゃないのかよ!という話なのだが、栄養学がまだ未発達だったんだね。それでも、そんな極端だったら、気が付いても良さそうなもんだけど、尋常じゃない甘やかし方をしていたし、子供が嫌いそうな野菜は食べてたから、分からなかったらしい。


 ここで私が颯爽と前世の知識で!とやりたかったところだが、この国の貴族は、そのオタク稼業のために、情報収集癖があるんだよね。

 あっさり、子供が肉や卵食べなかったら、大きくならないよ、となった。

 ま、ちゃんと領地経営してたら、人間に必要な栄養とか、何となく分かってくるよね。

 

 解決ゥ!……と行きたいところだったが、原因はクレストの偏食。

 

 ……食べようとしない。


 そこで私にお鉢が回って来た

 

 格好いいところじゃなくて、面倒くさいところが回ってくるのかよ!

 

 とは言え、和食が食べたくて、ちょこちょこ動いていた自業自得でもある。

 料理長とタッグを組んで引き受けましたよ。

 

 他の貴族達も協力してくれて、ナッツ類やアボカドっぽいもの始め色んな食材を融通してくれた。


 ……大変だった。


 プリン、カスタード、生クリーム。

 ……食べない。

 手っ取り早く、お菓子でいいから先ず食べてもらおう作戦失敗。

 この世界はまだ砂糖が高級品だから、珍しさで釣れないかと思ったが、教会内でチヤホヤされてたのがアダに……


 次、アボカドっぽいの。

 緑色に騙されて最初の一皿は食べたが、以降は食べようとしない。

 育ちが良いので、手を付けたものは食べきるのは偉いが……


 豆類はまだ食べるので、豆類を多く出す。

「ルルーシェが豆が好きみたいだから、付き合って食べてあげてるけど、僕はそんなに豆好きじゃないんだからね!」

 ……どーしてくれよう、コイツ。


 前世の私は、多分、二十代で未婚のまま事故死してると思うのだが、二度の人生合わせて、未婚のまま子育てのようなことをする羽目になるとは……


 茶碗蒸し、豆腐。

 茶碗蒸しNG。豆腐食べる。

 豆腐を食べるのが分かった時点で、料理長とガッツポーズ。


 和食っぽい物の方が食いつきが良いので、料理長と試行錯誤して、少しずつ魚を食べてもらう。


 ……徐々に改善してきた。


 終に、しゃぶしゃぶなら肉を食べてくれるようになった。

 ……思わず、料理長と抱き合って涙。


 結果、未だに我がサザーランド家でしか肉や魚を食べてくれません……


<現在の神官クレストのステータス>


名称:クレスト

年齢:13歳

称号:神官(司祭)

状態:正常

Lv  17

HP 1210/1210

MP 2220/2220

攻撃 107

防御 167

魔攻 287

魔防 276

命中 189

回避 177


 クレストってまだ13歳だけど、攻略対象なのかしら??

読んで下さってありがとうございます。


ステータスは雰囲気で楽しんで下さい。


ブクマ、ポイント、いいね下さった方、ありがとうございます。

終わり方は決めているので、完結まで頑張ります。

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