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馬鹿にするな!

「シルヴィ…また本かい?そろそろ社交界にも…」


「あっこれね?ありがとうお父様大好き!!!」


ちゅっと頰にキスをし、悶えている父をよそに本を抱えて書斎を出る。危ない危ない、社交界に出ないと本を与えないなんて言われたら面倒臭いことになる。…うふふふ、それにしてもこの本たち!!!評判は聞いていたけれど量が多くて普段買ってもらうには気が引けていたものがついに!手に入った!!!この作家は若いらしいけれどなかなか味のある文章を書くのよね~早く読みたい!そんなところに水を差す人が。


「おい、シルヴィア。」


「あらお兄様」


「お兄様???」


「お兄ちゃんどうしたの!!!」


久しぶりに会った兄は背が高くなっていてなんか変な感じ。もっと背が高くなるのだと知ってはいるもののこの頃はある意味で走り回っていた頃だったから新鮮である。


「お前もう9歳になるんだろう?そろそろ社交界に出るための勉強でもしたらどうだ。」


うげっとしか言いようがない。ここにも出ろ出ろ言ってくる人がいるとは。というか貴方だってこないだまで社交になんて目もくれず一緒になって走り回っていたではないか。


「聞いたぞ?ずーっと本ばっかり読んで勉強なんてしていないと」


そりゃそうだ。婚約者にならないために引きこもっているってのに淑女になる勉強なんてしてたら婚約者にされてしまうに決まっているではないか。…兄ってこんな人だったっけ?


「侯爵家の者としてもっと自覚を持つべきだし、本の中でも新興の小説なんて読むだけ無駄だ!」


…かっちーん


ニッコリと淑女然とした微笑みを浮かべる。


『そんなことありませんわ、お兄様。こうやってお兄様がまだ習得していないだろうアダトル語だって本を読むために身につけましたの。それにきゃんきゃん吠えて…全く説得力のない物言い。もう少し理知的な表現を勉強なさったらいかがでしょうか。それこそお兄様が馬鹿になさってる小説を読むことはとても役立ちますわよ…あらごめんなさい。』


「わかりまして?お兄様。」


そうアダトル語で告げる。まあ本を読むために身につけたのではなく前世の遺産というものではあるけれど…いいよね。アダトル語を学んでいる途中であろう兄には完璧には理解できなくても、単語は少しはわかったのだろう。口をパクパクさせて唖然としている。


「本を馬鹿にすることは許しませんわ。」

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