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どれだけイレギュラー?

カエティが小脇に抱えていたのは鮮やかな紙が表紙に使われている巷で流行っていると評判の恋愛小説だった。前のときも確かこういったものは人気で貴族から平民まで好んでいたはずだ。この当時の私は本なんて読んだことない!といったレベルだったので興味がなかったのだ。本好きが行き過ぎての引きこもりとか振りにしても説得力にあふれているし、やっぱりやったことないことをやった方が引きこもりライフも退屈せずにすむのではないか。お試しでもいいからやってみよう!


「カエティ!それ貸して!!!」


「えっこれ小説ですよ?何か手が届かないからといって台に使ったりなんかしてはいけません!」


「違う!読むの!」


「シルヴィア様やっぱりお熱でもあるんじゃ!」


だからっ!私はどれだけ心配されるの!!!


まあ何はともあれ読んでみた恋愛小説。

ぱら…ぱら…ぱたん


























何だこれはっ!!!

個性豊かな登場人物が活き活きと細やかな描写されていて、歴史的な事実と架空のストーリーを織り交ぜていて見事としかいえない。それでいてこのヒロインの健気さと行動力、身分違いの恋に苦しみながらも前向きに向かっていく姿勢…いやヒロインの想い人の…


とにかく素晴らしかった。前には古典文学や歴史について学んではいたがそれは教養として詰め込んでいただけであったため、娯楽としての文字に触れることはなかった。しかし、詰め込みでも知識がある程度あるのでマニアックともいえる小ネタなどにもシルヴィアは反応することができた。すごい、なんだか世界が広がった気がする。これは…だめだ。振りとかではなく普通に好きになってしまう。…確かこの屋敷の図書室にもそういった本が叔母の影響であった気がする。数年前に嫁いだ叔母の顔が思い浮かび、周りの色ぼけた真面目な本に囲まれた色とりどりの背表紙を求めて私は図書室に向かう。


「あった…」


そこには冊数は少ないものの確かに存在していて、興奮せずにはいられない。早速引っ張り出し、部屋に戻ることさえもどかしくなって床に座り読み始める。


今になって振り返るとその時の騒ぎったらもう階段から落ちたときのようだった。周りが暗くなりはじめたというのにシルヴィアはいつも走り回っている部屋にもおやつをねだりに来る食堂にもいなかったため、父や使用人達は探し回る。まさか図書室なんて生まれてこの方訪れたことのないシルヴィアがそんなところにいるとは思われず、図書室を除く屋敷中を探し回る。図書室にいるのだから見つかるはずもなく、すわ誘拐かと思われていたところで兄が図書室の扉を開けた…そこにいたのは灯りもつけずに小説を読み耽り、にやにやと笑う妹だった。すぐさま見つかったと報告がなされ、あのシルヴィが本を読んだ…?やっぱりお体の調子が良くないのでは…?お医者様をお呼びしましょう!って前の人生でもあったけれどどんだけ私は心配されるのよ!!!

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