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新たな力と間違った力

「なぁレソちゃん師匠・・」


「なぁにリーシェ?」


「なんでフォーク持ってるの?」


「リーシェ、ウチに用があるんでしょ?」


 俺は大きくため息を漏らした。

 

 第二次カリファーの乱(?)により多額の借金を抱えたカリー商店は新店舗の建築が終わるまで、カリファーは偉い人たちと難しい話をしに商人ギルドへ、ナコは店員募集とその研修を元のカリー商店で行っていた。

 そのために俺はやることがなかったのだが一人遊んでいるわけにもいかないのであることができるようになるためにレソートを懐かしの地下室に呼び出していた。


「俺のイメージって料理人かなにかなのか?」


「凄腕を外しちゃダメだよぉ、凄腕料理人! あとだぁりん」


(ダメだコイツはやくなんとかしないと・・)


「いや今日は料理じゃないんだちょっと教えてほしいことが――」


 ここまで言ってレソートの方を見るとレソートは床に崩れ落ちて虚ろな目をしていた。


(事後ってやつか・・レ○プ目って本当にあるんだな。しかしこのままじゃ話にならないな)


「俺の頼みを聞いてくれたら夕飯をご馳走しよ――」


「なんでも聞いていいよぉ! 私の身体のことでも! 床の方を教えるとかでも!」


 瞬時に立ち上がり目を輝かせるレソート。


(いつもならエロいことに妄想するとこだけどさすがに飯1回でこの反応はドン引きですわぁ)


「教えてほしいのは魔法なんだ、でも魔法を覚えるまでは求めてない。手に魔力を集められるようになりたいんだ」


 ――魔力を手に集めてイメージしながら撫でると自分の手で経験した作業を省略できること――


 鍛冶神の霊格の力の1つ、これを使えるようになりたい。


「魔力かぁ、ウチ魔力使えないからなぁ・・代役を呼んできてあげるからそれで晩御飯じゃダメ?」


 今にも泣きそうな顔になったレソートが上目遣いで懇願してくる。


「覚えられるなら一緒だから問題ないぞ」


 すると目の前にすでにいないレソートの声だけが響いた。


「すぐに連れてくるから待っててぇ」




 数分後レソートはヨールを連れて地下室に戻ってきた。


「はいリーシェ連れてきたよぉ」


「こんにちはリーシェ様」


「こんにちは・・ヨールさんが代役なんですか?」


 俺は困惑して聞くとヨールも困ったような顔をした。


「代役とはなんでしょう? 私はレソートちゃんに来て欲しいと言われてきただけなので」


 俺はレソートに1度視線を向けるとレソートがそれに気付きそっぽを向いた。

 俺はため息を漏らしてからヨールに、魔力を習いたくてレソートにお願いしたら自分はできないので代わりを連れてくると言われ待っていたらヨールを連れてきた、とやや早口で説明した。


「そういうことですか。それなら納得ですね」


「納得なんですか?」


「私こう見えても魔法学校で教師ができる資格を持っているんですよ?」


「ホントですか? じゃあ早速お願いします、手に魔力を集められるようになれればいいので」


(ラッキーだな多少都合よすぎる展開だが、教師の資格か・・覚えるまでそう遠くなさそうだな)


「わかりました。ではまず基本からいきますよ? 姿勢を自然体にして魔力の流れを掴むところからです」


 俺は言われた通り体を自然体にした、それを見たヨールは「うんうん」と頷いて続けた。


「そこからお腹の真ん中あたりにギュと力を入れるんです、そうすると身体がフワッとしてくるので――」


(感覚タイプだったあああああ! だよなそんな資格もってるのに宿で素泊まりしてここで働いてるんだもんなんかあるよなあああ)




 俺が魔力を扱えるようになる頃、日は傾いていた。


「リーシェ様お疲れ様です、あとはスゥーポンッという感じを忘れないでくださいね」


「ハァハァ・・はい。・・・ハァハァありがとうございました」


「あっ、リーシェ覚えたんだお疲れ~、店の準備始まっちゃうから早く報酬頂戴報酬」


「あぁ・・約束は・・ハァハァ・・守る。ヨールさんも・・よかったらどうぞ」


 俺はレソートとヨールを連れていきたいとイメージして門を開く。

 ヨールは驚いていたがレソートは自分の家にずかずかと門に入っていたのをみて自分もあとに続いた。


「異空間系スキルホルダー・・・見たこともない建造物」


 リビングについたヨールは周りをキョロキョロみながらブツブツとなにか呟いている。

 レソートはヨールをリビングに案内するとそのまま風呂の方へ歩いて行った。


(ほんとにじぶんちかよ!!)


 俺は冷蔵庫を眺めた、魔力の特訓での疲労がありできれば簡単な料理で済ませたい。


(餅にも効いたし、もしかしてこれってありなのかな)


 俺はさきほど教わった通りに魔力を手に込めるといつもの料理過程をイメージして食材を撫でた。


(できちゃった・・)


 食材を撫でて、混ぜて撫でて、料理が出来上がっていく。いい匂いが漂い始める。

 しかし一つの疑問が生まれる


(できてるからそのままやったけど・・。これ食えるのか?)


 これは間違いなく鍛冶神の霊格の力だ。

 鍛冶、つまり金属を鍛錬して製品を製造すること。今まで確かに木の皮をマジックアイテムにしたり餅をマジックアイテムにしてきたがそれは道具の範囲と言えばなんとか言い訳できる。

 しかし、目の前のものは料理、食べ物だ。


(これも魔道具とかになってるんじゃないだろうな・・勿体ないけど1度捨てるか――)


 作ったものを捨てようと皿を持ち上げると、風呂上りでタオル1枚のレソートがいつの間にかその皿から料理を掴み口にいれた。


「やっぱりリーシェの料理はサイコー、でもなんかいつもより何だろう・・なんか足りない」


 呆然とする俺にレソートは食レポを続ける。

 結果的に作った料理は3人でおいしくいただきました。


 食べ終わって一息ついた俺は能力を最初に料理に使ったことを激しく後悔していた。

 

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