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Side Valkyrie

「聖女様?本当に私の話を聞いていますか?」


 私の声に聖女様は一応反応してはくださるがそれでもすぐにまた遠くを見つめたり、急にモジモジし始めたりと心ここにあらずといった感じだ。


 私シェリアは、戦乙女の名を拝命する聖騎士だった。

しかし今ではこの自由貿易衛星都市ガノゾタで冒険者をしている。

自分の身に着けていた鎧や聖女様のドレス、魔法効果のないアクセサリーなどはすべて売り払ってこの都市に小さな家を買い、私達は姉妹を演じて目立たぬようにコソコソと生活をしていた。


「聖女様、何度も言っておりますが緊張感を持って生活してください。そのようにされていては刺客が現れたときとても困ります」


 聖女様がこうなってしまったのは数日前のことだった。

とある神託を下された聖女様はそれからずっとあのような感じになってしまった。

その神託とは――


『私の使徒は既に地上に降りています。使徒は貴女の運命の人です、いずれ出迎えに行かねばなりません。』


 自分の運命の人が使徒様だと神がおっしゃったのだ、神の僕たる我々にはこれ以上ないほどの光栄。

しかも聖女様はアーツマで我々を助けて下さったあの少年を使徒様であると決めつけているところがある。実際に神託のあと突然荷造りを始めてアーツマへ戻ろうとしていた。


 (あの聖女様をお諫めするのは大変だった)


 しかしいずれ出迎えに行くよう神がお告げを下さったからにはいつどこにでも移動できる状態でなくてはならない。

必要なのは信頼できる仲間と資金、仲間はそう簡単に見つけられるものではない。

まして追われている身の我々だ、不用心に近づいて身元を晒せば裏切られる可能性だってある。


 今できるのは資金集めだけだ、ならばそれに全力で挑むしかない。


 私は目の前でもの思いにふける聖女様を見ながら、絶対にこの方を使徒様の元へ届けると強く決意した。

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