さぁて!ほんとにどうしようか!!
「さぁて!ほんとにどうしようか!!」
あれから9日過ぎた。
俺はこの9日間、朝はゆっくり起きて街に遊びに行く。日が傾く前にロノリアに戻り家に帰る。
資金は衛兵にもらった報酬がある。つまり毎日豪遊である。
(このままじゃダメだ。まず仕事、そしてここから出ることを考えないと)
そう最初に思ったのは5日も前のことで明日は!明日から!明日こそ!明日には!と先延ばしては遊び歩いていた。
(明日から本気出すってネタ的なコピペかと思ってたけど、いざ自分のことになるとマジで抜け出せないのな)
1度ロノリアに相談したが、「リーシェくんはそんなこと考えなくていいのよお金がなくなったなら私がお小遣いをあげるから」と囲う気満々のようだ。
俺ではなく俺の家が目当てというのは解りすぎていてラブコメ的勘違いをするような隙さえなかった。
同じ理由でレソートもダメだ、ここに戻ってきた次の日にレソートも俺の家に招待したのだが、ロノリア同様風呂、トイレを大層気に入った。更に俺の感謝を込めたおもてなしの料理に完全に胃袋を掴まれ、翌日嫁入り道具をもって俺の前に現れた。なんとか断ったが、その後何度も料理をせがんでくる。「ダメって言ったらウチリーシェに嫁ぐ!」という脅し文句は思いのほか破壊力があった。
ここでは誰も頼りにならないと判断した俺だが、最近ロノリアの予想通りに騎士達の目が厳しくなっているために素の姿でゴズマに会いに行くわけにもいかない。
武器を振るいたくない以上冒険者や傭兵は無理。だとすれば商売するしかないんだがこんな包帯男どこも雇ってはくれない。なら自分で店を持つかとなると半月後に出ていくのにそんなことできない。
(やっぱりなにも思い浮かなばないな。街ウロウロしてたら何か思い浮かぶかもしれないし外出るか)
こうして今日も当てもなく街に出ていく。
ぶらぶら歩いているとなにやら騒がしい声が聞こえる、冒険者ギルドの隣にある武器屋の方だった。
「買い取れないってどういうことだよ!!」
「悪いなこの街では鉄の剣の買取はやってないんだよ」
「なんでだよ!首都では買い取ってくれたぞ!」
「中古の鉄の剣はすぐ壊れるから売れねぇんだよ、首都にはそう遠くない位置に炉があるから買い取って屑鉄として売れば少しは稼ぎになるがここじゃ運ぶだけで大赤字だ」
そう言うと武器屋の男は冒険者風の若い男を扉の前から下がらせて扉を閉めた。
遠巻きにそれを見ていた俺は自分の能力の一つを使うことを思いついた。
(そのためにはモニターが必要になるな・・)
一度取りに戻るのを渋った俺は、冒険者風の男を避けて武器屋に入り砥石を1つ購入した。
武器屋からでるとまだそこでうなだれてる冒険者風の男がいたので声をかける。
「さっき後ろでみてたけど災難だったな」
「見ていたのか・・。全く恥ずかしい姿を晒してしまったこれを売って新たな剣を買うつもりだったのに」
(ちゃーんす)
「あんた首都から来たんだろ?話を少し聞かせてくれないか?そのお代にその剣をまた使えるようにしてやるよ」
「こんなボロボロになった剣を直すなんて無理だろ、詐欺じみたことは辞めた方がいいぞ」
「信じられないのもしょうがないが、これならどうだ先に俺がそいつを直す。それを使って冒険者ギルドで訓練用のカカシを切ってから判断してもらって構わない」
「随分な自信だな、よし受けよう。ただしそれでその剣が使い物にならなければお前が買い取れよ」
「その時は色付けて買ってやるよ」
俺は剣を受け取ると買ったばかりの砥石でそれを砥ぎ始めた。
冒険者風の男は冒険者ギルドに入りカカシの使用許可を取っている。
おれが砥ぎ終わる頃に男がこちらに戻ってきた。
「訓練カカシがこんなに高いとは思わなかったぞ。これで剣がダメならカカシの料金もお前が払えよ」
「はいはいわかったよ。それよりちょうど終わったとこだ、ほれ」
俺は男に剣を手渡した。
男は剣を片目を閉じて凝視している。
「なるほど言うだけあって刃こぼれなんかも綺麗になってるな」
「砥いだ分薄くなった以外は問題ないだろ?」
「野菜を切るんじゃないんだ、薄くなるってことがどういうことかその眼で思いするがいい」
確かに日本刀なんかも刃が薄いため時代劇のように何人も切ることはできないというのはよく言われてる、日本刀1本で大群を倒すなんて創作の世界だけの話だ。
(まぁ俺に宿ってる霊格ってやつはその創作世界を実現できる力なんだがな)
俺は男と共に訓練用の部屋に移動した。そこには木でできたカカシが1本ポツリと立っていた。
「よしじゃあやってもらおうか」
俺の合図で男は剣を構えるそのまま斜めに1振り、するとなんの抵抗もないかのようにカカシを通り抜けた。
切られたカカシの半身が地面に落ちる音が部屋に響く。
「・・・」
「よーし賭けは俺の勝ちだな。あんたには色々話を―」
「すごいじゃないか!!なんだこの剣は本当にさっきまで俺が持っていたボロボロの剣なのか!切った衝撃すらないほどの切れ味だったぞ。」
「そ、そうか・・で、報酬に俺に話を―」
「いや助かった!!ほんとぉーに助かった!これなら依頼を受けれる。」
「だからさっきの報酬に俺に首都の―」
「俺の名はカリファー、ランク2の冒険者だ!この礼は必ずする!!ではな!」
「おい人の話を―」
カリファーはものすごい勢いでこの場からいなくなった。急いであとを追ったが見つからず、受付に話を聞くと嵐のように討伐の依頼を受けにきて嵐のように依頼に向かったらしい。
依頼は森のゴブリン討伐で夕方には戻るだろうということだった。
少し時間があったので受付の職員に冒険者のランクとのことを聞いた、以前ロノリアに聞いた総合戦力ランクのことなのはわかっていたのだが詳しく聞いておきたかった。
ランクは登録開始時にランク1からスタートするらしい、そして依頼を受けて5まで上げれるそうだ、そこから先は試験があり10等級まで上がれる、それより上になると各国の一番の権力者クラスの人が冒険者ギルドの本部に要請することで1つずつ上がっていくという。
(つまり10以上になるには文字通り国に貢献しなきゃないってことかムリゲーだな)
ちょっとし出来心でランク0がないか聞いてみた。
(この状況ならそう思うのがだろ?アルファベットならS数字なら0、厨二の誰もが通る道だ)
その答えは―。あるそうだ。一瞬嬉しくなったが話を聞くと冒険者訓練短期講習の講習生をそう呼ぶらしい。なんか急にガッカリした。
夕方まで時間もあるので俺は一度街にでてブラブラした。
そして夕方、冒険者ギルドを覗いてみるとそいつはいた、右腕に包帯を巻いて。
「やあまた会ったね」
「その手どうしたんだよ?」
「これかい?剣があまりにもよく切れるので調子にのっていつもより森の奥まで行ったらこのざまだ」
「大丈夫なのか?」
「日常生活には問題ないが長時間強く握ることは出来なくなったようであまり冒険者には向かない体になってしまった」
「・・・」
少し寂しそうにカリファーがそういうと俺は返す言葉が見当たらなくなった。俺があの剣を渡さなければこんなことにはならなかったのにという考えが頭に浮かぶ、するとカリファーが―
「そこで物は相談なんだが、俺と商売をやらないか?」
「へっ?」
急展開すぎてついていけず俺は間抜けな声を上げた




