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魔王と元始の罪  作者: 長瀬 優太
全ての始まり
14/25

0:14 昔話⑤ もう1つの顔

ごめんんさい、遅れて。

それは、街を出てから2日程たったある日の事だった。

いつものように、サーラが御者台で馬の手綱を握り、ジニーは荷馬車内で寝転がっている。

今日も何事も無く終われるかとサーラが思ってると、それまで寝ていたジニーが何かに気付いたかのようにガバッと跳ね起きた。


「サーラ、今日はここで野宿だ」


「えっ」


突然の言葉に驚き、思わず手綱を引いてしまう。急停止に御者台から前につんのめり、転げ落ちそうになった。なんとか耐え、ジニーにその言葉の真意を聞く。


「いきなり、何を言い出すの? まだ、お日様が落ちきってないし、もう少し行けるわ」


「いや、今日は此処までだ」


その声色はこれまでに聞いたことがなかった様な真剣な声色だった。絶え間なく周囲を警戒し、どこか重々しい雰囲気を漂わせている。

そんなジニーに困若干の恐怖を感じ、声を震わせながら、理由を尋ねる。


「なにかあったの?」


「⋯⋯いやーお腹が空いてな。もう我慢ならねぇんだよ」


そのサーラの声色にその剣呑な雰囲気を霧散させ、いつものジニーに戻った。その事に安堵し、野宿の準備をする。荷馬車から持ってきた火打石を使い、拾い集めて来た木の枝に火をつけ、夕飯の準備をする。

他愛のない話をし、互い床に着く(サーラは荷馬車内の空いている場所で、ジニーは外で互いに寝ている)。すると、しばらくしないうちに外からジニーの寝息が聞こえてきた。その後、サーラにも睡魔が襲ってきた。


*** *** ***

サーラは真夜中に目が覚めた。しかし、それは自発的なものではなく、蒸し暑さによるものだった。今夜に限って、妙に蒸し暑く、背中や額を大量の汗が流れていき、衣服を濡らしていく。

サーラは、体を冷やすため、荷馬車から降り立った。すると、見張りをしているはずのジニーがいなかった。


「まったく、もう。どこに行ったのかしら? ちゃんと見張り番しておいてっていったのに」


そう言って、ジニーを探しに歩き出した。すると、野営をしていた平地とは街道を挟んで反対にある森から、金属同士がぶつかり合う音や、それに混じって微かな悲鳴が聞こえ来た。


何が起こってるのか気になってしまい、その音が聞こえた場所へと、息を潜め、足音を立て無い様に注意しながら近づいていく。そして、木陰にしゃがみお生い茂る草木の間から前方を覗いた。

 そこには、全身を真っ赤な血で染めながらも、獰猛に魔獣へと斬りかかっていくジニーの姿があった。怠惰で無気力な普段のジニーと違うその様子にサーラは別人かと疑ってしまう。しかし、あの特徴的な長剣や服装からして間違いなくジニーだと理性がそう告げている。あまりにもショックな出来事にただ呆然としてしまう。そうこうするうちに戦闘は終わりを迎え、そこには、撒き散らされた魔獣の肢体とその惨劇の中心に月光の明かりを一身に浴びるジニーの姿があった。彼は、長い溜息を吐くと、それまでの恐々した佇まいを解き、いつものジニーに戻った。その事にサーラは、陰ながら安堵し、脱力した。


「恨むなら、あいつ(サーラ)を襲うとした自分達を恨めよ----さーて、そろそろ戻るとするか。久々に動いたし、眠くなってきたしなー」


そう言って此方に向かってくるジニー。サーラは慌てて隠れようとするが、ジニーに気付かれずに隠れられる場所が無い事に今気づいた。。

ジニーが数歩先に迫った時。サーラの鼻腔を思わずむせかえる程の血臭が貫いた。ジニーも、その自らが発する血臭に気が付いたのか、森の奥にある泉へと踵を返し、向かって行った。


サーラは、ジニーの姿が見えなくなるのを確かめると、元来た道を全力で引き返した。

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