エピローグ
クラウス亡き後、ロザーリアの最期の夢
「あのね、とても不思議な夢を見たの」
その日のロザーリアの容態は、不思議と落ち着いていた。
ロザーリアは騎士として魔獣討伐に参加し、部下を庇って魔獣の毒を受けてしまった。
直撃ではなかった。
だが、その毒は確実にロザーリアの残された時間を縮めていた。
子供達との面会時間は短くなり、会話も少なくなっていた。
エリアスとフェルネスはロザーリアの負担を考え、時間短縮のため、2人一緒に見舞うようになっていた。
「エリアスに似た背の高い男性と、フェルネスを少し小さくしたような娘さんがね、私が着たウェディングドレスを着て結婚式を挙げているの」
ロザーリアは穏やかに微笑む。
「その2人のそばに若いクラウスがいるの。
でもね、そのクラウスの隣には、赤い髪の背の高い女性がいて・・・・」
少し不満そうに頬を膨らませた。
「私のドレスを着ているのよ?
ひどいと思わない?」
エリアスとフェルネスは顔を見合わせ、
「それは確かにひどい」
と、2人そろって頷いた。
ロザーリアは小さく笑った。
「でもね、それを空から見ている私の隣にはクラウスがいるの
2人で、とても幸せな気分になったわ・・・・」
遠くを見るように微笑んだロザーリアは、そのまま静かに目を閉じた。
やがて穏やかな寝息が聞こえ始める。
エリアスとフェルネスは、無言で顔を見合わせた。
その数日後――
ロザーリアは意識を取り戻すことなく、静かに息を引き取った。
「最後の夢の話は不思議だったな・・・・」
葬儀の後、エリアスがぽつりと呟く。
「ええ。私も、そう感じました。
予知夢だったのかもしれませんね」
フェルネスも静かに答えた。
「カイレスとターシャだったらいいな」
エリアスがそう言うと、
「そうですね。
元気だった頃も、『あの2人が結婚すればいいのに』と時々言っていましたから」
フェルネスは少し懐かしそうに微笑んだ。
2人はそれぞれに、
――ロザーリアの夢を叶えたい。
そんな思いを胸に残すことになった。
本編のエピローグで青空を見上げるエリアスとフェルネス、2人の心の底に共通する思いを描いてみました。




