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  作者: ひじきとコロッケ
ミガル王国
40/55

合流?

「そもそも本当に魔王がいて、攻めてきてるとしても、俺たちには関係ない話。この世界の連中が自分たちで解決すべき話のハズだろ?それを勝手な都合で呼びつけて、俺たちの世界の人間を大勢殺して!それでも足りずにさらに呼びつけて!そんなのって……っ!」


 ダンッとテーブルを叩く幹隆。ちょっとだけテーブルにヒビが入ったのは見なかったことにしている。


「ミキくん……」

「あの……」


 いきなりの幹隆の激昂に戸惑う七人。


「あのね……ミキくん、事故でご両親を……」

「う……」

「それは……」


 なんて声を掛ければいいかわからない。場の空気を何とかしようと塚本が思いきって口を開く。


「不躾な質問ですまないが、君と村田君の関係は?」

「えっと……」


 特に隠していたわけでは無いが、大っぴらにしたいわけでも無かったことなので、茜が口ごもったのを幹隆がなんとか体を起こして答える。


「茜は俺の従姉妹だ」

「そうか。すまない、無粋な勘ぐりをした」

「別にいいさ」


 何とか幹隆が落ち着いたところで塚本が口を開く。


「とりあえず、二人の事情はわかった。そんなことがあったんじゃ王国になんていたくないって気持ちもわかった。では改めて質問。これからどうするんだ?」

「前回の勇者候補さんが色々と調べて回ってたらしいの」

「それで、可能なら探し出して話を聞きたいと思ってる」

「探し出すって……」

「彼は何も悪くない。そう思ってるって事を伝えたい。その上で日本に帰る方法を探したい」

「そうか……でも、どうやって?」

「俺たちについてたティアさん、前回の人にもついてて、色々と詳しいみたいなんだ」

「へえ」

「それで、行き先に心当たりがあるらしくて、この先の街で合流することにしている」

「そうか」


 塚本がフム、と考えて問いかける。


「昨日も言ったけど、僕たちも同行していいかい?」

「「え?」」

「僕たちも王国のやり方に疑問や不満がてんこ盛りでさ。好き勝手されたくないって思ってるんだ。そして、二人が脱走したのを知って……こう言っちゃなんだけど、警備とか追っ手が二人に集中している(すき)に逃げ出してきた。これからどうするかってのは特に決めてなかったんだけど、その話を聞いて、前回の勇者候補って人に会ってみたいと思った」

「そうだな。それに……お前ら二人についていった方が面白そうだ」

「確かに」

「言えてる」


 口々に賛同し始める面々。


「えーと……これはどうしたらいいんだ?」


 二人だけ脱出の予定が七人追加になりましたなんて聞いたら、ティアがなんて言うだろうか。そう思っていたら、宿の食堂に飛び込んでくる者がいた。


「た、助けて下さいっ」


 十歳かそこらの少年だった。


「なんだ?どうしたんだ?」

「あっ、あのっ!」

「落ち着きな、ホレ、水飲んで」

「は……はい……んぐっ」


 宿の主人夫婦が出てきて少年に水を飲ませる。


「オークがっ!オークが攻めてくるんだっ!」

「オーク?」

「そうだ!オークだ!大人たちが一生懸命柵を作ったりしてるけどっ!冒険者を呼んで来いって!」

「そ、そうか」

「だからっ」


 さすがに見かねて塚本が近づいていった。


「君、ちょっと良いかい?」

「何だよ?!」

「ここ、冒険者ギルドじゃ無いから」

「え?」

「外から見ると似てるから、間違えたんだろうけど、ここはただの宿屋だよ」


 とは言え、この世界で宿屋を使うのは冒険者か行商人くらいのもの。出入りする人間に冒険者風の人間が多いので、そう判断したとしても仕方が無いだろう。


「あ……あの……え……?」

「案内するよ、冒険者ギルド」

「いいの?」

「ああ、もちろん」


 ニッと笑ってサムズアップ。


「塚本……イケメンだな」

「中身は普通のJKのはずなんだけどな……」


 まあ、流れ的にギルドに行くしか無いだろうと、全員で少年をギルドに連れて行くことに。


「兄ちゃんたちも冒険者なのか?」

「ああ、そうだぞ」

「じゃ、じゃあ!」

「待て待て。ギルドに行ってから、な?」

「うん……でも……」


 村がオークに襲われると言っていたが、本当なら気が気でないだろう。

 ギルドに入り、受付にいたニムに話を通す。


「と言うわけで連れてきたんだけど」

「事情はわかりました。えーと……」

「ニック」

「うん、ニック君。もう少し詳しい話を聞かせて」

「詳しくって、急いでるんだよ!早く冒険者を!」

「あら、私たち、村の名前も聞いてないわよ?」

「あ……」


 確かに幹隆たちも村の名前は聞いてない。聞いてもよくわからないと思ったから。


「それと、村の大人たちはなんて……?」

「えっと……」

「それで……」


 ニムが丁寧に話を聞きながら、書類を作成していく。


「よし、と。わかったわ。ありがとう」

「い、いえ……その!それでっ!」

「そうなのよね……」


 ニックの問いにニムが口ごもる。


「えーと……どうしたの?」

「……冒険者が、いないんです」

「え?」

「いるじゃん冒険者!」


 塚本の問いに対するニムの返答は予想外で、ニックもそれはおかしいと、塚本たちを指して叫ぶ。


「順番に説明しますね。まず……」


 ニムがニックを落ち着かせてから説明を始める。

 村の大人たちの説明通りなら――別に疑っているわけでは無いが、オークの群れ(・・・・・・)見かけた(・・・・)程度で詳細がわからないのだ――オークの群れの規模は五十匹以上。百匹はいないだろうと村人たちは考えているようだが、はっきりと断定は出来ない。そして、五十匹の群れとなるとオークの上位種、オークリーダーがいるのはほぼ間違いない。

 オークリーダー込みの群れの討伐にはBランク冒険者五名以上、詳細不明の段階では十名欲しいのだが、現在この街にはBランク冒険者自体いない。

 さらに、群れを見かけた位置から考えると、村が襲撃されるのは今夜か明日の夜の間。

 村の場所は、今から馬で急いでどうにか夜までに着くと言う距離。他の街へ救援を要請しても間に合うかどうか。


「とにかく、すぐに連絡を取ってみます」


 そう言ってニムは奥へ。


「そんな……父ちゃんが頑張って柵を作ってるのに……俺……俺……」


 涙声でニックがうつむく。


「兄ちゃんたちは!兄ちゃんたちはダメなのか?!」

「えーと……その……」


 塚本も答えに困る。

 助けてやりたいのは山々だが、さすがに今のレベルでは槍聖の稲垣でも厳しい。


「ん……待てよ?君たちならどうにかなるんじゃ無いか?」

「「え?」」


 幹隆たちなら、と話を振ってみる。


「えーと……その……そうだな……」

「そ、そうね……う、うん……」


 おそらく大丈夫だろうが、それを言っていいものかどうか……悩んでいたところにニムが戻ってきた。


「各方面へ連絡を取っています。が、正直なところ厳しい状況です」

「そんな……」


 ガクリと崩れ落ちるニックを見ていられなかった。


「あの……ちょっとお話が」

「何ですか、茜さん」

「ここだけの話にして欲しいんですが……」


 幸い他に聞いている者はいないので、そのまま続ける。


「私たち、その依頼を受けま「ダメです」


 バッサリ即答。


「危険度が高すぎます。明らかに失敗するとわかっている依頼を受けさせるわけにはいきません」

「えーと……」

「ちょっといいか?」


 さすがに見かねて幹隆が割り込む。


「昨日のゴブリン狩りについてなんだけど」

「え、ああ……あの……」

「正直に言うと……あれ、茜一人でも出来た」

「は?」

「耳を取るのに時間かかるから二人でやったけど、ゴブリンリーダー込みの群れ位、俺か茜、どちらかだけでも討伐出来るぞ」

「ええええええ?!」


 ニムがさすがに「それは無いでしょう?」と答えるかと思いきや……


「あの数は確かに……うん……だけど……」


 ブツブツと考え込んでしまった。


「えーと、君たち、昨日何をやったの?」

「ゴブリン狩り」

「ゴブリン、二百に足りなかったんだよね」

「リーダー五匹いたけどな」

「「「マジか?!」」」


 塚本もギルドで活動しているならと、昨日は追跡していなかったので、さすがに驚いた。と、そこへニムが口を開く。


「特例として認めることは可能ですが……その……村までの足が無いんですよね」

「足?」

「二つ隣の村なので、今から馬を走らせても到着は夜になります」

「馬なら俺が乗ってきたのが!」

「行くのは君だけじゃ無いからね」

「あ……」

「お二人のどちらかだけが行くとしても……」

「そう言えば、馬なんて乗れないな」

「乗ったこと無いもんね……みんなは?」

「無いな」

「それと、今ギルドから貸し出せる馬もいないんです。出払ってしまっていて」


 危機管理のなっていない支部である。


「俺の馬なら!」

「君の馬、ずっと走らせてきたんでしょう?これ以上無理はさせられないわ」

「う……うん……」


 さて困ったなと、全員が考え始めようとしたところで茜がぽつりと呟いた。


「馬車、馬車はありますか?」

「貸し出せる馬車はありますけど……馬がいませんよ?それに馬車も操れないのでは?」

「大丈夫です!馬車だけ貸してください!」

「はい?」


 茜の言葉にイヤな予感がする幹隆であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 馬車ならぬ、狐車。 …………なんか大きなハムスターの回し車で走ってる狐娘が頭に(遠い目)
[一言] 馬よりも圧倒的なステータスもってる幹隆ちゃんのほうがええよね
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