第3章24
カナとナトリウムは、すぐに王城に取って返した。
城内は騒然としていて、城壁の一部が破壊されている。
「王はいずこに!?王と、ダン様は!?」
ナトリウムは、通りかかった兵士を捕まえて、問い詰めた。
「おう、ナトリウム。カナ。ここじゃ、ここじゃ。」
その兵士が答える前に、後ろから声がした。
「王様、ご無事でしたか…。」
「うむ。幸い死傷者は出なかったわい。ダルノン・キャストスペイは、暴れるだけ暴れて、去って行ったぞ。」
「それは何よりです。」
王の言葉に、ナトリウムは素直に胸をなでおろしたが、カナは首をひねった。
(魔獣化したダンが暴れたとして、死傷者なしなんてあり得るだろうか?)
「本当に、ダン様は魔人になってしまったのでしょうか?」
ナトリウムが王に尋ねる。
「わしも魔人を見た事があったわけではないがの。だが、そうでなくては、こんなに無意味な暴れ方をするとは思えん。」
「ダンは魔法を使ったのか?」
カナが尋ねた。
「使ったぞ。ダルノン・キャストスペイに向かっていった者のうち何人かは、眠らされてしまった。もう目を覚ましておるが…。矢を射っても、風の魔法で跳ね返されたし、目くらましの魔法も使ったわい。」
カナはそれにも違和感を覚えた。
10年前に遭遇した魔人は、最期の瞬間まで魔法を使う事を忘れていた。魔獣化してしまうと、それだけの理性が残らないのだ。
それなのに、ダンは誘眠魔法や風の魔法、目くらましの魔法など、実に有効に魔法を使いこなしていたようだ。
何かがおかしい。
ダンは魔獣化しているのか?していないのか?
会って確かめるしかない。




