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第1章25
カナは再びキメラに斬りかかった。今度は魔法での攻撃はされなかった。魔法が間に合わなかったようだ。
カナの剣はキメラの喉元をかすめる。寸でのところで、キメラが躱したのだ。
オルソもようやく自分の仕事を思い出したかのように、キメラに襲い掛かった。しかし、大振りの一撃は、やはり実を結ばず、あっさりとキメラに躱されてしまった。
カナとオルソの2人が攻撃している間に、ダンも攻撃魔法の準備をしていた。
「喰らえ!」
外気温が一気に低下する。それがキメラを包み込んだ。氷結魔法である。
「うぉ!さみい!」
オルソが思わず身震いする。
魔法の中心部は、絶対零度に近い温度になっているはずである。
火炎魔法を得意とする者は、得てして氷結魔法に弱い。またその反対も言える。だから、ダンは氷結魔法を選んだのだ。
しかし、ダンの魔法が作り出した寒気の中から、キメラは無傷で現れた。
「対抗魔法だ…。」
ダンが歯噛みする。対抗魔法まで使えるとなると、自分の攻撃魔法は、かなり制限されてしまう。