第1章24
ふと、道が開けた。大きな空洞になっている部分に辿り着いたのである。
「なんだここは?」
オルソが辺りを見回す。
「ちょっと待ってろ。」
ダンは魔法の光体を更に10程作り出し、隅々に飛ばした。中は昼間の屋外と変わらない明るさになる。
空洞は直径20m程のドーム型で、中央の台座の上に、何かが据え付けられている。
洞窟の入口に置かれてあったキメラ像とよく似ている。ライオンの頭に山羊の胴体、蛇の尻尾。
「外にあったのと同じヤツかな?」
「下がってろ、カナ!」
カナがそれに近付こうとするのと同時に、ダンがそれを制した。
キメラ像が、全身に淡い光を帯びる。そして、一歩、また一歩と、台座から動き始めた。
「コイツ、生きてるのか!?」
カナが大剣を、オルソがバトルアックスを構えた。
「ダクド ソダ ミルデ ガンザ」
その時、抑揚のない低い声が響いた。キメラが発したのだ。
古代語である。
この3人の中で古代語を解するのは、ダンだけだ。
「コイツは遺跡の番人だったようだな!俺達を侵入者と見做したようだ!‘逃走か闘争か’だな!」
‘逃走か闘争か’とは、ダンが好んで使う慣用句である。この言葉を出す時は、ダンは出来れば‘逃走’を選びたい時だ。
しかし、その選択肢は、カナが一緒ではなかなかとらせてもらえない。まして、今はオルソまで一緒なのである。
「「ここまで来て、引き下がれるか!」」
2人の声が奇麗にハモった。
カナがキメラの喉元目掛けて突きを放ち、オルソが胴を薙ぎ払う。
「危ない!」
キメラは襲い掛かる2人の侵略者に、業火を吐いて浴びせかけた。口から火を噴いたのだ。火炎魔法の一種だ。
ダンはすぐさま、対抗魔法を使った。それは成功し、カナとオルソはこの攻撃に対して、無傷で切り抜けた。
「キメラは魔法を使うんだ。厄介だぞ。」
この攻撃とダンの発言に、カナとオルソは同じ台詞を呟いた。
「面白い!」と。
しかし、カナは心底、面白そうだったのに対し、オルソは額に冷や汗を浮かべていた。




