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第99話英気を養い、いざ領地へ!〜湯気と笑顔が迎える場所〜

ぽかぽかの休日を終えた翌朝、美月は久しぶりに緊張感のある空気をまとっていた。

「……ふふっ、行ってきます、王都の空。今日は久々の、領地行きだよ!」

「はい! 美月様の領地、“ラーメン温泉郷ユズノ谷”! 我ら、いざ参りますわ!」

「ずっと気になってましたのよ、美月様の領地。ふふふ……薬膳スパとラーメンって、もう名前だけで最高ですわ!」

チグーは美月の足元で「もふぅ!」とひと吠え(?)し、ぴょこぴょこ馬車へ乗り込む。

________________________________________

◆領地到着!お出迎えは…元気すぎる代行領主!

馬車がユズノ谷の入り口に差し掛かると、もうすでにド派手な旗を振って出迎える姿が――

「おおおおっ! 姉御おかえりーっ!! ラーメン領、今日も営業絶好調だぜぇ!」

「……ギュスターヴさん、相変わらずテンション高っ」

「領主代行の務め、まいにち“代行魂”で燃やしてますんで!」

豪快に笑うのは、ギルド長の双子の弟にして、美月の領地の“代行領主”ギュスターヴ。薬膳スパでは湯も香りも調合し、ラーメン温泉では“極楽の湯”と評される泉質を日々研究している、熱血漢だ。

「……あの湯気の匂い、ラーメン出汁の湯ですの!? 吸うだけでお腹が空きますわ!!」

「いやいや吸っちゃダメですから、クラリーチェ様」

________________________________________

◆領地の“癒し観光”は一味違う!

案内されたのは、薬膳スパ併設のラーメン温泉宿「ゆずの館」。

「こちら、食前足湯コース“極上しおラーメン蒸気Ver.”でございますー!」

「も、もしかして……足元からラーメンの香りが昇ってくる!? 胃袋が混乱しますわ!」

「食事処“麺香庵”では、時間帯でスープの香りが変わる仕様にしてるんだよ。朝は味噌、昼は塩、夜は醤油」

「香りだけで観光できるとか、反則ですわ……!」

「そ、そして……なんですのこの“湯切りアロママッサージ”って……!?」

「ラーメンの麺を湯切りする要領で、肩をリズミカルにトントンしてくれるんですって!」

「もはやツッコミ追いつかないよっ!?」

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◆領民たちも、にっこり。

温泉街の通りを歩けば、子どもからお年寄りまで、元気に声をかけてくる。

「おかえりなさいませ、女男爵さま! 今日もラーメン、極上でした!」

「姉御ー! 湯治客、毎週リピートっすよー!」

「薬膳温泉、足の冷えが治りました! 今度は夫も連れてきます!」

美月は、思わず胸の奥がじんわり熱くなる。

「……ああ、ちゃんと根づいてる。ラーメンも、温泉も、人の健康のためになってるんだ」

リリアーナは横でにっこり微笑んだ。

「これが、美月様の築いた場所……とても、あたたかいですわ」

「ふふっ……きっと今日も、世界のどこかで美月様のラーメンが誰かを癒してる。でも、ここがその始まりだと思うと、なんだか特別ですわね!」

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◆湯気と笑顔が咲く場所で。

その夜、領地の宿にて。美月はぐっすりと眠る前、窓の外の夜景を眺めながらぽつりとつぶやいた。

「……世界中の人を癒すラーメンを作りたいって思ってたけど、ここで、まずひとつ形になったんだね」

そこへ、チグーがそっと寄り添って「もふぅ」。

「ありがとね、チグー」

扉の外では、リリアーナとクラリーチェが耳をそっと当てていた。

「……ああもう……美月様、たまにずるいですわ」

「ね、リリアーナさま。私たち、明日も、全力で“もふ外交”しないといけませんね!」


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