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第81話 天翔美月医学院、爆誕!? 〜空と地をつなぐラーメン講座〜

「――つまりこうね? スープはベースに薬膳の煮出し汁、それに補助食材の香草、最後に必殺の“ミズキネギ”をひとさじ、というわけ!」

講壇の上、美月がホワイトボードにラーメンの構造を描きながら、初講義をしている。

「えっ、これ医学院なのに、いきなり麺の話から入るんですか!?」

「いや、むしろ麺から入らないと誤解が生じるから! 医食同源、基本中の基本よっ!」

会場は、新設された仮設講義ホール。天空国家の高官たち、王都の若き料理人たち、そして貴族家系の跡取り息子娘たちが、真面目に筆記をしていた。

──だが、後方では。

「……あの、リリアーナさん? あの板書、美月さまだけテンションが異様に高くない?」

「いつものことだ。というか、今日はまだ控えめなくらいよ」

「ヒィ……毎回これって、うそでしょ……?」

天翔学院のサポート役を買って出たクラリーチェは、目をぐるぐるに回していた。だが彼女の手元には、すでに三冊分のノートがぎっしりと埋まっている。

「え、でもね? 麺とスープの薬膳の相性によって、人の気の流れが……」

「ストップ、美月。学生、もう8割方混乱してる」

リリアーナが静かにツッコミを入れると、美月は「あ」と口を閉じて、ふにゃっと笑った。

「そっか、熱が入りすぎちゃった。えへへ」

「可愛いけど、爆速でカリキュラム破壊していくのやめてね」

________________________________________

◆空と地の教授陣、集結!

その日の午後――天空国家から派遣された教授陣が王都に到着した。

「我らが誇る空の薬膳調合士、シファ=シエル!」

「よろしく、地上の諸君。私は“浮かぶ香りの魔術師”とも呼ばれているけれど、今日は謙虚に参るわ」

「うわー! なんかすごく強そうな肩書きの人が来た!!」

クラリーチェが目を丸くする。

「こちらは天空大学の身体循環学の教授、ミューゼ・アカネ。あちらの青年は天空調理師ギルドから推薦された若手エース、ルア・フェン!」

「……美月さん、空の人たち、全員テンション高くない……?」

「いや、地上が低いのかも」

「もっふぅぅ〜(※訳:どっちもどっち)」

ちびグリズリーのチグーは、控えの間で配られる“ラーメン風味薬膳せんべい”をもぐもぐしながら首を傾げた。

________________________________________

◆天空国家の王子、教育長に!?

その夜、王都の迎賓館――

「それにしても、さすが王子。美月のためにここまで尽力を……」

リリアーナがグラスを傾けながらゼファル王子を見る。王子は満足げに頷いた。

「当然だよ。私は……彼女の力が、空にも必要だと確信しているから」

「ふんっ、あっさり言ったな……!」

クラリーチェがわなわなと震える。

美月はと言えば、目の前のラーメンを黙々とすする。

「この“夜空のラーメン”、ほんと美味しい……。海藻と星のスパイスが……やばい、メモ取らなきゃ……!」

「ちょ、美月!? 空気読んでぇぇぇええ!?」

「美月が空気を吸ってる暇あると思うか? 吸ってるのはスープだよ!!」

リリアーナの喝が響く中――

ゼファル王子はただ静かに、彼女の横顔を見つめていた。

________________________________________

◆次なるミッションへ!

王都と天空の協力により、《天翔美月医学院》は正式始動。

初年度のカリキュラムは薬膳学・栄養学・調理実習・接客術などを網羅し、王国全土から生徒が殺到した。

「ねぇ、美月。これってつまり、私たち……また忙しくなるってことよね?」

「……はい」

「週休二日、どこへ……」

「夢だったのかしら」

「もっふぅ……(※訳:南無)」

それでも、今日も美月は笑顔で立っていた。

スープの湯気のむこう、希望の味を――

世界へ、空へ、未来へ届けるために。


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