表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/155

19話 開店ラッシュ!そして学院第2期、始まる!

女男爵となったとはいえ、美月の一日は変わらない。

いや、むしろ、さらに目まぐるしいものとなった。

風見亭での厨房を卒業した今――

彼女のラーメン人生は、“四十の支店”へと広がっていた。

________________________________________

◆転移ゲートで全国視察!

冒険者ギルドが運用する転移ゲート――

それは、各支部同士を繋ぐ強力な空間魔法であり、美月の新たな「足」となった。

「本日は西部ルートの十店舗ね。よし、準備OK!」

チグーは旅用の小さなスリングバッグに入り、鼻をくすくす動かしていた。

「チグー、今日は香り担当よ。スープの微妙な違い、嗅ぎ分けてちょうだいね」

「ぐるっ!」

この日も、美月は朝の7時に出発し、転移ゲートを使って支店を一軒ずつ回った。

店長たちは緊張の面持ちで迎え、美月が厨房に立つと、息を呑む。

「……昆布だしの煮出し時間、少し長いかも。この香りだと、後味に渋みが残ってる」

「火霊草の処理は素晴らしいわ。でも、煮込み前に干しておくと香りが立つの。チグーがくしゃみしたのはその証拠」

チグーがふんふんと鼻を鳴らせば、それは味や香りへの何よりのフィードバック。

________________________________________

◆毎週開催、店長会議 in 美月の街

週に一度、美月の街のギルド本部では「美月薬膳拉麺店長会議」が開かれる。

転移ゲートを通じて、全国の店長40名が勢揃いする場だ。

「スープの塩加減、気候によって変わりますね。北の店舗では薄めが好まれる傾向が」

「現地の山菜との組み合わせで“郷土風”も開発しました!」

「この間の限定メニュー、“ギルド鍋ラーメン”大当たりでした!」

各地の試行錯誤、創意工夫、美月のレシピの進化系――

それぞれが切磋琢磨し、笑顔と熱気が飛び交う。

美月は一人ひとりの声に耳を傾け、時にはチグーの鼻判定も入りながら、きめ細やかなアドバイスを加えていった。

________________________________________

◆そして学院、第2期へ

一方、美月薬膳拉麺学院では、ついに第2期生の入学式を迎えた。

今年の生徒数は前年度よりも倍以上。

リリアーナ助手が整然と式次第を取り仕切るなか、美月は壇上に立ち、いつもの笑顔で語る。

「ラーメンは、人の命を育てる料理です。……この世界に、それを伝えていく仲間が、また増えたことを本当にうれしく思います」

「ひかえめな表現ですけど、“味の女神”としては、もう少し自信持っていいと思いますわ、美月さま!」

「ちょっと! スピーチの途中!」

笑い声と拍手に包まれながら、新しい季節が始まる――

ラーメンを通じて、健康と笑顔と、世界を繋げる旅のような日々が、再び。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ