第45話 合流
やっぱりこの子が例のお姫様だったかぁ。
この塔に閉じ込められている女の子って時点で確定だったよ。
あ、私も名前返さないとね。
「私はアリス。レイ……王子からの要請であなたを助けに来ました」
レイさんの本名なんだったっけ……
「まぁ、お兄様の!? 流石お兄様!」
お姫様が嬉しそうにしている。
「えっと、ひとまずここから出ませんか? 王子との合流に行きましょう」
「ええ、わかったわ」
私達はキャロライン姫を連れて塔を出た。
その道すがら今の状況を説明しておく。
「そう……やっぱりお父様はおかしくなってしまったのね」
悲しそうにするキャロライン姫。
「でも! その悪いやつを追い出せばいいのよね! 私も頑張るわ!」
やる気満々だなぁ。
そういえばレイさんが、逃がすのは無理って言ってたね。
えっと、一応聞いてみようかな?
「えっと、キャロライン姫は逃げないんですか?」
「キャロよ!」
「えっ?」
「私のことはキャロと呼びなさい! お友達だもの!」
そのお友達認定覚えてたんだ。
「……キャロ姫?」
「姫はいらないわ!」
えぇ、なんかレイさんにも同じような感じじゃなかったっけ?
流石兄妹って感じだね。
「キャロさん?」
「ちゃん にしましょう」
「キャロちゃん?」
「いいわね! お友達っぽくてとてもいいわ」
私が呼ぶと嬉しそうにするキャロライン姫改めキャロちゃん。
『なんだろう、ちょっとわがまま感あるけど可愛い……』
『いわゆるわがまま姫って感じじゃないよね』
『お友達で嬉しそうにするキャロちゃん可愛い』
『まぁ、お姫様だし今までお友達とかいないみたいな感じだったのかもね』
『ちょろそう』
ちょろそうって、ちょっと笑いそうになってしまった。
「えっと、それで逃げるって話は……」
「お兄様も頑張っているのでしょう、私が逃げるわけにはいかないわ!」
だよねぇ。
「行きましょう!」
私の手を掴んで歩き出すキャロちゃん。
ってちょっと待って。
「キャロちゃん! 集合場所わからないでしょ!」
「あ、そうだったわ。それじゃあ案内よろしくね」
改めてキャロちゃんを集合場所まで案内することにした。
なお、その間、キャロちゃんは私の手を掴んだままだった。
「キャロ! 無事だったか!」
「お兄様!」
集合場所まで行くと、先にレイさんが待っていた。
キャロちゃんがレイさんに駆け寄る。
「わっ、ちょっと手掴んだまま!」
「あ、ごめんなさい」
そのまま走り出すからびっくりしちゃったよ。
私の手を離したキャロちゃんはそのままレイさんに抱きついた。
「お兄様、きっと助けに来てくれると思っていましたわ」
「もちろんだとも、大事な妹を助けるのは当然だろう」
感動の再会っぽい雰囲気?
『キャロちゃんブラコンなんかね?』
『お兄様好きそうな感はかなり漂ってるよね』
『レイさんはどうかはわからないけど、妹の事大事に思ってるのはわかる』
『美男美女の抱擁いいね』
レイさんは美男だけど、キャロちゃんは美女って割にはちょっと幼くない?
GM『ちなみに、設定上キャロはアリスさんと同じ歳ですよ』
あ、じゃあ幼くないや。
この世界だと15歳は成人扱いだから幼くないよ!
「アリス嬢もよく助け出してくれた」
「あ、いえ。無事で良かったです」
助け出すというか、勝手に出てきた?
いや、でも塔から連れ出したのは私達か。
「お兄様! アリスとお友達になったのよ!」
「へぇ、良かったね」
キャロちゃんが嬉しそうにレイさんに報告をしている。
レイさんがちらっとこちらの方を見て苦笑いをしている。
『お兄様は妹の性格もご存知のようで』
『いきなりの友達申請だったしなぁ』
『まぁ、相手がアリスちゃんで良かったんじゃない?』
アリスとはちょっと身分違いだから今後はどうなるかわからないけど、少なくとも今はお友達でいよう。
「それでレイさんの方は大丈夫なんですか?」
落ち着いたところで改めて聞いてみた。
「ああ、思ったよりも沢山冒険者ギルドから応援が来てくれたみたいでね。今は、正門前あたりで兵と戦っているはずだよ」
どうやら戦線は安定しているようだ。
「それで、僕らはこのまま王の元に向かおうと思う。きっとそこにアルジフもいるはずだ」
「この人数で大丈夫なんですか?」
私とレイさん、ヴァルキリーの3人で5人。キャロちゃんを入れても6人だけど。
「僕の部下もいるけれど、君たちの方が強いからね」
私達というよりもヴァルキリーの3人かな?
「それじゃあ、こっちだよ」
レイさんが先頭を歩き始めた。
レイさんは隠れもせずに堂々と城の中を行く。
その姿は素直にかっこいい。
「ここが謁見の間だ」
眼の前に両開きのドアが現れる。
「中には王とアルジフがいるはずだ。王の相手は僕がする。君たちはアルジフを頼むよ」
レイさんの目には決意が宿っている。それは自分の父親でも倒すことを厭わない決意だ。
レイさんが王様を止めているうちに、アルジフを倒せばいいのかな?
GM『王が王子を倒す前にアルジフのギミックを破る必要があります』
倒さなくてもいいんだ。
『その言い方だと、王子が負けるみたいな感じだな?』
『そんなに王って強いの?』
『そもそもギミックってどういうやつなんよ?』
GM『王子は長く戦うと王に負けます。やっぱり身内に甘さが出るんですよ。それとギミックですが……』
「それじゃあ、行くよ!」
GMさんが説明してくれようとしたところで王子が扉を開け放った。
えっ? ちょっとまってまだ聞いてないよ!




