第43話 いざ王城へ
「一本道だから、迷うことはないよ」
覗き込んで見るけど、真っ暗だ。
「それじゃあ、時間を見て行動を開始するから、そちらもタイミングを見て頼むよ」
陽動があるからそっちに兵士を寄せて、私たちはその隙を見て行動する感じだね。
「妹を頼むよ」
そう言って、レイさんは去っていった。
隠し通路の入口に私とヴァルキリーの3人が残される。
「どうする? リーダーさん?」
ジニーさんが私に聞いてくる。
「えっ? 私ですか?」
ジニーさんが仕切ってくれるんじゃないの?
「この4人だったらアリスちゃんがリーダーじゃない?」
確かに前の時はそうだったけど。
「大丈夫よ、自信を持って」
いやー……でもなぁ。
『リーダー頑張れー』
『真面目な話、やっておいたほうが指揮取れるからいいぞ』
『GMから助言聞けるのはアリスちゃんだけだもんな』
『提案するよりも引っ張っちゃったほうがこの際楽よ』
言われてみたらそうなんだけど……、そうでしかないか。
「はい、それじゃあ前みたいな感じで、フォローはお願いしますね」
「ええ、任せて」
頑張ろう。
セシルさんを先頭にして地下通路を進んでいく。
暗くてよく見えないけど、よく進んでいけるなぁ。
「あ、アリスちゃんは見えづらいわよね」
私が目を細めているのにジニーさんが気がついたらしい。
「待っててね、今、明かりをつけるわ」
ジニーさんが魔法を使って明かりをつけてくれた。
暗かった通路がよく見えるようになった。
「ごめんね、私たちは暗いところでも見えるような装備をしてるから」
そんなのあるんだ。
『暗視効果はもうちょい後だったかな?』
『そのうちアリスちゃんも作れるようになるでしょ』
『アリスちゃんなら既存にない装備とか作ってくれそうで楽しみ』
なんか期待されてるみたいだけど、まだまだ先のことだからわからないよ。
明るくなったから歩の進みも早くなった。
結構遠いね。もう上は王城だったりしてるのかな?
「行き止まりだ」
セシルさんが立ち止まる。
確かに先には何もない。
えっ? 出れない?
「多分、どこかに仕掛けがあるんじゃないかしら? 探しましょう」
そういえば、レイさんが地下の入口出す時もなんかやってたね。
それじゃあ、この辺の壁かな?
「あっ、ここ押せそう」
壁をペタペタ触っていると凹む部分を見つけた。
「それね、押してみて」
言われた通りに押して見る。
ガタガタと天井が動く音がする。
見ると、上から梯子が下りてきた。
「ふむ、これを登るのか」
見上げるけど、上は真っ暗だ。
「一人づつ行きましょう、アリスちゃんは3番目よ」
セシルさん、ヴェラさんが先に上がっていき、少し時間をおいてから私が行く。
結構高いなぁ。下を見るのが怖い。
たどり着いたセシルさんが上で明かりをつけてくれたらしく、上が明るくなった。
どうやら上に穴があるみたい、もうちょっとで終わりみたいだ。頑張ろう。
「ほら、手を貸せ」
ヴェラさんが手を伸ばしてくれて、それに掴まって穴から出た。
レイさんに案内された地下室くらいの空間。
だけど、外から光が漏れてるから、地下じゃなくて地上みたいだ。
ちらっと窓の外を見てみると、城壁っぽいものが見えた。
「お城の中なんですよね?」
間違って城壁の外に出てたりはしないよね?
「おそらくここは中庭だろう」
私に続いて外を見たらしいセシルさんが答えてくれた。
「ふぅ……、大変だったわ」
ジニーさんも上がってきた。
私たちと同じく、窓の外を見る。
「あれが? 例のお姫様が捕まっている塔かしら?」
「え、ああ。確かにそうかもしれませんね」
頭の中で見せてもらった地図を思い浮かべてみるけど、たしかに方角的にはそんな感じ。
「ここからならすぐに行けそうね」
距離的にはそんなに遠くない。
「警戒を……隠れてっ!」
ジニーさんが小声で言って窓から見えないように身を隠す。
私も慌てて隠れた。
「やっぱりまだ城内をうろついているみたいね……」
どうやら兵士がいたみたいだ。
そういえば、兵士の人って全員が敵なのかな?
王子、レイさんの味方の人っていない感じ?
「ふぅ……行ったみたいね」
ジニーさんが改めて窓の外を確認している。
「ひとまず、陽動部隊を待ちましょうか」
「ええ、そうね。そうしましょう」
下手に外に出て見つかったら大変だもんね。
それから、少し待った後。
「なんだか、外が慌ただしくなってきましたね」
「そうね、兵士たちが急いでどこかに向かっているわ」
外の様子を窺うと、さっきまで歩いていた兵士達が慌ただしくしている。
「これは、陽動部隊が突入した感じですね」
「ええ、間違いないわ」
慌ただしくどこかへ走っていく兵士達を見送り、私達がいるエリアは静かになってきた。
「そろそろ向かいましょうか」
「そうね、そうしましょう」
振り返ってセシルさん、ヴェラさんにも確認。頷いて返してくれた。
部屋のドアを開いて、周りに人がいないことを確認して、外に出る。
「塔までは一直線、走りますよ」
返事は聞かずに走り出した。
後ろから追いかけてくる足音が聞こえる。
目的の塔まではさほど遠くない。駆け抜けた私達はそのまま塔の中に飛び込んだ。




