第39話 師匠
「即死!?」
それって文字通り、即座に死んじゃうってことだよね!
やばくない!?
GM『あ、即死と言っても、状態異常の一種です。時間制限内に治療すれば解除できるものになります』
あ、そうなんだ。ちょっと安心……はできないよね。
「それを解除するための道具が必要なんですよね?」
どうやって手に入れたらいいんだろう? 売ってるとかだといいんだけど。
GM『王都では市場で低確率の販売になります。確実に手に入れるには自分で作る方が良いです。錬金術師のアリスさんなら作れるようになります」
あ、自分で作らなきゃなんだ。
GM『そのためには、二次職になる必要があります』
「二次職……」
何度か視聴者さんからも聞いたよね、確かレベル30になったらなれるんだっけ?
GM『生産職が2次職になるためには、レベル30になり師匠が必要です』
「師匠?」
GM『簡単に言うと、指導してくれる特定の高レベルNPCですね』
そんな人が必要なんだ、やっぱり単純じゃないね。
GM『ちなみに、その候補の人物ならアリスさんの身近にもういますよ』
思い当たる人物は一人。
「モーリスさんですか?」
GM『正解! モーリスは師匠になれるNPCの中でも特に高レベルなのでお勧めですよ』
そんな都合のいいことがあるんだ。
モーリスさんなら頼りやすいし、なんか師匠って感じしていいかも。
GM『二次職になると作れるアイテムも格段に増えます、絶対になっておいた方が得です』
むしろ、ならないメリットはないよね。
『アリスちゃん今レベルいくつなん?』
『王都についた時は25くらいだっけ?』
『王都でも色々と作ってたり戦ってたからひょっとしてもうレベル30になってたり?』
確認すると。
「ぴったりレベル30です」
最近全然確認してなかったけど、どうやら条件を満たしてたみたいだ。
『おおっ! 凄い!』
『やっぱり鉄の矢と爆発ビンの経験値分が強いなぁ』
『それもあるけど、ひたすら作ってたもんな』
『早速モーリスさんにお願いしに行こうぜ』
善は急げということで、モーリスさんにお願いしに行くことに……したんだけど。
「そういえば私モーリスさんのお家知らないや」
いつもここで会ってたからどこに住んでいるのか知らない。
誰か知ってる人から聞くしかないかな。
「ルーナちゃんにお願いをしよう」
快く案内を引き受けてくれたルーナちゃんと共に、モーリスさんに会いに行った。
「おやおや、いらっしゃい。そろそろ来る頃だと思っていたよ」
突然やってきた私をモーリスさんは驚きもせずに受け入れてくれた。
「今日はお願いがあって来ました」
真剣な顔をしてモーリスさんの前に立つ。
「なんだい?」
モーリスさんは相変わらずにこやかだ。
ひょっとして何お願いするかわかってる?
「モーリスさん、私を弟子にしてもらえませんか?」
お願いしますと頭を下げる。
そのまま数秒。
「アリスちゃん、顔を上げて」
「はい」
促されて顔をあげる。
眼の前には先程と全く同じにこやかなモーリスさんが。
「……アリスちゃん」
「はい」
「私でよければ引き受けるわ」
引き受ける、引き受けてもらえた!
「初めて会った時から、きっとこうなると思っていたわ」
そういえば、最初に会った時からなんかモーリスさんは優しかったよね。
私が弟子になることがわかってたのかな?
相変わらず流石だなぁ。
「師匠! これからよろしくお願いします!」
「今までどおり、モーリスさんでいいわよ」
そんなわけで、師匠ができることになった。
次の日、本格的にモーリスさんから教えを請うことになった。
「アリスちゃん、レベルは30で私を師匠にしたってことは二次職になりたいのよね?」
「はい!」
モーリスさんの話は早かった。
私レベル30になったこと話してなかったと思うんだけど。
何故か知られていた。
「アリスちゃんは二次職へのなり方を知っているのかしら?」
なり方?
「いえ、レベルが30になって師匠がいるってことだけですけど」
それ以外になにかあるのかな?
「いえ、大丈夫よ。それだけで合っているわ。後はこれを……」
モーリスさんが私になにか渡してくる。
「これは……球ですか?」
「それは知識の球っていうアイテムよ。それを自分に使うと二次職になるわ」
モーリスさんから渡された球は中が渦巻いて、黄色に光っている。
これを自分に使うのか。
『このあたりは、他の生産職でも一緒だな』
『〇〇の球っていうアイテムが師匠からしか貰えないから師匠が必須なんだよな』
『まぁ、色々と教えてくれるっていうのはあるけどね』
あー、なるほど、ゲーム的に言うと、そういう条件なんだ。
「それじゃあ、使います」
使う、こんな感じかな?
貰った球を自分の胸に持っていく。
『来るぞ……』
『ドキドキ』
『楽しみ』
球に集中すると、球から光が溢れる。
「わぁ……」
思わず声が漏れた。
光は私の周囲を渦巻く。
『綺麗だなぁ』
『戦闘職にはない、この演出いいよな』
『今日の放送見れてよかったわ』
渦巻く光は私の中に吸い込まれていく。
そして、終わった後、球から光が消えていた。
「アリスちゃん、二次職おめでとう」
「ありがとうございます」
自分のステータスを確認する。
これまで、錬金術師とだけ書かれたそこは中級錬金術師となっていた。




