第19話 ボスのリスポーン
「まさか、こんなところに洞窟があったなんて……」
洞窟に入ったところでジニーさんが驚愕の表情を浮かべた。
「入り口狭いから見つけづらいですよね」
本来はゴーレムがいたところだけど、どうやら今はいないみたいだ。
『逆側からだと判定ないんだっけ』
『最初の街側からここに入り直すとゴーレム湧いたはず』
『部屋だったらその部屋から出ればいいんだけど、ここは扉ないからちょっと戻る必要がある』
『見えなくなるところまで戻ればいいだけだからそんなにめんどくさくないよ』
『まぁ、マナー的にあんまりよろしくないからゲームだとやらんようにな』
『でもアリスちゃんには関係ないからOKよ』
あ、そうなんだ。どうやらボスが復活するための方法が判明しているらしい。
……どういう仕組みなんだろう?
「ひとまず、ここを通っていけばユアンヌまで行けます」
指を差すとジニーさんも釣られてそちらの方を見る。
「ルートはちょっとだけ複雑ですが、教えることはできますので、後で教えますね」
「え、ええ。お願い」
とは言っても私もちゃんと覚えているわけじゃないので後で視聴者さんに聞かないとだ。
「えっと、それでこれからなんですけど」
「あ、うん。素材採取だったわよね」
私が話を切り出すと、ジニーさんは気を取り直す。
「冒険者としてはこの発見をすぐにでもギルドに伝えたいとこではあるんだけど」
あー、そうなっちゃう?
「でも、いいわ。疑っちゃった負い目もあるし、アリスちゃんの都合を優先しましょう。二人もそれでいい?」
「ああ」
「問題ないぜ」
セシルさんとヴェラさんも頷く。
ありがたい。
「それで、アリスちゃんはこの洞窟で何の素材が欲しいのかしら?」
「はい、鉄が欲しいんです」
「鉄? ここ鉄が取れるの!?」
ジニーさんもびっくりしている。
そんなにびっくりすることなの?
「この洞窟まさか鉱山なの! それは一大事よ!」
あ、そういうこと、確かに鉄とかが掘れる山が発見されたっていのなら一大事かも?
でも、残念ながら違うんだよね。
「いえ、ちょっと特殊な魔物を倒すと鉄が手に入るんです」
「魔物?」
「はい。ちょっと大変かもですが。試しましょう」
視聴者さんから教えてもらった方法を試してみよう。
「というわけであのゴーレムを倒すと鉄が手に入ります」
広場が見えなくなるところまで行き、再び戻ってくるとゴーレムが出現していた。
「まさかゴーレムなの!?」
ゴーレムを目の当たりにしたジニーさんが驚いている。
そんなに驚くことなのかな?
「どういう理由かはわからないですけど、王都側から行くときはいないらしいです」
多分、ゲーム上の都合なんだろうけどどうなっているんだろう?
「ゴーレムが出るとなると、通行できる人は限られるわね」
まぁ、そうだよね。
一般人が倒すのには大変だろう。
「あれ? アリスちゃんはユアンヌから来たのよね。あれと戦ったってこと?」
「あ、はい。ちょっとずるいことはしましたけど」
私のやったのはシステム的な穴をついた方法だ。
「……アリスちゃん錬金術師よね? 特殊なアイテムでも使ったの?」
「あ、はい。アイテムとあと弓を使いました」
「弓?」
「はい」
私はインベントリから弓と爆発ビンを取り出した。
「これを矢につけて飛ばします。当たると爆発するので時間はかかりますが安全に倒せました」
「……ちょっと貸してもらえるかしら?」
「あ、はい。どうぞ。あ、割れると爆発しますので気をつけてください」
どうも爆発ビンに興味があるらしいので、渡す。
セシルさんとヴェラさんも興味があるのか、ビンを覗き込んでいる。
まぁ、中身は真っ黒な液体なんだけどね。
「こんな道具があったなんて……」
「俺も見たことねぇな。これが本当に爆発するのか?」
ヴェラさんが興味深そうにビンを突く。
「はい。あのゴーレムは爆発に弱いらしくて、削れたところをコアを壊すと倒せます」
「なるほど……ちょっと投げてみてもいいか?」
「え?」
「ちょっとヴェラ?」
「別に矢に付けなくてもいいんだろう? ちょっとあいつに投げてみようぜ」
ここから? 投げる?
「いいですけど、結構距離ありますよ?」
「大丈夫大丈夫、俺なら届く」
そう言って、ヴェラさんはビンを持ち、
「おらっ!!!」
勢いよくビンを投げた。
いいストレートで飛んでいったビンがゴーレムの正面を捉える。
「っし! ヘッドショットだ!」
爆発ビンはゴーレムの頭を削った。
すごい、本当に届いちゃったよ。
「これいいな! 爽快だぜ!」
ヴェラさんは爽やかな笑顔を浮かべている。
「相変わらずすごい馬鹿力ね……」
「うむ」
ジニーさん、セシルさんが呆れたようにヴェラさんを見ている。
「でもわかったわ。これならここから攻撃できてゴーレムも敵対しないわけね」
「はい。部屋に入らないと敵対しないらしいんです」
「なるほどね……」
ジニーさんがゴーレムを見つつ何かを考える。
「私達みたいな冒険者ならいいけど、普通の人が通り抜けるのは危険。でもやり方を考えればレベルの低い冒険者でも倒せるかも……」
ぶつぶつ言ってる。
察するに、どうにかしてこの道を使えるようにしたいってところかな?
「あ、ちなみに、爆発系の魔法でも倒せるらしいですよ」
「爆発魔法使える人……そんな高レベルな冒険者なんてそんな簡単にいないわよ!」
そうなの?
『爆発系っていうと2次職でも上の方?』
『だな、少なくとも属性組み合わせた複合魔法じゃないと無理』
『結構難易度高めだな』
『だからこそ手軽に爆発攻撃できる爆発ビン便利なんだよなぁ』
視聴者さん達がコメントをくれた。
「でもこの爆発ビンを作るための素材がもうないんですよね」
「何が必要なの?」
「爆弾です」
「爆弾!?」
これですと取り出して渡す。
「本当に爆弾だわ……」
ジニーさんはおっかなびっくり受け取る。
「でも、これなら、どうにかなるかもしれないわ」
「ああ、ギルドに言えば用意できるかもしれない」
「爆弾は色々な目的で使えるからね、常備もしているはずよね」
爆弾がギルドで手に入るってなると凄い楽そうだなぁ。
帰ったら私もお願いしてみようかな。
「なぁなぁ、そんなことはいいからそろそろあいつ倒そうぜ。回復しちまったみてぇだし」
ヴェラさんがゴーレムを指差す。
さっきの爆発で与えたダメージは回復してしまっている。
「もう、ヴェラったら。まぁ、でもそうね。今はアリスちゃんの依頼を優先しましょうか」
「あいつを倒せばいいのだろう?」
切り替えがとても早くヴェラさんに続いて、ジニーさんセシルさんもゴーレムに向かっていく。
「あ、アリスちゃんは待ってていいわよ」
「えっ?」
私も向かおうとしたところで止められた。
「あれくらいならすぐに倒せるから」
大丈夫なのかな?




