第35話 悪魔の発想をする
会議の結果、私の役割はポーションの大量作成ということになった。
私でいいの? 本職の薬師の人は? と思ったんだけど。
「この街の薬師は少し前にお亡くなりになりまして、ポーションを確保できるのはアリスさんしかいません」
リーズさんからそもそも、薬師がいない事を教えられた。
『店売りのポーションは確かにアリスちゃんのとこだけだったな』
『基本、薬師プレイヤーがいるからそんなに困らなかったけど、確かにそうだった気がする』
『初級ポーションを目当てに、アリスちゃんのところにお客殺到してたやろ、それでアリスちゃんファンになる人が多かった』
『初級ポーション必須だからなぁ、ほとんどの人が始めはアリスちゃんのとこ行ってたな』
視聴者さんたちも、当時のことを振り返って教えてくれた。
錬金術師製のポーションはあまり効果がないけど、大量生産ができるから、用意するのは問題ない。
しかも、素材は商業ギルドと冒険者ギルドが共同で持ち出してくれるらしい。
私としては、無料でレベル上げができるからかなり得だ。
最近は、レベル8にもなって、初級じゃないポーションを始め、毒消しなんかも作れるようになった。
これは一気にレベルを上げるチャンスだね。
家に帰ると、早速、材料が届けられた。
数は……考えたくないくらいあるなぁ。
しかも、明日にはまた届けてくれるとのこと。
とりあえず、じっとしていても何も始まらないので、少しずつ作り始めることにした。
「ひとまず、ポーションさえ作っておけば、街の人たちも多少安全かな?」
視聴者さんたちと雑談しながら、制作していく。
『せやな、回復はあって困ることないし』
『街の人もインベントリがあるから、どれだけあってもいいしね』
うんうん、私の活動で助かる命があるなら嬉しいね。
でも……
「正直、乗り切れるかなぁ……」
今日の会議を思い出す。
視聴者さん達が言っていたのでわかってはいたけど、この街の冒険者達は非常に弱い。
『まさか最高レベルが10とは思わなかったよね……』
『当時のプレイヤー最高レベルが30手前くらいだったはず』
『流石にそれは一部の廃人だけだが、平均でも15以上はあったと思う』
『当時、冒険者の参加断ったのは英断だったか』
聞いた感じだと、ゴブリンの数は少ないはずだけど、それでもレベル差はかなりあるように思える。
とはいっても、
「私にできること……、何かあるかなぁ……」
今の私が魔物との戦闘でできることは、
・投石による固定ダメージ
・弓による射撃
・初級ポーション、ポーションによる回復。
このくらいだ。
『一応、レベルが上って9で石弓ができるはずだけど』
『正直、一人の火力が上がったところでなぁ』
そうなんだよね……、正直、私一人が強くなってもあんまり意味がないのよ。
冒険者全体を強化できるようなことができればいいんだけど。
「よくある、強化薬的なものとかないんですか?」
ゲームによくある、一定時間の強化が着くようなアイテムとか。
『あるにはあるが』
『バフは二次職にならんとつかん』
『最低レベル30以上だね』
「30か……、流石に無理だなぁ」
『そもそも、錬金術師で30まだいないからね』
ということで、残念ながら不可能ということはわかった。
どれだけ急いでレベル上げしても、レベル30は無理だ。
『あとは、一応10で爆弾作れるようになるっけ』
『あったあった』
爆弾? なにそれ、ちょっと強そうなんだけど。
『微妙に火力不足なんだよなぁ』
『効果は固定で30ダメージだっけ?』
『普通に殴ったほうが効率がいいからすぐ使わなくなるやつな』
『そもそも、魔法あるからなぁ』
視聴者さん的には使えないアイテムらしい。
でも、
「固定で30ダメージ……投石30個分は強くない?」
私の今の火力の倍以上なんだけど?
『草』
『いや、でもそう考えるとちょっと強い?』
『確かに、考えれば、通常ゴブリン一撃で倒せるのはでかいぞ』
『あれ? 聞いた話だと、もっと使われてていい気がするんだが』
だよね、アイテム一個で敵一匹倒せるのはなかなか有効そうだけど。
『あー、あれな。フレンドリファイアするのさ。味方もダメージ受けるんよ』
『タンクいるところに投げると、タンクも被弾して崩されるからなかなか使えない』
『あと、前提として、当時の錬金術師はもっとレベル低かったから』
『俺師、当時8くらいだったかな? 作れるようになった頃には30ダメージは弱すぎた』
なるほど、なるほど。
いろんな理由があって使えないアイテム扱いされてるのはわかった。
でも、
「私のこの状況なら使える!」
味方へのダメージ? そもそも、防いでくれる味方とかいないから関係ない。
レベルも後1上がれば作れるようになりそう。
『なんか思いついたのん?』
『こういう時のアリスちゃん、割りと突拍子もない発想するから見てて楽しい』
『なにげに発見も多いしな』
ふふふ、期待してくれてるみたい。
でも、今回は私自信あるよ。
「固定ダメージは30、しかも、GMさんからの情報で敵の数はわかってる」
それだったらやることは一つでしょ。
「魔物全部倒せるだけの爆弾を予め用意すればいいんだよ!」
『あ』
『それは……いけそう……』
『悪魔の発想だがwww』
『ゲームって考えると全部ぶち壊しだが正直アリだなwww』
『むしろ、その画めっちゃ見たいんだがwww』
この作戦、うまくいけば、完全無欠の勝利ができる。
ゲームだったら、敵の数の問題があるからうまくいかないだろう。
けど、ここには私一人だけだ、数は多いけど、実現できないほどじゃないと思う。
『こりゃ楽しみになってきたぞ』
視聴者さんたちと話し合った結果、問題は2つ。
1つはレベル、こっちはまぁ、ポーションを作っていれば上がるからそれで追いつくはず。
問題は、
「素材が足りないんだよなぁ」
爆弾の錬金に必要な素材が足らない。
どうやら、店売りをしていない素材らしい。
一応、商業ギルドと冒険者ギルドにお願いはしてみるけど、時間が時間だからなぁ。
そうなると、自分で集めるしかないわけだけど。
『そんなアリスちゃんに一つ良いお知らせがあります』
おっ? 悩んでる私に、視聴者さんが提案をしてきた。
『ダンジョン探索で一石二鳥をしませんか?』
ダンジョン? そんなのあるの?




