閑話休題
「それにしてもさっきはすごかったな。まだ姫竜寝てる?」
「ああ、寝てる。もうしばらくは起きないだろうなこれ」
「だよね、あれだけの範囲だし…まあ、でもおかげでしばらく飲み水には困らなそうだよ」
「牧義と竜香も昼寝してるし、もうしばらく休憩でいいよな」
そう言いながら、持山が眠っている姫竜の髪をなでる。
「そうだね。砂流はあっちで砂蒸し風呂してるし」
僕はごめんだけど、とその場にごろりと横になる遊希。
確かに、これだけ日が差す中の砂蒸し風呂は、尋常ではない体力が奪われそうだ。
「まあ、干からびる前には引っこ抜きにいくさ」
──この世界は、水・風・火・土・助・力、その六つの属性から成り立っている。
そして、彼ら六人もそれぞれに異なる属性を持ち、それを生かして旅をしている。
たとえば、水に属する姫竜。
今ひとつ制御や威力にムラがあるため、普段は剣を主に使ってはいるが、彼女は先ほど暴発させたように若干の魔力のようなものをもつ。
一方、素手に近い武器で戦う持山は、火である。
とはいえ、魔力の方はさほどではなく、基本的には自らの肉体を武器にも防具にもし、有事の際は我先にと敵の前に立つ。
土に属する牧義は、細剣(細工の美しさでえらんだのが主である)であり、こちらも今のところ魔力はそれほどでもない。
美しくあることがモットーであるため、魔力の有無については本人も特に気にはしていないようだ。
逆に全身黒尽くめの魔術師、遊希は風に属し、魔力はメンバー内ではトップクラスだがその反面体力は竜香といい勝負といったところ。
彼にとっての魔術といえば全身黒スタイルらしく、それを貫き通すことでより強い魔力が得られると信じているのだ。
属性によって、性格や、得意分野がある、という人もいるが、その真偽は定かではない。
それを裏付けてか、竜香は助に属する。
元来「助」というのは、他の者の力を助け、増幅したりするものであるので、その点では白魔術は適していると言える──が、中身が外れか正解かはまた別の話。
同様に、力に属する砂流はその武器を見れば一目瞭然。
全身を覆う鎧と、巨大な剣を合わせた重量はかなりのもの。それを難なく装備して歩いているのだから、筋力体力のほどが伺い知れる。
最もすべての人がどれかに属しているかといえばそうではなく、必ずしも誰しもが力を使いこなしているわけではない。
6つの力に属するそれぞれ独自の国があり、それを称して、「六印国」と呼ぶ。
正式には、それを源とする力を「派動」と呼び、呪文や媒体を必要とするものを「魔術」呼ぶ──のだが、六人とも旅を始めてからそれなりには時間が経ったとはいえ、熟練者というには程遠い。
二十歳を数えるに少し早いかどうかといった年頃なのがそれを裏付けている。
そのため、そういった力や属性の違いを明確に言い表すほどの知識を六人が持つわけもなく。
唯一、魔力を使う三人の中で、なんとなく区別しているのが遊希。
怪我人が少ない故にそれを考えて使うことの少ない竜香。
まったく考えていないのが姫竜と、そんなレベルだ。
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