不運の始まりは──
火を焚き、髪を乾かしながら夕食をとる。
「全くもう。ひどいめにあったわぁ」
「それを言うなら俺らがだっ!」
手櫛で整えつつ苦労を語る竜香にかぶせるように言うのは持山。その言葉に頷くのは牧義だ。
「僕は久々の水浴びがうれしかったなぁ」
竜香強化計画のうち一番被害の少なかった遊希が、焼けた干し肉をかじる。
「それならよかった♪」
「まあ、でもできればそろそろ宝見つけて砂漠は出たいところだけどさ」
「うん! 宝見つけて、おいしいものたくさん食べて、お酒も飲んで大騒ぎしたいなぁ」
杖の先に新しい干し肉を刺し、火にくべる姫竜。
「そーよねぇぇぇ! 誰かが借金なんて作らなけりゃ、わざわざ砂漠で宝探しなんてしなくてすんだのよねー。ねーぇ。砂流?」
姫竜にならって肉をあぶる竜香、笑顔で砂流に酒をすすめる──と、
「そ、そうですねぇ……」
額に汗をかき、首をすくめるようにぺこりとする砂流。両手で酒を受け取る。
先週まで六人は、色々と宝を見つけ、それなりに金には困らない生活をしていた。
しかし、旅先で立ち寄ったカジノで──
「砂流が来たとたんに急に負けまくり……」
「あれだけあったチップがあっという間に減ったんだよなぁ…」
「持山なんか一人勝ちしてたのに…」
「あーら、私だってそうよ?」
砂流以外全員が程よく勝ってはいたのだが、彼が来たとたんに急に負け始めた。
それこそ、
ルーレットを楽しんでいた持山と游希と竜香も、
スロットで大当たりを引いた姫竜も、
ポーカーでそれなりに稼いでいた牧義も、
皆が皆、砂流が様子を見に来たとたん調子が落ち始め、そのまま波に乗ることはできず。
稼ぎに稼いだコインはあっという間に飲まれ、無一文となり今に至るのだ。
「ギャンブルは運って言うし、きっと砂流は運がたまたま悪かっただけかもしれないよ♪」
「姫竜ー! そうだよなっ!」
そのときを思い出して暗い顔になる一同に声をかけつつ、笑顔で砂流に干し肉をわけてやる姫竜。
「次勝ちまくればいいんだもんねっ!砂流、がんばっ♪」
その言葉に、竜香が干し肉を食いちぎりながらくっくと肩を震わせて笑う。
「流石姫竜、さりげなく絶妙なとどめだわねっ!」




