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守護山娘シリーズ  作者: 白上 しろ
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大和三山は結ぶ㉞

香久の執拗な責めからよくやく逃れる事の出来たヤッカイは、もう何も言わずに姿を消しました。それからしばらくやって来る事は無かったと言われています。


耳成山。

麓の公園で耳成と団五郎が向かい合っていました。団五郎が言いました。

「何だよ? 用事って」

耳成は言いづらそうに、もじもじとしていました。

「あの・・・・・・」

「はっきり言えよ」

「ごめんなさい」

耳成は素直に団五郎に頭を下げて謝りました。団五郎は驚いた顔を一瞬見せると、視線を逸らして言いました。

「いいよ、別に怒ってないし」

草陰でこっそり見ていた畝傍と香久はホッとた顔を見合わせました。

「そんな事でわざわざ呼び出すなよ」

団五郎はそう言うとあっさりその場を去ろうとしました。耳成が呼び止めます。

「団五郎は?」

「ん?」

団五郎は振り返りますが、首を傾げました。耳成は言葉に詰まりながらも言いました。

「団五郎は何か耳成に言いたい事はない?」

「は?」

草陰の畝傍と香久は、雲行きが怪しくなってきたとばかりに、不安な顔つきに変わりました。耳成は続けます。

「団五郎も耳成に、ほら、何か言いたい事がないのかな~、って思ったり・・・・・・」

団五郎は怒って言いました。

「俺にも謝れって言うのか?」

「そんな事言ってないもん! ただ・・・・・・」

「『ただ』なんだよ?」

「何か言いたい事があるなら、聞いてあげてもいいもん」

草陰の香久は小声で言いました。

「耳成のヤツ、人間様に謝れって言っているようなものじゃない!」

香久の隣にいる畝傍も心配そうです。

団五郎は少し考えました。

「言いたいこと?」

耳成は頷きます。団五郎はあっさりと言いました。

「俺も悪かった」

耳成の顔がパァーっと明るくなりました。耳成は嬉しそうに早口でいいました。

「団五郎が謝る事ないもん! 耳成、ぜ~んぜん気にしてないから! 団子朗の事、耳成、よく分かっているし、別に謝らなくても・・・・・・」

耳成の言葉の途中でしたが、団五郎は言いました。

「なーんて言うとでも思ったか、バーカ!」

団五郎は、あっかんべーをした後、走り去っていきました。草陰の香久と畝傍はポカンと口を開けた後、言いました。

「まずいかも!」

「まずいですよね?」

顔を俯けたまま動かない耳成の体は、徐々に震え始めて

「団五郎のバカーーー !!」

と、大声で叫びました。畝傍と香久の顔は真っ青になりました。そして、耳成の暴言を察知した竜泉寺の子角仙人、観音、そして稲村が、再びざわつき始めるのでした。


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