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大和三山は結ぶ㉛
噂の久米仙人。
「なんじゃ、あの力は。ただ事ではなさそうじゃ」
久米仙人はこれまでの異変が気にかかり、上空から偵察に訪れていました。辺りをキョロキョロしていると、
「ん? おぉ!」
久米仙人が興奮気味に目を凝らしたのは、荒れてしまった大和三山一帯ではなく、
「あ、あれは!」
地上で服がはだけた畝傍の太ももでした。急に久米仙人は足もとに異変を感じました。
「しっ! しまった!」
久米仙人は乗っていた雲からすっぽりと落ちてしまいました。久米仙人は神通力を使って雲に乗っていましたが、心を乱してしまったために神通力を(また)失ってしまいました。
龍泉寺。
観音は驚いていいました。
「あの仙人様、雲から落ちてしまいました! どうしてですか!?」
稲村も同じく驚いていました。
「急に力を失ったのでしょうか? でも、なぜ?」
小角仙人は呆れたように眼を細くして言いました。
「うーん、どーしてかなー。畝傍の太ももってそんなに魅力的かなー……」
大和三山。
身なりがボロボロの畝傍は大きなくしゃみをすると、同じくボロボロの耳成と香久が『大丈夫?』と畝傍を気遣いました。




