大和三山は結ぶ㉜
光に呑まれてボロボロになったヤッカイは、怒りながら大きな鏡を取り出しました。
「私のホントの恐ろしさを教えてやるんだから!」
ヤッカイはスス黒い顔でニタリと笑いました。
「この借りは何倍にもして返してやる! 私を本気にさせた酬いよ! フフッ、こんな攻撃はどう? よく見てなさい! マヌケな守護山娘ども!」
ヤッカイは鏡をのぞき込むと、急に間が抜けたような声で尋ねました。
「鏡よ、鏡よ、鏡さん? この世で最も美しくて、最も強い者は……」
と、のたまっている最中に、いきなり後頭部に何かが落ちてきて顔面を鏡に強打すると、鏡は木っ端微塵に砕けました。
「うぎゃー!!」
と叫んでいるのはヤッカイではなく、久米仙人。おしりからヤッカイの後頭部に落ちてきて鏡ごとヤッカイを粉砕したのです。そのまま久米仙人の落下の勢いは止まることなく、完全に気絶しているヤッカイ共々、真っ逆さま。ドスン! という音と共に地面にめり込みました。
驚いた耳成達三人は、久米仙人とヤッカイを囲むように駆け寄って来ました。香久は大慌てで久米仙人に声を掛けました。
「に、人間様!? 大丈夫ですか!? 大変!!」
畝傍も心配そうに言いました。
「この方は、久米仙人様!」
香久は畝傍に尋ねました。
「人間様じゃないの?」
「はい。久米寺の仙人様です」
香久は胸を撫で下ろしたように安心して呟きました。
「よかった……」
畝傍は耳を疑いながら、思いました。
「(よかった?)」
耳成も同じく思いました。
「(今、『よかった』って言った? 人間様より仙人様の方が格上なのに……)」
三人は地面に背中から半分めり込んだヤッカイを見ました。耳成は言いました。
「完全にのびてるもん……」




