大和三山は結ぶ㉕
翌日。
畝傍は慌ただしく香久山にやってきました。
「香久ちゃん!」
「どうしたの、畝傍ちゃん。そんなに慌てて」
「仙人様の話、本当に受けるつもりなの?」
「うん。もう受けたよ。仙人様、これから耳成の所に向かう、って」
畝傍は更に不安な顔になりました。
「大変!」
「大丈夫よ。だって、私も耳成も一緒だから」
「一緒?」
「ええ。二人で同じ宿命を受け入れる。お互いに憎み合ったとしても、私達は同じ境遇だし、同じ所にいるのだもの。それに心から耳成の事を憎んだりしないわ。そんな事絶対にしない。耳成もきっと同じ思いだと思うし。だから私達は一緒なのよ」
「一緒じゃないよ!」
畝傍が突然大きな声で言ったので、香久は驚きました。
「え?」
「一緒じゃない! 香久ちゃんと耳成ちゃんは一緒じゃないよ! 私、ずっと考えていたの。何か引っかかっていて。そしたら分かったの。もし香久ちゃんと耳成ちゃんが喧嘩したら、耳成ちゃんは・・・・・・ 絶対に負ける!」
一瞬ポカンとした香久ですが、色々と思い返してみました。
「た、確かに! 耳成が私に勝つ要素が一つもない!」
「私、言い過ぎたかも知れませんが」
「私も言い過ぎたかな? 今、言った事は黙っていようね。耳成、案外傷つくかも知れないから」
畝傍は頷いていいました。
「そうですね」
二人はホッと安心したように目を合わしましたが、少し間があって、慌てて畝傍がいいました。
「いえ! 黙ってちゃ駄目です! 教えてあげないと! 止めないと!」
香久も慌てていいました。
「そ、そうよね! そういう話よね??」




