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白きオオカミを追いかけて.15



 キョウスケは、息をするのも辛そうに、じっと伏したまま動かない。



「なによ、どうしたのよ! サッサと返事しなさいよ!」

 ミーナは傷付いたキョウスケの身体を抱き寄せると、そこで彼の名を必死に呼び続ける。



「……スクナの所為デス。キョウスケ様の“力”ヲ、ムリヤリ使ってシマッタ……オ許しクダサイ、ミーナ様」

「どういうことッ! ――スクナ、答えなさいッ!」

「その者が耐えきれなかっただけのこと。〈使い魔〉に頼っていた“ツケ”が回ってきたのだ」





    白いオオカミが、こちらへと静かに近付いてくる。




「本来、“(あるじ)”と〈使い魔〉は切っても切れぬ関係。“我”のように特殊な場合を除いて、〈使い魔〉は“主”の精神力を消費して、この世に存在し、〈秘術〉を使う。しかし、そこの〈魔〉は、この世に存在するだけの、“最低限の力”しか受け取っていなかったようだ。おそらく、これだけの力を吸い取られたのは初めてのはず。衝撃が大きかったのよ」


 キョウスケが眼を覚ました。


 彼はミーナの暖かな腕の中で、コトの仔細を知った。


「気分は?」

「うん。だるい。こんなに疲れるなんて知らなかった。スクナは?」


「……ココに居マス、キョウスケ様……」


 スクナは、顔をずっと下に向けたまま、フヨフヨと近付いてくる。


「……ゴメンなさイ……勝手なことを致しマシタ。スクナは、ワルイ〈使い魔〉デス……」

「僕を助けるために、ありがとう、スクナ。僕は今まで、君に頼ってばかりいたんだね」 


 スクナは、たっぷりの涙を瞳に湛えると、キョウスケの左肩に飛び込んだ。


 そこが彼女のお気に入りの場所らしい。



「ノークちゃん。私の“中”に来て」

「エ? オレ?」


 マキが決死の覚悟を覗かせる。


「もう一度“スーパー状態”になって、キョウスケくんを助けるの」

「オイオイッ、さっきのハナシ聞いてなかったのかヨ! “あのイヌッコロ”トやり合うだけの力トなるト、ネーチャンじゃムリだヨ。ッテゆーかアンタ、入ってミテ分カッタ。“スゲー運動オンチ”ダロ。オレの消費カロリー、半端ジャネーゼ」

「運動は得意じゃないけど、そこはノークちゃんに任せる。だから私のイメージを、ノークちゃんは私の身体に伝えてちょうだい。私、“格闘ゲームは得意中の得意”なんだ。まだ、島の誰にだって負けたことないんだから!」

「マジスカ?」


 “彼女”の決意が今、再びキョウスケたちを栄光の勝利へと導く――

 マキはノークに手を差し伸べた。






       「立ち向かう力は残っているか?」



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