探索開始……?.6
「行きましょう。まだ、先がある」
草守レイトは、また歩き出した。
銀の少女の後ろ姿は小さくなっていく。
「……キョウスケ。よく分かんねえけど、ここまで来たら、最後まで付き合うぜ。お前の家の敷地にこんな場所があるんだ。無関係、ってワケじゃないんだろ?」
彼の傍には、常に友の姿がある。
「はわわッ。なんだか私たちのキョウスケくんが、どんどんマンガの主人公っぽくなってく! 今のうちにサインと握手、お願いしてもいいかなあ?」
「なーにバカなこと言ってんの。ヘンなヤツが、ますますヘンになるってだけじゃない。それにキョウスケがマンガの主人公とか、絶対ありえないし。“こんな地味で無口なヒーロー”が、どこの世界に居るの。やめなさいマキ、調子に乗せるだけよ」
「うん、乗せよう乗せよう! だってミーナちゃん、身内から有名人が出るかもしれないんだよお! 私に出来ることがあったら、なんでも言ってねキョウスケくん!」
「ないから。基本的に」
禍々しさはない。
それどころか、神聖さで満ちている。
ぐんぐん遠ざかる銀の少女を追い、キョウスケたちは前進する。石畳は厚い苔に覆われて、四人の足元はおぼつかない。
森と聖地とを分かつ境界は、両側に並び立つ石塔だ。
―― 彼らは今、〈ヒガン〉に居る ――
やがて、“謎の巨石群”が立ちはだかった。
不思議な質感だ。つるりとしている。
ひび割れや、驚異的な植物の繁殖力は、そこには及んでいない。
草守レイトはその前で、そっと白い手を這わせていた。
「来たわねキョウスケくん。さあ、封印を解いてちょうだい」
しん、とする。
先ほどまでの鳥の鳴き声がピタリと止んだ。
草守レイトが振り向く。その表情には、高まる期待が見え隠れしていた。
「封印?」
キョウスケには分からない。
「命令しなさい。――“開け”と。そう難しく考えることはないわ。ただ念じればいいの。あなたの命令で、この遺跡はきっと眼を覚ます」
キョウスケは……
瞳を閉じる。
この先にあるのは、とてつもない力を秘めた神の器。
確かめてみたい。
もしもそんなものが本当に存在するのなら、この眼で確かめたい。
「――さあ、キョウスケくん! あなたの手で、“新しい世界”を私に見せてちょうだい!」
キョウスケは、「開け」と命令した。




