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最終決戦と新たな仲間。

「毒のブレス……」

とっさに後方にいたアルティの元へと走った! カルノスとアルティのダメージでは回避行動は無理だろう! 

かと言って自分やファバルにもあの範囲攻撃を躱す手段は無い……このままでは全員が毒を受ける……そうなると次の攻撃を耐えるのは難しいだろう。

せめて、解毒処置の出来るアルティが残っていれば可能性がある!


自分はアルティの元に着くなりその顔を胸に押し付け覆いかぶさる様にファブニールに背を向けた。

「ちょっ⁉ ダメだよ! レン兄! そんな事したらレン兄が!」

「悪い……後は任せた!」

もしかしたらここまでかもな……一年持たなかったな……まぁ、誰かを守って死ねるなら、それも悪くないか……

走馬燈と共にそんな弱気な考えが頭をめぐる中……


『皆! 目を伏せてっ!』


そんな大声が前方……洞穴の奥から聞こえた。

「なんだ⁉」

完全に諦めモードになっていた自分は咄嗟に声の方に顔を上げた。その時、視界の端に、頭上を通り過ぎる何かが見えた気がした。

そして

「早く目を伏せて!」

再び鋭い声が響く。その声に反応して自分はアルティを強く抱きしめ目を固く閉じた。

その直後、

『バシュッ』と言う音が背後でしたと思うと瞼越しに世界が明るくなった。

それと同時にファブニールの雄叫びが聞こえた。


もしかして閃光弾なのか?


「なんじゃー⁉ 今の光りは⁉」

「おごぉー! 目が~……」

後方からそんな声が聞こえたのと、自分達の横に何者かがやって来たのを感じて目を開いてその何者かを見上げた。

そこにはジーパンにファー付きの革ジャン、鍔付きの帽子に昔のパイロットゴーグルをはめたショートヘアーの女の子が立っていた。

「ほぉー……様になってるなぁ……」

さっきまでのピンチが無かったかの様な感想をつい口にしていた。

「レン兄~。苦しい~……」

謎の少女に少し見惚れていたがアルティのくぐもった抗議で我に返る。

「あっと。悪い」

「ぷは~。……どちら様?」

アルティは深呼吸の後に隣にたたずむ少女に尋ねたが


「まだ、倒したわけじゃないから。今の内に攻撃を」


その言葉に、そうだったと現状を思い出してファブニールに向き直る。

そのファブニールはあの光をまともに見たのだろう。両腕で目を覆いながら天を仰いで咆哮を続けていた。

今度こそ好機だ!

自分は村正を構えて突進する。その横で少女が両手を突き出すのが見えた。

魔法でも使うのか? 魔法使いには見えなかったけど……

そんな事を考えながらも突進する。


ファバルは、自分と同じ様にファブニールに突進していた……と思ったら

「儂もここいらで活躍しておかんと、全部手柄を持って行かれそうじゃわい!」

「えっ⁉ 一体何を……」

そう言て、持っていた斧を二本とも思いっきり投げつけた。

『戦斧旋撃』

投げ放たれた斧は物凄い回転と共にファブニールに向かい飛び、その内の一本は首元に食い込み、もう一本は咆哮する口の中、上顎に深々とめり込んだ。

「ふん! 後は任せたぞ!」

「分かったよ!」

ファバルの攻撃を受けファブニールはこちら側にバランスを崩しかけている。これはチャンスと更に加速する。

すると今度は後ろから

『タンッ! タンッ! タンッ!』

と言う乾いた音が響いた。と同時に、ファブニールの胸や腹から血が噴き出した。

えっ⁉ これってもしかして銃声⁉

そんな事が頭を過り後ろを振り返りたい衝動に駆られたが、ファブニールは目の前に迫っていた。しかも、さっきの連続攻撃が効いたのかこちらにのしかかる様に倒れてくる。

その為、その衝動を抑え、突進の勢いを緩めずに倒れ込んでくるファブニールの真下に走り込んで、プラーナを村正に集中させた渾身の突き攻撃を繰り出す!


スキル『螺旋槍』!


そのスキル発動と共にプラーナは村正を中心にドリルの様に激しく渦巻いた。そして突き出した切先がファブニールの胸を貫くと周囲の肉を引き裂き大きな穴を穿ち、勢いそのままに体を貫いて背中の外皮をも弾き飛ばしたのだった。


……危なかった……倒れ込んできたから、それを利用できるかと飛び込んだけど……もし螺旋槍が効かなかったらそのまま下敷きになってたよな……

「内からの攻撃で外皮がはじけ飛んでくれて、ホント助かった……」

ファブニールに出来た穴の中でそう呟いたが

「ちょっと、レン兄! また無茶してっ! どういう事⁉」

当然と言うか、予想通りアルティが怒気を含んだ声を頭上からかけてくる。

そうですよね~……

「反省してます……」

そう言って倒れたファブニールの背に乗っていたアルティの手を借りて貫いた穴から背に上がると、周りは既に大歓声に沸き立っていた。

「さすがはレンヤじゃ! ようやった!」

「素晴らしい勇気じゃったぞ! あそこでまさか腹の下に飛び込むとはのぉ」

キュアンとギルが声をかけて来た。

「いやいや、今回はたまたまで……ファバルの投げ斧が既に致命傷を与えてたと思うし、それに、あの女の子の助けがなかったら殺られてただろうし……そう言えばその女の子は?」

「あそこにおるぞ」

そうギルが指さした先には、初めて見るドワーフと魔術師風な仲間と共にたたずむ少女の姿があった。


「あのドワーフ達は北の大森林に住む森のドワーフ達じゃ。先の王国開放戦に協力要請をしておったんだが、遅れて来たのが幸いした様だの」

「森のドワーフ?」

「地下の王国から離れて森の中で独自の暮らしをしているドワーフ達だよ」

そう教えてくれたのはいつの間にか隣にやってきていたカルノスだった。

「もう大丈夫か?」

「それはこっちの台詞。また無茶して! 俺はレンヤ兄が潰されたかと思ったよ」

「はっはっはぁ……ごめん……」


これは暫く二人に小言を言われるな……それより、さっきは気が付かなかったけどあの少女が腰に持っているのは

「あれは、やっぱり銃だよな?」

「あれ? レンヤ兄は魔法銃を知っているの?」

「魔法銃⁉」

「そうだよ。錬金術師が作り出した魔法を打ち出す武器だよ。そう言えば、渡界者の技術を元にしてるって……だからレンヤ兄は知ってるのか」


魔法銃か、こっちにも銃なんてあったんだな。もしかしたらお仲間に会えたかと思ったんだけどな~残念。


「あれも魔法だったのか、なかなかの威力だったな」

そう言って少女の銃を見ていると、視線に気が付いたのかこちらに歩み寄って来る。

「そこなんだよね~。俺の知ってる魔法銃はドラゴンを相手に出来る様なもんじゃなかったんだけどなぁ」

そうなの? と聞き直そうとした時

「あなた、大丈夫?」

謎の少女が話しかけて来た。

「あ、あぁ。大丈夫だ。それより、助けてくれてありがとう。君の閃光弾が無かったら危なかったよ」

「閃光弾……」

あ、閃光弾なんてこの世界にはないのか……

「やっぱり、あなたは日本人?」

「……えっ⁉ 今、日本人って言った?」

「言った……」

そんな少女をまじまじと見つめ……そして不意に抱きしめていた。

「やったー! お仲間に会えたー!」

そう叫びながら少女を抱きしめていると

「セクハラで訴えますよ」

その言葉に『はっ⁉』としてすぐさま腕をほどき両手を上げる。

「悪かった……」

「放してくれれば、それで……」

そう言って少女は少し頬を染めるが、横でこちらを睨むアルティの視線が痛かった……

「おっと、そう言えば自己紹介がまだだった。自分は結城連也、時の賢者様に呼ばれてきたんだ。よろしく!」

「私は、『木咲刹那』。生命の女神様に呼ばれてきた。よろしく」

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