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ユグド王国開放戦、開始!

ユミル村に戻ると、そこにはギルとファバルが来ていた。どうやらギル達も作戦に参加すると言う事だった。

それから更に一週間。いよいよ作戦決行の日がやってきた。


「いよいよ決戦の時が来たな。流石に緊張する……」

「仕方ないよ。王国開放の作戦だもん」

「この作戦が成功したら。大陸全土に広がっている軍事同盟の侵攻に楔を打ち込む事が出来るかも知れない……」

「……カル、余り気負わない事! 先ずは目先の作戦だよ」

「うん、分かってる……」


この作戦が成功すると、現在軍事同盟に支配されているロベア王国の東側に反軍事同盟の国が復活する事になり、元ロベア王国の現状に大きな変化が起きるだろうと予想できる。

解放ゲリラの活動も在り、カルノスはこの作戦に少なからず希望を見出している様だった。


これを機に祖国の解放戦線が大きく動く事を……

そして、そこに関わって行く事を……


口には出さないが、最近のカルノスからはそんな思いが自分にも伝わってくる。

という事は、当然アルティも分かっているはずだ。いや、自分よりももっと深い事情を知っているのだろう。

だからだろう、少し前のめりになるカルノスを心配している様であり、また応援したい様な複雑な感情を持っている様だった。

そんな二人を自分は見守る事に徹していた。いずれ何らかの行動を起こすならもちろん協力する気でいるが、答えを出すのは彼ら自身だ。

自分はその時に力になれる様に鍛える事にする! と心に決めていた。

なので、こういう時はあえて会話に入らない様にしていた。


「そう言えばディアドラ? 結界無効化の首飾りは結局何個出来たんですか?」

ドワーフ達に色々と指示を出していたディアドラに声を掛けた。

「あぁ、すまないね。何とか一つ追加出来たけど、結局四個分しか用意出来なかったよ。後は結界破りの短剣と、強力な結界を張る護宝石を削り出すので使い切ってしまったよ」

「意外と少ないな……」

「削り出す場所や角度、それに力の性質を決めるルーン文字も彫り込まないといけなかったからね。それでも四つ取れたのは上出来だよ」

「そうなんだ……ならメンバーは?」

「こちらのメンバーは私とディアドラ、キュアン、ギルの四人だな」

そう言って後ろから声を掛けてきたのはバンダルだった。

「それにお前達三人とブリギッドの合わせて8人だ」


「八人か……すこし心もとない気もするが仕方ないか」

「はっはっはっ。心配せんでもいいじゃろ。アルとカルの二人の実力は儂が保証するし、お前さんだって相当強くなっておる。そして何より儂が一緒なんじゃ!」

いつの間にか自分の隣に立っていたギルが胸を張って言う。


「まぁ、確かに強くなった自覚はあるけど……今回は兵士相手だろ? 明らかに今までのモンスターとは違うと言うか……」

「そんなに心配する事ないよ。基本は各個撃破、倒せる相手から確実にと、今までの戦闘と変わらないから」

「そうそう。いつも通りにやればレンヤ兄なら楽勝だよ」

そんな二人の励ましも在り、少しは不安も和らいだが


流石にこれを完全に消すのは無理だな……まぁ、これも経験。今回の作戦も生き残れれば大きく成長で来るだろうし……全力を尽くすだけだ。


そんな事を思いながら、自分達も出発の準備を整える。


今回の作戦は自分達がまず、守護ゴーレムを起動させてから次に、王国内のどこかにある結界の元を破壊する。そしたら外で待機するファバルを含むドワーフの戦士達が突入する手はずになっている。


その為、先ずはユグド王国へ侵入しないといけない。

しかしメイン通路は撤退時に破壊して塞いでしまい今は使えない。そこで人一人がようやく通れる隠し通路から王国内には侵入する。

占領されたと言ってもハイドワーフ達にとっては勝手知ったる故郷である。道に迷う事は無い。後はどれだけ早く、敵に見つからずに動力室に辿り着けるかで決まる。

もし敵と遭遇した時は、仲間を呼ばれる前に排除する、それも静かにだ。敵に気付かれ仲間を呼ばれれば一人、一〇〇体以上を相手にすることになりかねない……それは同時に失敗を意味する。


それを考えれば少数精鋭は正解なのだろうけど……リスクはデカいよな。


しかし取り敢えずは、当初の予定通りに王国内への侵入は問題なく成功した。

隠し通路は王国内の粗大ごみ置き場の一つに繋がっており、その周辺に敵影は無かった。宝物庫はココから南西に行った奥にあるらしく、大半の敵はそこと、南にある王の間にいると予想される。

動力室はココから南東に少し行った所にあるのだが、そこに繋がる通路も破壊してあり隠し通路からしか入れない。まずはその隠し通路のある倉庫を目指す。


薄暗い地下王国の中を、敵に見つからない様に素早く移動する……

そんな緊張の中でも、やっぱり気になるのがドワーフの地下王国だ!

そう思っていたのは自分だけではなく、アルティとカルノスそれにブリギッドも辺りをキョロキョロ見渡しながら移動している。

地下の王国は天然の洞窟を利用しているのか、至る所に鍾乳石が見えた。しかし、その広さはエヴァン村に匹敵する程だった。

多分、大幅に拡張されているのだろう……その証拠に、洞窟の天井を支える様に伸びる巨大な柱が無数にそびえ立っていた。そしてその下の空間には家々が立ち並び街を作っている。

中には天井にまで繋がったマンションの様な大きな建物や、豊富な地下水を利用した滝に水路もあり、その脇では今でも大きな水車がいくつも動いている。

更に、通路は石畳と石階段で整備されていて、荘厳な雰囲気を漂わせていた。

本来なら暗闇の地下でそんな街並みを目にするのは難しいはずなのだが、それを可能にしているのが、王国中にそびえ立つ柱だ。

なんとその柱から、淡い光が放たれているのだ。そのお陰で自分達にも地下空間を見渡せるのだった。

隠し通路ならともかく、もしこんな街中で明かりを使っていたら、すぐに敵に見つかってしまう所だ。

ディアドラ曰く

「あの柱には星の石と月光石が大量に使われているのさ。本来は地上と変わらない位には明るかったんだけどね……」


それでも柱の発する光のお陰で明かりが無くても周辺を視認できるのはありがたかった。


そして、色々と物珍しさにじっくり観察したい気持ちを抑えながら、王国の街中をキュアン達の後に続いて移動して目的の動力室近くまで辿り着いた。

しかし、その手前の広場には五〇体ほどの敵がたむろしているのが見えた。

「うわぁ~……あそこを突破するの?」

カルノスがキュアンに尋ねると

「それでも構わんが、ここで騒ぎになるのはマズい。回り道をするぞ」

「あそこは何の建物なんだ?」

「あそこは、あたしが管理していた魔法の研究施設さ。何をやってるのか知らないけど、奴らには宝の持ち腐れだよ!」

ディアドラが悔しさを滲ませた強い口調で教えてくれた。

目的の倉庫はここを突破せずとも、大きく迂回して辿り着けるという事で、ここの敵はスルーして先に向かう事になった。


それから暫く歩き到着した目的の倉庫も不要品の廃棄場所だった。

内部を見渡すと最近持ち込まれた様な廃棄物もあったので現在も廃棄場所として使われているみたいだった。

その為、何時敵がやって来るか分からないのでここでもたもたしている訳にはいかなかったのだが、隠し通路の入り口を廃棄物が塞いでいてそれを撤去する時間が必要だった。

なるべく音を立てずに、静かに一つ一つ移動させる……


ただ単に物を移動させているだけなのに嫌な緊張感がある。


「これ、もし落としたらどうなるかな……」

「……レンヤ兄、止めてよ! なんか目が血走ってるけど……」

「アンデッドの時みたいにはいかないからね。ここの敵達は、力は大した事ないけど知能がアンデッドとは桁違いだから統率がとられ連携してくるから」

自分のおバカな発言にアルティとカルノスが真顔で答えて来た。


あれ? ココに入る前は自分なら楽勝だって言ってなかったか? 二人とも……


と心の中で疑問に思っていると、その話を聞いていたギルは満更でも無かった様で

「はっはっはっ、なかなか威勢がいいの。もし奴らに見つかった時は儂とレンヤで大暴れして引き付けるとするか?」

「いいね、その話乗った!」

となんか話しがヤバい方向に進んだ様だけど勢いで答えてしまった。

「それなら俺も付いて行くぞ」

キュアンが楽しい事なら俺も混ぜろという軽い感じで言ってきたが、本気なのか冗談なのかよく分からない。

基本ドワーフ族は強気であり豪胆だった。だからそう言う場面になったら本当に飛び出し行きそうだと思った。


そんな馬鹿話をしながら作業をしていると、見張りに立っていたブリギッドが近づく敵を見つけた。

「何かが近づいてきます!」

一斉に作業の手を止めて警戒態勢を取る。

「……」

「一体だけみたいだけど、まっすぐこっちに向かってる……手に壊れた梯子の様なモノを持ってるからゴミを捨てに来たのかも」

アルティの報告にみんなが物陰に身を潜める。

自分は入り口の扉の脇に移動して身を屈め柄に手をかけて息を潜める。


それから暫くして、何やらブツブツと呟きながら一体のゴブリンが何も知らずに扉を開け倉庫に足を踏み入れた。

次の瞬間! 

ゴブリンの頭をアルティの矢が貫き、崩れ落ちそうになるゴブリンの身体と持っていたゴミを自分が素早く室内の脇に引っ張り込んだ。

なかなかの連係プレーだったと心の中で自画自賛する。

それにしてもアルティの腕前にはいつもながら拍手を送りたくなる。

お陰で素早く物音一つ立てずに処理できた。


間近で初めて見たゴブリンは、想像どおりの姿だった。


「映画やゲームのまんまだな……餓鬼とは別モノらしいけど……今度ゆっくり観察してみるかな」

初めての生ゴブリンを見ながらそんな事を呟く。

身なりも想像のままで、お粗末ながら防具を身に付け腰に剣、背中に弓を持っていた。

まぁ、一体一体は大した事なくても弓で遠距離から大量の矢を射られては圧倒的に不利になるだろうと思ったが、今は作業を急ぐ事が最優先だ。


一通りゴミを除けて、隠し通路の扉を開けた。

『ゴゴゴッ』と少し大きめな音を立てて扉は開いた。

その音に慌てて辺りを警戒するが敵が来る様子はなかった。そしてゴブリンの死体をゴミの下に隠して全員が通路に入り再び扉を閉じ奥へと進んだ。

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