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初の大規模クエスト・前編。

そんなこんなで三日後、準備を整えて自分達は教会に集合した。

自分は結局、興味もあり七〇〇〇リオンの高級治癒ポーションを買い足した。備えあれば患いなしって事で、思いのほか出費がかさんだと思っていたが、どうやら今回は思わぬ報酬が出る様だ。

この作戦が、冒険者ギルドを通して通商ギルドの協力の下、正式クエストとして二四〇万リオンの報酬が付いた……これにはみんな驚いたが、通商ギルドとしてはこの村との交易路を復活させたい思いがある様だった。

と言うのも、戦乱の影響でこの村の希少薬草などの特産品の需要が高まっているという事らしい。

それともう一つ。どうもキャラバンが一度この村に向かった様なのだが、途中で全滅したらしく、その時の積み荷と遺品回収もクエストに含まれていた……


「つまり、予定よりも大規模討伐になったって事か?」

不安気に聞いた自分に対して、アルティは何時に無く真剣な表情で頷いて返した。


当初は、はぐれアンデッドを倒して数を減らせれば良いかな程度だったのが、本格的なアンデッド討伐クエストになってしまったのだ。


ただし、報酬が大きい事もあって参加冒険者は多かった。


自分達三人にレミィ、そして元衛士のエリアにその仲間のセルス、オイフェン、リデル。この三人はエリアと一緒にいる所を酒場でよく見かける。それと先日、この村まで逃げてきた若い神父のコプール、ギル鍛冶店で働いているデミュールとドワーフ族のファバル、それに狩人のレスターの計一二人だ。


他にも希望者が居たらしいが、コプールの襲われた場所まで約三日、丁度街道の中間地点付近だが、近づいて来ているとしたら、自分達が居ない間の村の警護も必要になるという事でこのメンバーになった様だ。


「往復一週間は掛かるから鍛冶職人が居てくれるのはありがたいね」

「ちょっと危険度が増したけど、このメンバーなら大丈夫だと思う。レン兄もその装備なら慌てなければスケルトンなんて余裕だから、慣れるまでは無茶しない事!」

「了解した」


ココに来て一番緊張しているのを感じるけど、不思議な事に恐怖心はないかな……まだゲーム感覚でアンデッドを舐めているのか、今までの経験で自信が付いたからなのか、自分でも理由は分からないけど、やれる気がする。


三人一組の四編成で、先行偵察&攻撃が自分とアルティとカルノスで、攻撃パーティーがレミィにエリア、ファバル組とオイフェン、リデル、コプール組の二つ。最後にレスター、セルス、デミュールの後方支援パーティーでクエスト開始だ。


村の東側の農地を抜けて森の中の街道を進む。

「そう言えば、こっちの森に来たのは初めてだな」

「あれ? そうだっけ?」

「あぁー、言われて見れば……こっち側には貴重な採取物が少ないからね。僕達の活動範囲に入ってないね」

「そうなんだ」

「貴重なアイテムは何故か北と南に多いんだ」

「そう考えると、レンヤ兄ってまだまだ森の中も行った所なんて本当に一部だね」

「確かに……このクエストが終わったら、もっと奥に行ってみる?」

「あぁ行ってみたいな! なんなら大森林を制覇するのもイイかもしれん!」

「いや、それだと何か月も掛かる本格的な冒険になるよ、レンヤ兄」

「はっはっはっ。まぁ、そこまでじゃなくても今回と同じ往復一週間くらいで良いんじゃないかな」

「そうか?」

「うん、それだけでも十分見応えのある場所には行けるし、レン兄の本格的な冒険をする為の訓練には丁度良いと思うよ」

「なら、それでお願いします!」

そんな会話をしながら進むほど心地の良い森の街道だった。

木漏れ日が適度に差すし、川のせせらぎの音を少しヒンヤリとした風が運んでくる。まるで森林浴の散歩に来た様な感覚に陥ってしまう。

それでも自分達は先行偵察の任があるので周辺には気を配るが、その役は主にアルティに任せている。一応、色々教わってはいるのだけどまだまだ気配を察知する事は二人には遠く及ばない。


更に今回は、カルノスが魔法召喚で呼び出したトンボの様な精霊で数キロ範囲を探索しているので、敵が発見されるまで自分の出番はなさそうだ。


という訳で、村を出たのが朝で既に夕方に刺しかかろうかと言う時間帯になり、最初のアンデッドと遭遇した。

スケルトン三体で生前の武器だろうか槍と剣で武装している。

これはカルノスの精霊が発見したので向こうはまだ気付いていない。

「この付近にはあの三体だけみたいだ」

カルノスが他の精霊で周囲を探り報告してきた。

「随分、村の近くまで来ているな……今日は遭遇しないかと思っていたけど……」

「そうだね……早めに作戦を実行しておいて良かったよ……この付近には村の人達も木の実摂りでたまに来るからね。カル、後ろには連絡した?」

「したよ。取り敢えずあの三体は俺たちで倒そうぜ。レンヤ兄の練習にも丁度良さそうだし」

「えっ⁉ 一人で?」

「大丈夫だよ。いつもの感覚を忘れなければ!」

そう言ってカルノスは親指を立てる。

「じゃ、僕は支援するよ」

そう言ってアルティは弓を構えた。カルノスもいつでも魔法で支援するぜとウインクしてみせる。

いきなりの戦闘開始である。

初の人型との対戦か……しかも武器持ち……緊張するな。

そんな事を考えながら、自分は愛刀村正を抜いて、身を屈めて少し離れた位置にいるスケルトンの方へと近寄っていく。

そして、ある程度距離を詰めた所で体を起こし全力でスケルトンの右側に走り込んだ。これで三体が自分の位置からは一直線に並んだ形になる。

その瞬間、アルティが奥のスケルトンを射抜いて注意がそちらに逸れた。

相変わらず絶妙のタイミングだな。

と感心しながらも突進する。

スケルトンがコチラに気付き剣を振りかぶったが

『遅い!』

と心の中で呟きながら、剣を振り下ろそうとする脇を右にすり抜けざまに横薙ぎ一閃し、そのまま後ろのスケルトンとの距離を詰める。そして突き出された槍を上段から切り落とし二歩踏み込んで、胴目がけて切り上げる。

その直後、後ろから剣が地面に落ちる音がして、次に目の前のスケルトンが灰になり崩れる様にして消えた。

更にその後ろにいたはずのスケルトンは、アルティの聖属性矢にやられたのだろう、地面に灰だけがあった。

「「おおおー」」

「レンヤ兄、凄いじゃん」

「全然問題なさそうだね」

二人は嬉しそうに声をかけてきた……自分も『ハァ~』と大きく息を吐きながら二人に見えない様に小さくガッツポーズをして、二人に笑顔を返す。

「何とか行けそうだ。打ち合ってないから力は分からないけど、スピードは問題ないかな」

「良かった。これならガンガン倒して行けそうだね。さぁ次を探すよ」

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