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糸井久信(イトリン)  ~絶望老人が異世界転生をしたら、外伝~  作者: 賭博士郎C賢厳
*勇者ポグルスの章
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*勇者ポグルスの孤独② OU


 ある異世界のある大陸の北側にある森の奥の方で、ある全裸の男性が一人で過ごしている。


 その異世界とは、ヴァグドーや勇者アドーレたちが居た世界とは違い、またはイトリンたちが居た世界とも違い、それと勇者マイカや勇者マトオたちが居た世界とも違う全く別の異世界である。


 その森の奥の方にいる一人の全裸の男性とは、この度転生したばかりの男である。


 彼は前世でも恵まれた人生ではなかったみたいだ。 常に理不尽や不平などに(さら)されていて、闘病の果ての最期までいい人生ではなかったようだ。 そこに女神が彼を異世界へ転生させてくれた。 その異世界のある大陸の一番北側にある森の中の奥の方に、一人の男性が何もない全裸で甦ったのだ。


 甦ったはいいけど、その男性が全裸の状態で、下着も衣服も武器も防具も何もなく、まさに裸一貫なのだ。 勿論、両親も兄弟も誰もいない一人だけでだ。 それにここは森の中の奥深い場所であり、街や村や草原などとは違い、たった一人で、しかも全裸で森の中の奥深い場所で生き残れる訳がない。


 当然ながら、()()()()()()()、あんなヤバイ化物じみた人間(ヴァグドー)普通の人間(かれ)を一緒にしてはいけない。 彼は本当にただの普通のか弱い人間なのだ。



 そんな彼には名前がない。



 前世の記憶も曖昧で、一種の記憶喪失なのか、自分の名前も思い出せないでいる。 そんな彼が一体どうやって、この森の中の奥深い場所で生き延びてきたのか、()()()思い出させて・あ・げ・る★



 これは料理人として、中華料理の腕をあげてる主人公イトリンとは、また別の人生を歩む、もう一人の裸の男の物語である。



 まずは下着や衣服などがないので、テキトーな小さい葉っぱで股間部だけを隠す。 次に枯れ木の枝や乾燥した葉っぱなどを集めて、先日見つけた洞窟の中に置いて、()()()火をつける。 火は指先から小さい火が出る。 その火で集めた枝や葉っぱに点火して焚き火する。 何故、指先から火が出るのか知らない。 何故だか念じたら、勝手に指先から火が出たのだ。


 これで暖をとって、寒さをしのぐ。


 とはいえ、やっぱり服は必要だ。 動物の毛皮でも手に入ればいいけど、生憎と良い毛皮の動物がいない。 今のところは葉っぱで股間部を隠すしかない。


 それと食べ物と水はまだ確保していない。 おそらく一週間くらいで、すぐに餓死するだろう。 だが、それでも食べられそうな動物や植物が見つからない。




 俺が縄張りの洞窟から少し離れて、水と食料の捜索範囲を広げる。 さらに森の奥の方に行くと、なんと緑色の巨大なドラゴンが何体もいた。 そのドラゴンを見てドラゴンと目が合うと、俺が少し何かを思い出す。


 ようやく、この森の事や自分の事を思い出す。


 この森が "森眠のドラゴンの棲み家の森" という所であり、あのドラゴンは "巨緑龍" と言う名前の龍であり、俺が "ポグルス" と言う名前の男だったのだ。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 何故なら、()()()()()、とてもじゃないけど戦闘できる状況ではないからだ。


 この武器も防具も衣服も下着すらない全裸の状態で、どうやってドラゴンとマトモに戦える?


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