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ナマポランドフクシマ  作者: にーとしのしの
9/14

第9話 侵入者

「なんで俺ばっかり……」

  

 今日で調査本番まであと3日。

 ナマポ受給者たちは各々でナマポスキルの習得と研鑽に努めていた。

 

「パウダーウイルス!」

「割れの流儀 壱の型 サンシャイン落とし!」 


 みんなは覚えたナマポスキルに名前を付け、ひたすら繰り出す練習をしている。

 叫ぶ声が聞こえる度に、まるで花火大会でもやっているかのような地鳴りが演習場に響き渡る。


 一見、スキル名を叫ぶことは無駄なように思える。

 しかし、椎名の話によると、習得するにはイメージが大切で、叫びながら繰り出すことがその手助けになるそうだ。

 椎名クラスの上級者になると要らないらしいけどね。うん。


「ずいえきさん、いきます!」


 その声を合図に俺は身構える。

 

「ダッチャワイフ!」


 めめこの背後に半透明の巨人が守護霊のように現れる。

 これがめめこのナマポスキル『ハニワメイド乞食』。

 ダッチャワイフと名付けられた、その守護霊のようなものを自在に操ることができるスキルだ。


「今日こそ捉えるっちゃん」


 スッーと近づき襲ってくるダッチャワイフを俺は華麗にかわす。


「そんなノロマじゃ、俺にはかすりもしないねぇ。まだまだなんじゃいのぉ~」

「私が成長してないと思うと!」


 すると、ダッチャワイフのメイド服の袖から包丁が俺に向かって飛び出してきた。

 予想外の攻撃に反応が遅れ、俺はバランスを崩す。


「あぶねぇじゃねぇか、おい!」

「隙あり!」


 まずい……避けきれない。

 ダッチャワイフが俺の身体を通過する。


「吸い取れ! ダッチャワイフ!!」


 うぅ……聞いてはいたが、これがダッチャワイフの能力か。

 接触したものから、エネルギーとなる体内放射能を吸収(こじき)し奪い取る。

 俺から放出された放射能がハニワのような口から吸収されていく。

 

「めめこ君もーなかなかやるね。うん。一本取られたよ」

「いやー、初見やけん通用しただけっちゃん」

 

 めめこは申し訳なさそうに謙遜したが、内心では4ねよこの放射能きmロン毛DTナマポ野郎とか思ってるんだろうな許せねぇよ!


「ずいえきさん? どうかしました」


 めめこが心配そうに顔を覗き込んでくる。

 この女よく見るとぶっさいくな顔してるなー、目ほっそ。

 

「ちょっと疲れただけだよ。うん」

 

 放射能を吸い取られたせいか、自家発電を終えた直後のような倦怠感がある。

 手術を受けた覚醒人間が超人的な運動能力やナマポスキルを行使する時には、体内に蓄積された放射能を消費する。

 つまり、体内の放射能が少なくなれば能力を十分発揮することができない。

 0になると生命活動すら維持できなくなるらしい。

 俺たちにとって放射能は車のガソリンみたいなものかな。うん。

 

「次は僕の練習に付き合ってください。だいぶ安定して粉が吹けるようになってきたんですよー」

「えー! あーしが次やりたかったのに。あきのりはあーしの後にして」


 あきのりとめめこがどっちが先に俺を練習相手に使うかで争っている。

 勘弁してくれ。人使いが荒らすぎだ流石に。こりゃないよ。


「うーん。また今度に……!?」

 

 ブーブーブーブー!!

 突然、建物内に警報が鳴りだした。


「えー、こちら椎名だ。何者かの施設内への侵入を許した。発見し次第に通報と戦闘を行い撃退しろ!」

 

 侵入者だと……泥棒か!

 こんな化け物しかいない施設によく侵入しようと思ったな。うん。

 俺がぶっ倒してやる。


「捕まえに行くとー?」

「みんなで行くかね。愛子くんと豚饅頭はどこ行ったの?」

「たしか向こうの方に二人でいたよ」

「呼んでこようかね」


 

次回、第10話「最強の男アンドリウス」

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