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ナマポランドフクシマ  作者: にーとしのしの
10/14

第10話 最強の男アンドリウス

 俺は隊のみんなを集めて侵入者の探索を始めた。

 ここで功績を上げれば、俺ら二番隊の評価が上がるだろう。

 隊長として結果は出しときたいね。うん。


「なにか音が聞こえますわ」


 愛子が立ち止まり壁に耳をつけている。

 

「近づいて来てますわよ」


 ドスドス…………ドスドス……ドスドス!ドスドス!!

  

「近い! どんどん近づいて来てるぞ!」

 

 まるで象でも走っているかのような轟音が響いてきた。

 

「伏せてください~!」

 

 甲高い声に促され俺は地面に伏せた。

 豚饅頭がナマポスキル『超音波』で感知したのだろう。

 シュッ!シュッ! 

 俺の上を何かが風切り音を立てて通過していった。

 伏せていなければ俺はともかくみんなは危なかったな。


「あぶねぇなぁ! おい! そこに居るんだろ出て来いよ!」

 

 更に大きくなる轟音。

 どうやら通路の先から近づいて来ているようだ。


「今のをかわすとはなかなかやるな」

 

 暗闇から轟音を鳴らす足音とともに巨漢の男が現れた。

 迷彩柄の戦闘服に身を包んだ2mはあろうかという巨体で、腰に無数のナイフ、背中には大剣を携えている。

 顔は狐の面をしているが、その隙間からは鋭い眼光がこちらを覗く。


「俺の名はアンドリウス、世界最強の男だ」


 その男は俺たちの前に立ち止まり名を名乗った。

 戦わなくても分かる。こいつ間違いなく強いな。うん。


「お前! お、俺らと戦うのか? 6人いるから勝てないと思うよ。うん。やめた方がいいんじゃないの~?」

「んあっ、やってみなきゃ分からないね」


 アンドリウスと名乗る男はそう言うと同時に腰のナイフを投げてきた。

 真っすぐ飛んでくるナイフなんて防ぐのは容易いね。

 カンッ!カンッ!

 装備していたトンファーでナイフを弾く。


「んあっ、敵から目は離しちゃいけないよ」


 やつが消えた!どこだ!

 

「みんな上!」

 

 なみの声で上を見上げる。

 そこには大剣を振りかぶったアンドリウスがいた。

 

「ごま油スプラッシュ!」


 なみがごま油を勢いよく噴出させ迎え撃つ。

 アンドリウスはそれを大剣の側面でガードした。

 まずい! ごま油のしぶきを上げながら大剣が俺を襲う。

 ガツンと音が鳴り、トンファーから衝撃が俺の腕に伝わる。


「こいつの攻撃重すぎんだろ!」

 

 俺は潰されるのを防ぐため、相手の力も利用して後方へ回避した。

 こいつのパワー俺と互角もしくは格上。

 

「今の攻撃を防ぐとは、んあっ驚いたな。……そうか君がずいえきだな」

「なんで俺の名前を知ってんだ!」

「んあっ、どうだったかな。それよりどこからでもかかってきな、君達の実力測らせてもらうよ」


 こいつ一体何者なんだよ。

 ただの侵入者ではないみたいだ。うん。

 まぁ、かかってこいって言ってんだから全力で倒してやる。


「私とめめこさんで隙を作りますわ! ずいえきさんとなみさんはそれから攻撃を! あきのりさんのスキルはここでは危険すぎる。待機をお願いしますわ!」


 愛子がみんなに指示を出した。

 女の分際で男に指示するなんて許さんぞ。

 なんで俺が女の指示を受けないといけないんだ。

 勝手にやらせてもらうぞ。

 

 男なら真正面から全力で!手加減はしない!

 しゃがみ込み全身のエネルギーをつま先に集める。

 一瞬の踏み込みで敵の懐に入り込む!


「ずい! 勝手な行動するな!」


 なみの引き留める声が聞こえたが、俺は女の指示は聞かん。

 俺のスピードは受給者のなかでもずば抜けている。

 かわすのは人間の認識速度では不可能。

 

「なっ……」

 

 俺が飛び跳ねると同時に後ろに跳んだ!?

 ありえない。読まれたのか。初見で?

 だが遅い。次の踏み込みで届く!

 右ストレートと見せかけての……ノーモーションの左ジャブ。

 マンガ村で読んだ格闘漫画で学んだ技だ!

 

「んあっ、それで満足か……?」

「なに……」


 俺の左ジャブは完璧にいなされ、ゴリラのような分厚い手で手首をガッシリと掴まれていた。

 馬鹿な……。避けられる距離ではなかった。

 こいつに未来を読むナマポスキルでもあるとしか……。


「ぐはっ……」

 

 視界が急に回ったと思ったら背中に車にぶつかられたかのような衝撃。


「ず、ずいえきさん!」


 みんなの声が聞こえる……。

 痛みで意識がなくなりそうだ。うん。

 く……立とうとしても辺りが二重に見えて駄目だ。

 

「んあっ、そこで寝て見ていろ」

 

 アンドリウスはみんなに向かって攻撃を始めた。

 実力差は明らかだった。

 攻撃はかわされ一人ずつ大剣で吹き飛ばされていく。


「強すぎる……」 

「痛いっちゃ……」


 ドスドス……ドスドス……。

 全員を倒し終えたアンドリウスが戻ってきた。


 脳震盪は治まった。

 けど恐ろしい……。

 こいつには勝てる気がしない……。


「んあっ、久保田先生が集めた人材だ。素質は悪くない。6人一斉にだったら危なかったかもな」

 

 久保田先生?大臣の知り合いかなのか。


「なぜお前たちは負けた?」

「……俺がナマポスキルを使えないから」

 

 そう俺にはナマポスキルが使えない。

 倒れた日に精密検査を受けたところ、使えない体質だと宣告された。


「関係ないだろ! んあっ、お前はなぜ仲間の指示を無視した? なぜ連携を取らなかった?」

「いや、だって脳が小さい女の命令聞きたくないじゃん」

「んあっ、そのせいで仲間が傷ついたんだぞ!?」

「女の脳が小さいっていうのは科学的に証明されているからね。うん」


 アンドリウスは俺の胸ぐらを掴み片手で吊り上げてきた。

 抵抗するもダメージのせいか力が入らない。

 こりゃないよ……。

 こいつの目的は何なんだ……。俺死ぬのか……。


「そこまでよ! アン、らしくないわね。こんなに熱くなるなんて」

「んあっ、こみみか。久しいな」

「その名前で呼ぶのはやめて頂戴」

「お前も変わらんな。んあっ、こいつらの治療を頼む。少々やりすぎた」

 

 椎名の声だ。

 どうやら助かったらしい。

 

次回、第11話「ライバル」

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