散歩の四十八話 急いで復旧作業
「それじゃあ、行ってくる」
「行ってくるね!」
「二人とも、道中は気をつけてね」
ギルドに報告に行くシロともう一人を見送った僕達は、早速作業の続きを再開する。
僕はスーとアオともう一人の治癒師で村人の治療を行い、他のメンバーで柵の修繕を続ける。
「済まないけど、子どもが風邪を引いてしまったので診てくれませんか?」
「まあ、それは大変ですね。直ぐに治療します」
今は使われていない村の教会を臨時の治療所にして、一気に村人たちを治療する。
村人も普段は治療を受けられないのか、ほぼ全員が集まってきている。
とは言っても小規模の村なので、百人いるかいないかだ。
三時間もあれば、ほぼ全員の治療を終える事が出来た。
「怪我人以外の治療もしてもらい、大変助かりました」
「いえいえ、ついでですので。しかし、この村にある家の数に比べて人の数が少ないですね」
「冬の間は働ける男は辺境伯領の街に出稼ぎにいきます。そのために、ちょうど男手が不足している時期でもありました」
村人の治療後、僕は引き続き村長さんから話を聞くことにしている。
スーなどは、柵の修繕に合流していった。
男手が足りない時にゴブリンの襲撃を受けるなんて、本当にタイミングが悪かったな。
「正直な話、あと一日皆さんが来るのが遅ければ、我々は全滅する可能性もありました」
「そうならずに済んで、本当に良かったです。僕達は調査の間はこの村におりますので、何かあったら直ぐに対応します」
ギルドも、まさか村の状況がここまで悪いとは思っていなかったのだろう。
僕達が村に来るタイミングが、本当にギリギリのタイミングだったんだ。
「本当にタイミングが良かったという感じだな」
「村に着いたら村人が全滅ってなってなくて良かったですよ」
村長の許可を得たので、木の柵の下半分に土塁を作ることにした。
アオと一緒に土魔法を使えばあっという間に出来るので、柵の修繕と並行で進めていく。
土塁は僕の腰くらいの高さだけど硬さは中々のものだから、ゴブリンロード位の魔法ならびくともしないはずだ。
「本当なら堀も作りたいけど、排水の事とかもあるから今はできないな」
「それはしょうがないだろう。堀とかは、本職の人にやって貰おう」
仮とはいえ、最初に村に来たときと比較しても守備力は上がったはずだ。
修繕した柵を村人が見に来たので、使い勝手を見てもらっている。
幸いにして木材の予備があるらしく、治療を終えた村人を中心として更に柵を直すという。
「おー、何だかパワーアップしているよ!」
夕方になり、ギルドに仮報告に行ったシロともう一人が戻ってきた。
何だか、大軍を引き連れてきているぞ。