散歩の四十九話 強力な援軍の到着
「まさか、ギルドマスターまでくるとは思ってもいませんでしたよ」
「ギルドマスターとしての立場もあるが、どちらかというと領主夫人としての立場が大きいな」
「領主夫人としてですか?」
「ああ。何せ我が辺境伯領の村がゴブリンに襲われて、怪我人が多数出た上に畑も荒らされているのだ。ギルドだけの問題にはさせられないよ」
シロ達は、兵を引き連れたギルドマスターと共にやってきた。
村長の手紙と僕の手紙を見て、事態は急を要すると判断されたらしいな。
兵は早速村の護衛につき、ギルドマスターは僕達と共に村長の家に向かった。
村長は僕達と一緒にやってきたギルドマスター兼領主夫人を見て、とてもビックリしていた。
村長の奥さんは冷静にお茶を出してくれたけど。
「まず、領主夫人として村人に謝罪をしなければならない。村を存亡の危機に晒した事をお詫びする」
「頭を上げてください。ここにいる冒険者によって、村は救われましたから」
村長は、いきなり領主夫人が頭を下げたので恐縮してしまった様だ。
慌てて頭を上げるように言っている。
「正直な話、シロがギルドに駆け込んできて持っていた書類を見たときに、私もかなりビックリしていた」
「本当に急な事でしたので。元々のゴブリンの発生数とは明らかに違いましたから」
「現に我々も村に来るまでの間に十匹以上のゴブリンを討伐した。今日だけで二十匹以上現れるのは、明らかにおかしいと判断できます」
本当に急なゴブリンの増加だったんだ。
それに、ここに来るときにゴブリンを倒していたとは。
「幸いにしてゴブリンは夜間は行動しない。明日きっちりと巣を確認しないとならない」
「勿論僕達も手伝います。万が一に備えて、柵の修繕をしていただければ」
「勿論村人総出で行います。兵もいますので、安心して作業ができます」
明日の方針はこれで確定し、僕達は本来の目的であった調査を行うことにした。
そして、僕達はテントで寝ることを想定していたが、使っていない教会の施設を借りられる事になった。
そこそこの広さもあるので、一緒に来た兵もここを拠点として交代で休憩をするという。
「そして、僕が全員の食事を用意する事になるとは……」
「連れてきた兵も私も料理が出来なくてな。食料は十分に持ってきたぞ」
「出来れば、調理担当の兵も連れてきてくれると有り難かったのですが……」
台所もあったので、アオと一緒に晩ご飯の準備をする。
流石に量が多かったので、野菜や肉を切る所は他の人に手伝って貰った。
そして、何人かは楽しみにしていた肉を焼くのをしている。
因みに寒いので、野菜と豆がたっぷりのスープをメインに紅茶も出します。
この紅茶は、以前倉庫整理で偽物を摘発した際にお礼として貰った物で結構良いものらしい。
お肉も沢山あったので、挽き肉にして小さなハンバーグを野菜と共に出して、今日の晩ご飯のメニューは完成。
「うーん、シュンお兄ちゃんの料理は美味しいよ!」
「なんだこの肉料理は。柔らかいのに、肉の味が凄いぞ」
「スープもいい味だ。野菜も豆も取れるのか」
「正直、宿舎の食事よりも美味しいぞ」
ありあわせで急いで作ったけど、皆さん満足して貰っている。
領主夫人でもあるギルドマスターも、美味しいとおかわりもしてくれた。
「シュン、この柔らかい肉料理は何だ?」
「ハンバーグですよ。挽き肉を使った簡単な料理で、子どもでも食べられる料理です」
「お年寄りも食べられるし、この料理は良いな。是非広めてみたいぞ」
「家庭でも簡単な料理ですので、それは構いません。後は、作る料理人の腕次第です」
「なるほど、簡単な分料理人の腕が試される料理か。早速屋敷の料理人に試させよう」
ギルドマスターはハンバーグがとても気に入った様で、屋敷に帰ったら試してみるという。
美味しいものは、どの世界でも通用するな。
因みに初めての焼き肉の方は焦げてしまったので、アオが吸収する事になっていた。




