散歩の千百六十三話 演技をしながら教会に入ります
その後も、数回ならず者による襲撃があったのですが、うちの馬とアオによって防がれました。
そして、全てゲス枢機卿一派だったのです。
もう、王妃様もザンギエフ様もガチ切れ寸前です。
でも、何とかして騒動だけは避けたいです。
あっ、そうだ。
「王妃様、スー、こういうやり方はどうですか?」
「うむ、中々面白いのう。許可するぞ」
「ええ、いいアクセントになりますわね」
偉い方二人にも許可をもらい、アオ経由でザンギエフ様にも許可をもらいました。
ということで、町の教会の脇に馬車を停めて、僕たちは教会の中に入ります。
「ヘーゼルランド王国王妃ビクトリア様、並びに王女スーザン様が入場されます」
シュイン、ぴかー!
「「「「「ウガガガガア!」」」」」
実は、ザンギエフ様が王妃様とスーの名を呼んで入場した際に、後光がさす様に光魔法を使いました。
こっそりと生活魔法と状態異常回復魔法を使ったのだけど、いきなり目の前にいた五人ほどが苦しそうな表情をしています。
筋肉ムキムキになりかけていたから、僕たちが教会に入ったタイミングで例の魔獣化の薬を飲んだのですね。
「おや、どうされたか? スー、治療をするのじゃ。何か毒のようなものかもしれぬ。状態異常回復魔法も使うのじゃ」
「お義母様、直ぐに治療いたします」
「「「「「手伝います!」」」」」
そして、人助けという形で更に回復魔法と状態異常回復魔法を使います。
というか、司祭まで倒れているんですけど……
シュイン、ぴかー!
「「「「「うぐぐぐぐ……」」」」」
大勢での回復魔法付きの状態異常回復魔法なので、五人は老人みたいになりながらも何とか命を取り留めました。
そして、王妃様は慌てた演技をしながら他の人たちに話しかけます。
「これは、王国でもあった魔獣化の薬を飲んだものの症状に似ておるぞ。何かあったのか?」
「い、いえ、その、えーっと……」
他の聖職者は、完全にしどろもどろですね。
僕たちが善意で色々と動いていると思っているので、対応し難いのでしょう。
ここで、アオが司祭っぽい人の胸から錠剤を取り出しました。
直ぐ様、僕が鑑定します。
シュイン、もわーん。
「王妃様、効力は失っておりますが間違いなく魔獣化の薬でございます」
「うむ、ご苦労。しかし、何故司祭と思われるものから魔獣化の薬が出てきたのじゃろうか。不思議でならぬのう」
「その、その……」
王妃様、一瞬ニヤリとしてから不思議そうに話していますね。
何だか、演技をするのがとても楽しそうですよ。




