散歩の千百四十五話 接待手合わせ
翌日、一日聖教皇国に行く準備に充てるためにフリーとなります。
でも、僕とアオはアイテムボックスを持っているし、マジックバッグも複数あります。
なので、荷物をポイポイと収納すれば完了です。
そして、準備が整ったところで何故か手合わせをすることになりました。
ブオン、ブオン!
「ははは、やはりシュン殿は強い! 強いぞ!」
僕は、何故かザンギエフ様の相手をしています。
しかも、真剣で。
何というか、パワーは凄いし技術も凄いから本当に大変です。
嬉々として真剣を振るザンギエフ様は、とても楽しそうですね。
こうして、ある意味接待手合わせは何とか終えました。
ところが、接待手合わせはまだ終わらなかったのです。
「では、次は妾の相手をしてもらうぞ」
「えっ?」
僕は、一瞬何のことだか分かりませんでした。
しかし、王妃様が真剣を手にしてニコリと微笑んでいるのです。
うん、その微笑みから殺気が垂れ流れているのは、きっと気の所為だと思いたいです。
シュッ、シュッ、ガキンガキン!
「うむ、これを受けるとはのう。では、これはどうじゃ?」
ヒュン、ヒュン、ヒュン!
王妃様の剣は、早い上にとても重かった。
下手に受け止めると剣を弾き飛ばされるので、上手く受け流さないといけない。
流石はエミリア様の母親だと、改めて実感した。
「はあはあはあ……」
「やはり、シュンは中々やるのう」
僕との手合わせに、王妃様はとても満足そうにしていました。
いやいや、正直なところ僕は死ぬかもと思ったんですけど……
これで接待手合わせは終わったのかと思ったのですが、まさかのおかわりが待っていました。
チャキン。
「最後に、私と相手をしてもらいましょう。ふふふ、お母様の手合わせを見て、何か燃えるものがありますわ」
エミリア様、お願いだから剣を手にして妖艶な笑みを浮かべないで下さい。
僕にとっては、悪魔の笑みにしか思えないですよ。
そして、手合わせを拒否するのは不可能です。
こうして、僕は達人との手合わせ三連発をすることになってしまったのでした。
「嗚呼、生きているって素晴らしい……」
「シュンさん、お疲れ様です。でも、やっぱり凄かったですよ」
エミリア様との手合わせを終えてヘロヘロな僕のところに、スーがタオルと飲み物を持ってきてくれました。
達人を相手にすると、体力よりも精神的に疲れました。
あの、遠慮なく放たれる殺気はとんでもないですよ。
そして、僕の汗をタオルで拭うスーを見て一言。
「何というか、もはや夫婦じゃのう」
「えー、そうかな? もう、いつものことだよ」
ニヤニヤとしている王妃様に、シロがツッコミを入れていました。
そんな義母の話が聞こえなかったのか、スーはニコリとしながら僕の汗を拭いていたのでした。




