散歩の千百四十四話 軍が王都に向けて出発です
翌朝、僕たちは早めに起きて軍を見送るための準備をします。
訓練も軽めにしていたのだけど、僕は何故かザンギエフ様の相手をすることになりました。
見た目に違わず、とんでもないパワーです。
しかも、技術も凄いので僕は防ぐので精一杯でした。
良い方向に考えれば、ザンギエフ様の技術を盗む良い機会なのかもしれません。
「シュンは、その辺の聖騎士よりも遥かに強い。私も、もっと相手をしたいと思うぞ」
というか、僕は強者にロックオンされてしまったみたいです。
辺境伯様と先代様も引き続き相手をするぞと意気込んでいるので、僕は出発前まで無事な状態なのかなと不安に思っています。
「既に、シュンは私の強さを超えているだろう。王都に戻ったら、手合わせしたいものだな」
「ははは……」
屋敷を出発するトーリー様にまで、こんなことを言われてしまいました。
王都にいる間くらいは、ゆっくりしたいなと思ってしまいました。
「トーリーよ、道中頼むぞ」
「はっ、お任せ下さいませ」
そして、トーリー様は王妃様に敬礼して軍の施設に向かいました。
僕、シロ、アオも、周囲の警戒をするためについていきます。
他の面々もついていきたそうにしていたけど、安全のために屋敷にいてもらいます。
その代わりに、先代様がついてきてくれるそうです。
シュイン、もわーん。
「今のところ、周囲に危険はなさそうですね」
「アオも大丈夫だって」
「うむ、そうか。それは上々」
幸いにして、施設周辺には怪しい反応はありません。
念のために馬に頼んで街道付近も調べたけど、この分なら大丈夫みたいだ。
程なくして、トーリー様が護送用馬車を引き連れてやってきました。
どうやら、捕まった人神教の連中は連日の尋問ですっかり大人しくなったみたいですね。
「それでは、これより王都へ護送いたします」
「うむ、頼んだぞ」
トーリー様をはじめとする王国軍は、先代様にビシッと敬礼をしました。
そして、王都へ出発していきました。
うーん、何にも起きなくて拍子抜けですね。
「というか、これが普通だ。ゲス枢機卿一派は大口を叩いたが、既に辺境伯領で何かをするだけの力と人員がいないのだろう」
先代様も、小さくなっていく国軍を見ながら素直な感想を言っていました。
何にせよ、無事に出発できてホッとしました。
僕たちは、改めて屋敷に戻っていきました。
「ただいま帰ったぞ。他のものはどうした?」
「お帰りなさいませ。ケント様たちは、勉強をしております。他の人たちは、その、辺境伯様の執務室におります」
出迎えてくれたトリアさんが言い難そうにしていたが、王子様とエミリア様に監視されていては辺境伯様も逃げ出すのは不可能だ。
僕と先代様は、思わず顔を見合わせてから先に勉強部屋に向かいました。




