散歩の千百三十五話 居残り料理講習が決定した人が…
「菜箸は、優しく扱いましょう。フライパンの底をゴリゴリ削らないで下さい」
「塩は、少しだけで良いんだよ。いっぱい入れないで良いんだよ」
「何回も食材をひっくり返さないでも大丈夫です。大丈夫ですから!」
ようやく僕の受け持った冒険者への指導が終わり、阿鼻叫喚となっているトリアさんのグループに合流した。
トリアさんだけでなく、ホルンとジョディーさんも叫んでいますね。
しかも、どうやら冒険者はどうにかなったみたいだけど、冒険者ギルドの女性職員三人が全く料理ができなかった。
えーっと、この場合どうすればいいのだろうか。
「取り敢えず、冒険者の皆さんへの講習は終了です。あくまでも、今日は料理の基礎を説明しただけになります。煮たりするのもあるので、これからも料理にチャレンジしていきましょう」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
先に冒険者への講習を終了させ、僕はトリアさんたちが苦戦している三人の指導に入ります。
冒険者は、何とかできて良かったと安堵の表情を見せていました。
さて、問題の女性職員三人の力作はというと……
「かき混ぜ過ぎで、素材がボロボロ。塩の入れ過ぎで、病気になりそう。頻繁にひっくり返したので、中まで火が通っていない……」
「「「うぅ……どうせ料理のできないガサツな女なのよ……」」」
なんというか、久々に残念な料理となっていました。
女性職員は思わず崩れていたけど、改善点はハッキリとしています。
「食材は、均一に混ぜるようにしましょう。その際に、できるだけ食材を傷つけないように優しく混ぜるのがコツです。また、味付けは薄味で行います。食材の水分が飛んで、自然と味が濃くなります。ベーコンを焼く際は表面に脂が浮かび上がってくるなど、焼くポイントもあります。それを守れば、もっと料理が上手になりますよ」
「「「はい……」」」
改善点を話したのだけど、女性職員のやる気は完全に消失していた。
うーん、これは思ったよりも重症だぞ。
すると、この場に女性職員の上司がやってきました。
「はあ、こりゃひでーもんだな。暫く、お前たちの昼食は自分で作ったものを食べるでもいいな」
「「「えー!?」」」
ギルドマスターの一言に、女性職員三人は困惑の声をあげていました。
かなりの荒療治ですね。
「それが嫌なら、今日一日である程度料理が作れるように頑張るんだな。全く駄目ではなく、改善があるのだからやればできるぞ」
「「「はい!」」」
おお、流石ギルドマスターです。
女性職員三人を、あっという間にやる気にさせました。
ということで、今日の料理講習とは別枠で、三人の女性職員への指導をすることになりました。
「あの、できれば次は他の人が良いです……」
「「「じゃんけんだよ!」」」
トリアさんがギブアップしたので、ホルン、ヴィヴィ、ジョティーさんによる熱いじゃんけんが行われていいました。
その間、僕は女性職員に改めて料理について説明し、アオは駄目になったフライパンの清掃をしていました。




