旅立ちの朝2
下に下りればメルディが先に席についていた。
「おはよう。」
「おはようございます、メルディ。」
「あぁ、おはよう。」
挨拶を交わしたところで朝食が出てきた。
「おはよう、アルトちゃん、クディルちゃん。」
しっかりとした朝食が目の前に並んでいく。
「王都には私の兄の宿があるわ。食事だけでも食べに行ってあげて。私に料理を教えてくれた兄よ。」
それは期待できる。
ラティの食事はとてもおいしいのだ。
「また、泊まりに来てくれるかしら?」
少し不安げに聞いてくるラティに、俺たちは頷いた。
「俺はラティが気に入った。機会があればまたくる。」
それだけいうと、俺は食事に眼をやった。
「「「すべてのものに感謝する。我が糧となり、我とともに生きよ。」」」
これは日本で言うところのいただきますだ。
龍や龍信仰者はこの言葉を食前に口にする。
俺たちはそれを言うと食べ始める。
食事中は話さない。
なぜなら食事は感謝を持って行うことだから。
感謝している人が、感謝している最中に雑談などしないだろう。それと同じことだ。
「「「我はそなたの分まで生きる。生きることは諦めぬ。」」」
食後はごちそうさまの変わりに誓いを口にする。
「本日の予定は、王都で王に会い、その後、学校入学の諸手続きとギルドへの登録となっています。」
「わかった。」
クディルが手帳を見ながら予定を確認する。
俺はそれに答え、席を立った。
「アルトちゃん、クディルちゃん、メルディちゃん、気をつけてね。王都への道は魔物が出るから。」
「ありがとう。」
ラティの忠告を聞いて、俺は礼を述べた。
そして部屋で出発の確認をして、俺たちは王都へと出発した。