アスナロ大陸上陸
俺たち3人は船に乗って島を出た。
アスナロ王国とはどんな国なのか。
船に乗って数時間。早起きをしたせいか俺はぐっすりと眠ってしまっていた。
クディルは船酔いで大変なことになって俺とメルディが介抱していたが、あまりにも俺があくびを連発するものだからクディルに部屋を追い出されたのだ。
今いるのは俺のためにあてがわれた部屋で、最初はクディルが心配でたまらなかったが、やはり眠気には勝てずにすぐ寝てしまっていた。
そんなこんなで無事到着。
クディルがオロロロロ~となっていたところくらいしか出来事はなかった。
「これがアスナロ大陸・・・。」
「アスナロ王国一の港町、アクアターンです。」
まだ顔が真っ青なクディルが、必死になっていつもどおりに振舞っている。
「・・・今日はこの町で泊まろう。そんな状態で馬車移動なんてしたら、クディルが使い物にならなくなる。」
俺はそういって宿屋を探すことにした。
「私は大丈夫です。王都に行かなければ・・・。」
「俺がこの町を見たいんだ。王都は明日でもいいだろう。」
俺はクディルの意見を聞き流して、港の近くにある市場で情報を得ることにした。
「この辺で、安くて料理のおいしい宿を知らないか?」
「兄ちゃんこの町は初めてか?安くておいしいって言えばラティの宿かな。でもあそこの主人はだいぶ変わっててな。
身なりもいいあんたらへのお勧めはマルティアの宿だ。あそこにある。」
だいぶ変わっている宿屋の主人って、どんな人だろう。
正直ものすごく興味がある。
「ラティの宿屋はどこだ?」
俺はあえてラティの宿屋の場所を聞く。
会ってみたいじゃないか。異世界の変人に。
「ラティんとこは、そこを右に曲がって、次を左、その次も左だ。ラティの隠れ家ってぼろい看板がたってる。」
宿屋なのに隠れ家かよ。
まぁ、入りくんだところにあれば隠れ家ともいえなくはないが。
ぼろい看板ってところがまた・・・。
「アルト、まさかその宿に泊まるとか言いませんよね?」
いまだに顔の青いクディルが心配そうに聞いてきた。
「もちろん。泊まるよ。」
面白人間大好きだ。俺は楽しみで仕方がない。
「いつものこと。クディル、あきらめる。」
今まであまり話していなかったメルディに言われてしまい、クディルはため息をつきながらあきらめた。
「さて、いくか。変人の下へ。」
「あんた変わった奴だな。」
店屋のおっちゃんにまで言われてしまったが、まぁ、いいか。