【1話目】すみません、わたし何してるんですか?
こんにちは。
気まぐれで女の子主人公の話を書いてます。
恋愛感情迷子のお話。
恋愛小説っぽい恋愛小説なので、一応R15にしました。
セリフ多め。
「亜梨花」
ささやくように透弥に呼ばれた。
亜梨花の部屋に透弥が来てる。
ベッドを背もたれにできる、いつも亜梨花が座る特等席に、透弥が座って冷酒を飲んでる。
グラスを持つ手が、きれい。
その横顔をじっと見てたら、気づかれちゃった。
「横においでよ」
吸い寄せられるようにそばに行ったけど、座ることができずにいた。
すぐに透弥が立ったままの亜梨花の手を引いた。
「あ……」
倒れこむように、透弥の腕の中に抱きしめられる。
顔が近い……あ、キスされちゃうって思った瞬間、透弥の唇が重ねられた。
『わたし、なんでこんなことしてるんだろ? なんでこんなことになってるんだろう』
透弥の唇は冷たかった。
そうだ、冷酒を飲んでたから?
でも、続けてるうちに、温かくなってきて、気持ち良くなってきて、そして……。
話は数日前にさかのぼる。
彼氏なんて束縛や嫉妬されるし、面倒臭いからいらない。
ずっとそう思って生きてきたのに、飲み会しようって高校時代の友人たちに誘われ、そこに参加していたひとりが、透弥だった。
友人である那絵が片想いしてるっていう男の子もその飲み会に参加しているというから、どんな人なのか、まあ少し興味はあった。
好きな人と付き合うって、どんな気持ちなんだろう。
那絵が好きになった男って、どんな人だろう。
那絵の目当ての男は、一樹と言うらしい。
顔もスタイルも普通並み。
良く言えば優しそうなところがとりえかなと言う感じだ。
男3人、女3人での飲み会。
もうひとりの友人、紗夜は、暁登と言う男と仲がいいらしく、今日の飲み会も2人でセッティングしたと言っていた。
那絵は一樹としゃべっているし、必然的にもうひとりの男、透弥のとなりに亜梨花は座ることになっていた。
透弥はすごく綺麗な男の子だった。
一樹や暁登に比べても、今まで出会った男の中でも一番じゃないかってくらいカッコイイ。
なのに、何で那絵も紗夜もこのひとを無視してるんだろうと思っていた。
けれどそれはすぐに理解できた。
場がこんなに盛り上がっているのに、一向に盛り上がらない男だったのだ。
「静かなんだね」
亜梨花は透弥に言ってみた。
「……ん」
透弥が答えた今日初めての言葉がこれだ。
そしてそれきり会話が途絶えた。
余ってるわけがわかった。
こっちを見ようともしない。
つまんない男。
と、そのとき
「亜梨花ちゃん」
隣に暁登が移動してきた。
透弥を押しのけるようにして間に割り込む。
「今日はさー、紗夜にどうしてもって言われてこういう場を計画したんだー、けど、来て良かったな。亜梨花ちゃんみたいな綺麗な子と知り合えた」
暁登はすでに酔っているらしく、亜梨花を口説きにかかってきた。
「紗夜とはさー、サークルが一緒ってだけで、特別何にもないんだぜ」
聞いてもいないことを暁登は勝手に教えてくれるけれど、正直言って興味がなかった。
「それでさー、あの透弥っているじゃん?」
ちらっと暁登が透弥に目を向ける。
暁登に追い出された透弥は、今、紗夜のとなりでつまんなそうに飲んでいる。
「あいつは一樹が連れてきたんだ。透弥のこともあんまり知らねんだけどさ」
暁登が、ここに来てるひとたちのことを、説明し始めた。
「オレの親友で功至ってヤツがいてさ、功至と透弥は仲がいいんだ。功至をホントは誘うつもりだったんだけど、嫌だって断られて」
どうでもいい話を延々と横でしやべられて辟易していた。
一度にたくさんの名前を出されても、知らないひとなんだから、覚えきれないよって思って適当に聞き流す。
だんだんイライラしてきたので、亜梨花はトイレに行くと言って席を立った。
「はあ……良くしゃべる男」
暁登って男は、透弥とは対照的だ。
2人を足して2で割れば、普通の男になりそう。
顔も……だよね。
顔もたして2で割ったら、普通かな。
亜梨花はトイレの鏡の前で、髪をとかした。
居酒屋は嫌いだ。
いろんな臭いが髪に染み付くし、酔いにまかせたような変な口説きにかかる男が多すぎる。
このまま帰ってしまおうか、と考えていると、紗夜が入ってきた。
「ねえ、暁登に口説かれてるんでしょ」
横に並んで、鏡越しに話しかけられる。
「さあね、そんなんじゃないと思うけど」
鏡の中の紗夜と、目を合わせないようにしてさらりと流す。
「暁登もやっぱり亜梨花に行くのかー」
「やっぱりって何よ」
「私、暁登狙ってるから」
チラッと見ると、紗夜が亜梨花を睨んでいる。
「何を言われても、応じないでよね」
いい? 分かった? と、念を押すように言われる。
「亜梨花には透弥くんね。ほとんどしゃべらないし、無愛想だけどさ、カッコイイからいいでしょ」
「……いいでしょって……」
「つまんない?」
紗夜がふふっと笑った。
亜梨花の反応を伺うような目だ。
「別に」
ふんっとそらすと、紗夜はちょっとムカついたような素振りを見せて、トイレを出て行った。
「こっちのほうが怒りたい気分だよ」
ため息をつきながら、亜梨花もトイレを出た。
「うわっ!」
その瞬間、誰かにぶつかった。
完結しているものを投稿してます。
が、まだ連載中のものが終わってないので、緩く投稿予定です。
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