凡人、落ち着かない。
モーリスさんと、レイト君で回線の話を相談して、ミスクさんと確認しながら回線を繋ぐらしい。ここまで来ると、ほぼ完成らしいけど・・、人の作品といえどドキドキしてしまう・・。
複雑な回線を完成させ、小さなチップのようにすると冷凍箱に埋め込む。
箱は、ブン・・と音がしたかと思うと、静かになる。
レイト君とモーリスさんは後ろから覗き込むように箱を見つめる。
ミスクさんは、ゴクリと唾を飲み込み、箱の蓋を開けて手をそっと入れた。
「・・・冷たい!」
「完全に冷えるまで、どれくらい掛かる?」
モーリスさんが時計を見て、ミスクさんに尋ねる。
「およそ2時間です」
「じゃあ、今から計測。温度計も入れておけ」
「はい」
テキパキと二人で温度計や、時間を計り始めてデータを書いていく様子を、私とアル君はぽかんと見ているとパルクさんがちょっと面白そうに笑って私達に小声で話しかける。
「あの二人・・、息が合ってるでしょ?」
「は、はい・・すごく」
「ああなるとね、二人でずーっと実験しちゃうんだよね。時々、止めてあげてね」
「・・・めちゃくちゃ仲良いですね・・」
「結構、似た者同士だから二人で始めちゃうと止まらなくて苦労するんだよ・・、主に僕が」
思わずぶっと吹き出してしまった。
あ、なんか・・すごく分かるぞ。クスクス笑うと、パルクさんは「内緒ね」って話して、自分の作業台へ向かっていった。
アル君も可笑しそうに笑って、熱心にデータを取る二人を見て、
「・・お似合い同士なのかもですね」
って、言うので頷いた。
落ち着いたら、ミスクさんにモーリスさんをどう思ってるか聞いてみよ。
お昼になっても仕事の手を止めない2人を、引きずるように食堂へ連れて行くけど・・あっという間に食べて、すぐ戻っていった・・。すごい・・・あの勢い、本当にすごい。
アル君と、レイト君とお昼を食べつつ・・
「あのくらいの情熱がないと、意識は変えられないのかもな・・」
思わず私が呟くと、レイト君がふっと小さく笑った。
「いいんじゃねーの?それぞれのペースで」
「そうかな〜?」
「回線、まだ分からない人〜?」
私とアル君の目が合う・・。
くそ・・・、だってあれ複雑で難しいんだもん・・。ブスッとむくれてレイト君を見ると、面白そうに笑って私を見る。
「それぞれ出来る事をやってけばいいんだよ」
「・・・・もしかして励ましてくれてる?」
「馬鹿にして欲しいか?」
私とアル君は、また目を合わせて・・
「「励ましてください!」」
って、一緒に言ったら、レイト君は呆れたような顔をしつつ笑った。・・・天才、優しいな、おい。
アル君は、研究所の図書館に本を返すというので、私は仕事場に戻ろうとすると、レイト君に手首を掴まれた。
「・・お前、なんでさっさと離れようとするんだよ」
「え?そんな事ないけど・・」
ちょっと誤魔化すように、目線を逸らした瞬間・・レイト君は問答無用で手を絡めてくる。
ぎゃあ!!な、何をするんだ!!
「な、なんでいきなり・・」
「そうしないと逃げるだろ」
「に、逃げないから〜〜!!て、手を離して欲しいんですけど・・」
そう言ったら、ますます握ってくる。握力!!!握力強い!!!
そのままズルズルと中庭まで連れて行かれて、ベンチに座った・・。すごい周囲の人に見られて、私は顔が真っ赤だ・・。うう・・、恥ずかしい・・。
「あの・・、逃げないんで手を離してください・・」
「嫌だ」
レイト君に呆れたように言われたけど・・、切実に恥ずかしいんですよ。
なんか・・、好きっていう前の方が話せてたのに、2人になったら全く話せなくなる事象って、なんなのだろう。




